第4章 7話
-山田・クリス・恵子の場合-
ようやく地下へと侵入する事が出来た。
今の時刻は19時。
ちょうど、初めて私がここへ来た時刻と同じ。
これは偶然では無いと思う。
その事を恵子に言う。
「なるほど。やはり因果律のせいかもね」
「そうだとすると、決まっている事と決まっていない事の差って何?19時までには入れない事は決まっているけど、私があなたに会うのは初めてよ?」
階段を下りながら考えている。
「分からない。私はあなたじゃないから、その差がどれだけ大きな差なのかは分からないから」
もし、純粋に今日の17時に戻るのなら同じ事を繰り返すはず。
なのに、まったく違う場所にいた事や、ここの地下へ行くルートも違うし、恵子にだって会った事すらない。
だけど初めてここの地下へ行った時刻じゃないと入れないというのは、どういう事なのかしら?
「とにかく、今のままでは情報が足りなさすぎるわ。おそらくこのまま行っても実験は失敗するでしょうから、あなたはまた今日の17時に飛ばされると思う」
確かに、今のままでは防ぐ術が分からない。
「まずは情報を仕入れて。この秋葉原で何が起こるのか。誰と会うのか。そして必ず起こる事と毎回違う事を覚えていて欲しいの」
「それでどうするの?」
「これは憶測だけど、もう一度私に会うチャンスが来ると思うの」
え?
「その時にまた一から情報を教えて欲しいの。おそらく二度目の私もあなたの言う事を信じると思う。もちろん死を回避したタイミング以降でないと、いくら私でも信じられないと思うから注意して」
そうか。
そもそも、あの感覚が無ければ私の言う事は信用出来ない事と言われても仕方ない。
「そしてその差を教えて欲しいの。たぶんその差が分かれば、今回の現象の仕組みも分かると思うから」
彼女は現役の科学者であり。
欧州原子核機関の素粒子部門で働いているほどの天才。
元々タイムトラベルに関しての知識はある。
一番下の地下通路を渡る。
今にも誰かに発見されそうで、ビクビクする。
「そんなに怖がっていても無駄よ」
「え?だってここには研究員とかがいるんじゃないの?」
「そうじゃなくて。あなたはこれから研究施設に到着するんでしょ?恐らく、それは決まった出来事。邪魔は入らないと予測されるわ」
まさに恵子さんの言う通りだった。
何の妨害にも合わずに、研究施設へと近づいて来ている。
「あれは?」
私の目の前に研究施設が現れた。
一度見た事のある光景。
間違いないわ。
「あれがタイムトラベルの機械よ」
私は詳しい事は分からない。
確か素粒子をぶつけてブラックホールを作る事によりタイムトラベルを可能にするとか言っていた。
どういう理屈でブラックホールを作り。
そしてタイムトラベルを行うかは、さっぱり分からない。
でも、この実験で失敗した。
ブラックホールを制御出来なくて。
施設どころか秋葉原すらも飲み込もうとする勢いだったみたい。
私はその時にブラックホールに飲み込まれた。
普通だったら、そのままブラックホールにに見込まれたまま死ぬはずだった。
だけど、何故か気が付いたら23日の17時に戻っていた。
そこから全てが始まった気がする。




