第4章 4話
いくつもの扉を開ける。
そのどれにも人はいなかった。
一体どこで何をしているというのかしら。
「あら?」
ある一室でノートパソコンが残されていた。
「ちょっと調べてみる」
データが残っている可能性は低いとは思うけど。
色々とファイルを開けてみる。
「うっ」
胡散臭さそうなのは、全てパスワードでロックがかかってある。
当然といえば当然か。
しかし、なんでこれを使っていた人はここにいないのかしら?
そして、これを残したままにしているというのも不思議。
何故ならここには、このパソコン以外にはめぼしい物が置いていない。
まるでわざと置いてあるかのよう。
「待って。パスワードなら分かるかもしれない」
坂本さん?
パスワード画面で、あるワードを打ち込む。
「開いた」
え!?
ファイルの中身が見れるようになっている?
確か彼女はここに来たことがあるって言っていたけど。
どういう事なの?
とにかく、中身を確認するのが先。
「これは」
まさに信じられない事が書いてある。
この地下でタイムマシン実験をしようとしている。
その最初の実験がまさに20:00から行われようとしている。
偶然の一致じゃない。
本当に行われた事だから、知っていたっていう事!?
「ねぇ。さっきのパスワードは?」
「何度も来たって言ったでしょ?その中で気になるのを見つけてね。もしやと思っていたけど」
果たして彼女の言葉を信用していいのか、少し疑問を感じる。
だけど、こんな機密情報を簡単に教えるなんて、ここの研究員だとしたらメリットが無い。
私はパソコンの知識があるってだけの、普通のオタクなんだから。
私みたいなのは、この秋葉原にはゴロゴロいる。
ただ、今日一日不思議な出来事を体験したような感覚があるってだけ。
「ねぇ。それを使ってここの扉をハッキングして開けるって事は出来ないの?」
え?
そうか。
ここには、この施設の情報が揃っている。
パソコンからの有線ネットワークを繋いで扉を開け閉めするロックシステムがあるみたいだってのも、ファイルの中にあった。
これを使えば、今まで行けなかった所にも行けるようになるかもしれない。
「そろそろ20:00になるわ。早く実験場へ行かないと」
そうだ。
もうそろそろ実験が始まる。
そして、彼女の言う事が正しければ実験は失敗する。
その時に何が起こるのかは分からない。
けど、その失敗のせいで彼女はタイムスリップをする事になり。
そしてこの秋葉原に不思議な時空のゆがみが発生する事になり。
あの不思議な感覚が起こるようになるって事なのね。
この事態を収拾する策はあるのかしら?




