第4章 2話
あれ?
言われるままに付いてきたけど。
よくよく考えてみれば、なんで僕まで行く必要があるんだ?
しかもダイビルの地下へと降りていく。
このビルにはあまり行った事はないが、案内の中には地下なんて表示されていない。
せいぜい駐車場があるくらいだろうと思ったけど、どうも違うみたいだ。
「ねえ。なんで僕まで行く必要あるの?」
「それは、あなたが異変を感じているから」
それはすでに聞いている。
「それが重要なの?」
「私も分からないわ。ただ重要である可能性は高いとは聞いているわ」
おいおい。
確信は無しか。
いや。
そもそも、今回のような出来事をきちんと確信持って説明出来る人間がどれだけいるだろうか。
聞いていると、彼女ですら被害者であり巻き込まれている形だ。
つまり、僕とそう立場は変わらない。
その僕も今回何が起きているのか、ほとんど分かっていない。
ただ気のせいで済ますには片づけられない体験をしている感覚は残っている。
だからこそ、なんとか彼女の言う事を信用しているって程度だ。
「見て、バスジャック犯よ」
小声で坂本さんは言う。
こっそりと除くと、確かに二人のバスジャック犯の姿が見える。
どうやら追いかけられているとは思っていないらしく、安心して階段を下っているようだ。
それにしても。
ここの地下はどこまで下へ下がるのだろうか。
これは明らかに駐車場への道じゃない。
しばらく降りると。
やっと一番下が見えて来た。
バスジャック犯の姿はもう見えない。
扉からこっそり中へと入る。
「ここから入るのは二度目だけど、一度目の時と道が違うわね」
え?
「違う?」
「ええ。閉まっていたはずの扉が開いていたり、逆に開いていたはずの扉が閉まっていたりするわ」
「勘違いって事は?」
「いいえ。すでに二度目だから混乱しているって事は無いわ」
どういう事だ?
「それって、つまり一度目の時と会った人や行くルートが違う事と何か関係が?」
「なるほど。研究施設に行く事は決まっているけど、その過程は違うって訳ね」
確か昔タイムマシン物の小説を読んだ時にそんな設定があった。
因果律があるから、結果は決まっているけどその過程は不確かな存在だとか。
それが本当だとすると。
彼女の不可解な現象も説明出来るかもしれない。
「おそらく事故が起きた瞬間に、ダイビルに着く事や時間などは決まった事になってるけど、その過程がかなり不安定になってると思うんだ。それは間違いなく実験が失敗して時空がゆがんでいるせい」
「まず、それで間違いないわね」
でもそうだとすると、どうやって元に戻すんだ?
「とにかく、まだ情報が欲しいわね。まだまだ情報が欠如してるわ」
確かに。
今のままじゃ、事故を防ぐ方法がまだ分かっていない。
事故が起きた事すら決まった事なんだから。




