第4章 3話
ここが例のお店ね。
かなり怪しいって噂だけど。
あれ?
お店が開いているのに、店員の姿が無い?
どういう事?
この店良く見ると。
飾ってあるのはみんなレプリカみたい。
防犯の目的で本物を出さない店というのは、そう珍しくもない。
でも店員の姿が無いというのは気になる。
しかも、ここは防犯に詳しい店。
被害に合った店はだいたいここを利用しているから、かなり怪しいという噂だったけど。
あれ?
一人いた。
彼女が店員なのかしら。
さて、どうやって声をかけたらいいものか。
「あら?」
どうやら私に気づいたみたい。
その姿を見て店員と思った認識を修正しないといけなかった。
良くあるお店のエプロンのような物を付けていない。
普通のお客だったみたい。
「そちらもここに用が?」
「え?ええ。少しね」
防犯目的じゃないけど、用があるってのは間違っていない。
「そう。どうやら犯罪を犯している人達を探している人がいるって話を聞きつけてね」
え?
「それって私?」
「ええ。正直に答えて。今日一日の間に変な感覚が残るような事は無かった?例えば死んだような感覚とか」
え!?
「なんでそれを!?」
「やはり。もうここには犯人はいないわ。捕まえたいというなら付いてきて」
どういう事?
「心当たりあるの?」
「おそらく」
彼女は坂本凛と名乗り、不思議な体験をした人間を探していると言っている。
ここは?
秋葉原ダイビル?
「こっちよ」
手慣れた動きで中に入る。
そして隠れたかのように設置されていた扉を開いた。
そこは延々と下へ続いている。
「ここに?」
「ええ。この地下である実験が行われているんだけど、それにはコンピューター制御が必要なの」
それで盗んでいたって言うの?
「なんでそんな犯罪を?普通に購入すればいいのに」
「それは予期せぬ事態が起きたと思うの。毎回何かしら起きているみたいだから」
毎回?
そこで彼女は今日の16:00から20:00までを何度も繰り返している事、そして毎回違う出来事が起きている事、19:00にならないとダイビルに入れない事、そして何かしらの犯罪が起きてその元凶がこのダイビルの地下にある事も説明した。
正直、どう考えても信じられない事ばかりだけど、死んだ感覚があるってのを指摘したのは彼女だけ。
それもこれも、これから起こる実験の失敗が原因みたい。
「やっぱり、今回もここの道が違うわね」
一番下まで下って扉を開け、細い通路を歩きながら坂本さんは言う。
一体ここで何が行われているって言うの?




