第8章 2話
「いい?物事にはまず原因があって結果がある。それが因果律と呼ばれるものよ」
山田さんが説明を始める。
この因果律についても聞いた事はある。
「今回で言えば、最初にあなたが行動をした影響が全て2回目以降でも起きている」
確かに19時でないとダイビルに入れない事、この秋葉原で事件が起きている事などはそうかもしれない。
「でも最初の時は私一人だったわ。他に誰もいなかった」
「いえ。最初の時にも誰かいたのよ。ただあなたがそれに気づいていないだけで」
え!?
「ちょっと待って。それじゃさっきの話と矛盾しない?私は誰とも会ってないのになんで2回目以降にも起きているの?」
そこで山田さんは考える。
「こうならどう?最初の人物はあなたのお父さんだった」
え!?
「お父さん!?会っていないわよ?」
「それはあくまで物理的にって事でしょ?でもあなたは連絡はしていた」
まさか。
「そしてあなたのお父さんと再び連絡が取れるようになってから、ダイビルに入れるようになった。どう?流れ的には他の場合と同じなはずよ」
そうだわ。
何も矢野君や山田さんのように最初からずっと一緒だったという場合だけじゃない。
延々会えなくて19時前にやっと会えた矢野さんや桜崎さんというケースもある。
「つまり、一度目での行動が2度目以降にも影響している。でも実験の失敗はあなたの行動が原因じゃない」
あっ!
そういえば。
確かに一度目でも二度目以降でも見守っていただけだった。
「いい?実験が失敗するってのは、あくまであなたが今日の23日を繰り返す為に必要な事であって、失敗自体はあなたの行動が原因じゃない。ここに抜け道があると思うの」
そうか。
これでだんだん理解し始めた。
なんで毎回ダイビルの地下に実験場があって、毎回失敗するんだろうとは思っていた。
この実験失敗だけ具体的過ぎる。
だけどそうじゃない。
私が過去に戻る為に必要なプロセスなのね。
「そしてそれが出来るのはあなただけだと思うの。おそらくあなたが過去に飛んだせいで時空の歪みが生じてしまった。ありえない時間の超越のせいね」
私だけ。
「つまりあなた自身が原因と化しているのよ。そうなると問題を解決出来るのもあなたのみ。私達は手助けしか出来ないわ」
「その辺りは覚悟の上よ。それで、どうやったら解決出来るの?」
かなりの情報は揃っている。
この状態でどうやって解決するべきか。
「まずは地下の研究所の地図が必要ね。どこが弱点なのかを知る必要がある。それと止めるのも物理的に止めるのか、他の方法を取るかでも変わるわ」
私は地下の事を思い出す。
「物理的、つまり破壊行為はお勧め出来ないわね。それこそ何処を破壊すれば分からないし、そもそも地下には研究員が何人もいる。こっちは二人しかいないから止められてしまう確率の方が高いわ」
これまでも何度となく思っていた事。
おそらく物理的に止めるには、一番中央の制御しているコンピューターが一番なんでしょうけど、そこが一番難易度が高い。
「ならプログラムで止めるのが一番だと思うけど、あなたが会った中でプログラムに詳しい人はいる?」
桜崎遥さんだわ!
「いる!」
「でもいくら詳しいと言ってもパスワード等を解除する余裕は無いと思う。その辺りも調べてみる必要があるわ」
そうか。
地下に入れるのは19時から。
たった1時間で作戦を実行しないといけない。
時間との勝負。




