ゴードンの孤独な戦い
ゴードンは仲間が逃げるのを見守った後、自分に課された任務をどうやって遂行するか思案していた。
ゴードンのやるべきことはただ一つ、仲間が遠くに逃げるまでの時間稼ぎだ。
勝てないことは分かっている。というのも、実はゴードンが目の前の魔物と戦うのは今回が初めてではない。
初日の夜から何度も、その圧倒的な強さに破壊されているのだ。
しかし、今日は負けられない。今のゴードンには背負っているものがある。
負けるのは仲間が十分に逃げる時間を稼いだ後だ。
「グルルルルッ」
盾を構えたまま動かないゴードンに痺れを切らしたのか、先に動いたのはブラックパンサーだった。
右腕を振り下ろす攻撃。その威力もとても脅威的だが、なにより、その腕から生えている30センチ程の鋭い爪が一番の脅威だ。
いつもならこれで、やられていた。
しかし、今回は違った。ゴードンはこの攻撃を盾でいなしたのだ。
何度も食らった攻撃をゴードンは学んでいた。
いなされたことに驚いているブラックパンサーの隙を見逃すはずもなく、反撃とばかりにゴードンは剣を振るう。
しかし、すんでのところでかわされてしまい、剣は空を切った。
それからの戦闘はゴードンにとって一つのミスさえも許されない戦いだった。
時間にして一時間。いや、数分だったのかもしれない。ゴードンにとって稼いだ時間を数えている程余裕がない相手であった。
もちろん全ての攻撃をいなせるわけもなく、ゴードンの鎧は土でまみれ、ボロボロになっていた。
それでも、ゴードンは諦めず立ち上がり続けられたのは、仲間を逃した途中で得たスキル【騎士の心】の効果もあるだろう。
ゴードンは「ここは通さない」とでも言うように盾を構える。
ーーしかしその刹那。ブラックパンサーは吼えると同時に、鋭い爪で攻撃してきた。
ゴードンはなんとかのけぞることで直撃を避ける事ができたが、爪が兜を掠め、ゴードンの顔が露わになる。
油断したと言うわけではない。ブラックパンサーが吼えた一瞬、動けなかった。
驚きの顔を浮かべる男と、それを忌々しそうに睨むブラックパンサーの眼が交差した。
のけぞった状態のゴードンの隙を見逃すはずもない。
ブラックパンサーは今までの怒りをぶつけるかのように、鋭い爪を振るい、ゴードンを切り裂いた……。
【騎士の心】
命を賭して、守るべき人がいる場合に与えられるスキル。
防御力が二倍になる。
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