第4章 9話
-矢野理香の場合-
なんとか秋葉原駅へと到着した。
坂本凛と名乗る女性はこの近くにある、秋葉原ダイビルに行きたいらしい。
けど私には関係ない。
なんとしても犯人を見つけて警察に通報しなきゃ。
「どうしても協力してくれないの?」
「なんで私が必要なんですか?私は料理が取り柄ぐらいで、そんな危ない所へ行くつもりは無いです」
こうやって殺人者を探そうとしているだけでも、相当怖い。
すでに犯人はどこかへと逃亡した後かもしれない。
それかどこかへ隠れたままか。
ここまで来た以上はなんとかしたい気持ちもある。
「それはあなたが、今日不思議な体験をしたから」
そういえば、さっきもそんな話をしていたわね。
確かに、今日はあり得ない感覚を覚えたのは確か。
「それがそんなに重要なの?」
「ええ。私にとってだけじゃないの。この秋葉原にとっても重要なの」
秋葉原?
「どういう意味?」
「おそらくあと1時間後くらいに、ある実験が失敗する。そのせいでこの秋葉原は壊滅すると思うの。それを阻止したい」
ちょっと待って。
「だから、なんで私が?」
「私にもまだ何が必要なのかは分からないの。ただ今日死んだ感覚を覚えた不思議な体験をした人物が、重要な役割を持つはずなの」
えぇ!?
「その体験は誰もがしている訳じゃない。おそらく、ここでは私とあなたしかそんな体験はしていない」
そりゃあ、あんな感覚があったなんて話は聞いた事無いけど。
「そして、あなたでないと出来ない事があると思うの。その為にも今回起きた事を知っておきたいの」
私でないと出来ない事?
「ねぇ。ここでは何の事件が起きたの?」
あまり信用されないかもしれないけど。
私は今日起きた、料理教室での材料紛失事件の事を話す。
「食材か。つまり、今回は食べ物が不足したからそれを補うためにやったのね」
補う?
「どういう事?」
「待って。見つけたわ。あそこ」
あっ。
確かに周りを見渡す不審な人物が。
慌てて隠れる私達。
そしてその人物は、見た事のある食材を包んだビニール袋を持っていた。
間違いなく、私の通っている料理教室で使う食材を包んだビニール袋だわ。
あいつが殺人者でもあるのね。
やがて、その人物が入った建物は。
「秋葉原ダイビル?」
まるで、招き入れるかのように坂本と名乗る人物が侵入したい場所へと消えて行った。
「どうするの?」
「警察を呼ぶわ」
ここまで分かれば後は警察に任せよう。
あんな危険そうな所には行けない。
警察に怪しそうな人が侵入した事を告げると、何人かがダイビルの中へと入っていく。
中に何があるのかは分からないけど。
これで終わり。




