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16、MP吸収

「先生、大丈夫かな……?」


「むしろあれで大丈夫だったら地球での先生は相当無理してたってことになるな。さっきのがきっかけで危ない行動とかに移らなきゃいいんだが……あ、これフラグか?」


 宮森さんの心配はおそらくクラスメート全員が思っていることだろう。

 かく言う俺もその一人。


「不安や恐怖を抱えてない人なんていないよ。先生は責任感もあるせいでそれが顕著に出てる。……その点、輝堂君はなまじ力があるせいで利用されてるんだけど」


「え? 今なにか言った?」


「いや、なんでも。それより、今日はお疲れ様。といっても、これからまた訓練があるらしいけどね」


「そうなんだよなー。少しくらいゆっくり休みたいぜ」


「一番疲れてるのは芦原君だけどね」


「うぐっ。そこを突かれると弱い……」


「ふふっ」


 そんなこんなで、訓練所にまた戻った。





「よし、では勇者達よ、これから訓練を始める!」


 騎士団長と名乗った男の大きな声でクラスに緊張が走った。

 この団長、大きいのは声だけじゃなく、爪の先まで筋肉かと思えるようなムキムキの体は軽く二メートルを超える身長はあるだろう。

 なので威圧感もすごく、クラスメートの大半は萎縮してしまっている。


 にしても、やけに威圧感が大きすぎる気がする。

 もしかして、そういうスキルかも。

 いや、単に団長が数々の戦場を潜り抜けてきただけかもしれない。

 日本にそんな人はそうそういないからね。

 威圧なんてみんな慣れてない。


 そんな騎士団長主導で行われた訓練は、意外にも計画的に進められた。

 各々のスキルに合わせて、それに適した訓練をした。

 ちなみに、ユニークスキルにLV表示がないことからわかる通り、ユニークスキルはLVによる成長はしない。

 ユニークスキルは身体能力と近しいものがあるそうで、実戦で慣れて精度を上げていくいくしかないんだとか。

 俺のは実戦とか関係ないんだけどね。


 もっとこう、「訓練所百周!」とか「腕立て腹筋スクワット100回、マラソン100km。これを毎日やる!」

 とかの訓練かと思った。

 スパルタなのは変わりないんだけどね。


 そして俺はどういう訓練をしたかというと、MP吸収のレベル上げをした。

 騎士の人と対人格闘をしながら隙を見てMPをひたすら吸収した。


 ここでひとつ、MP変換の陰に隠れてイマイチその存在感を発揮出来なかったMP吸収、その特徴を解説しておきたいと思う。


 MP吸収は、かなり珍しい先天性のレアスキルなんだとか。

 なのでそこまで詳しい効果は王国も把握していないらしいけど、それでも大体の効果は判明していた。

 MP吸収とは、文字通り触れたもののMPを吸収するスキル。


 実にシンプルだけど、LVが低いせいか効果は低い。

 今は一秒触れて1MP吸収できるくらい。

 勿論、戦闘において一秒という時間は長い。

 それを今日の訓練で思い知った。

 あと、一度吸収しきった対象からはしばらく吸収できないということも分かった。

 なのであまり有用ではないかなーと思っていたけれど、案外そうでもっぽい。


 1MPというのは、普通の人から見ると結構な量なんだとか。

 俺は普通の魔法使いから見てもMPが高く、そして最下級の魔法を放つのに必要なMPは3と教えられ、ネチネチと続けていれば有効な攻撃だと言われた。

 問題はどうやって魔法使いに近寄れるかだ、とも。


 自分のMPが500とかあるので、ショボいとか思ってしまった。

 ごめんね、MP吸収。


 ……とまあ、こんな感じなのだけれど、そろそろお気づきかな?

 そう。この訓練、MP変換に必要なMPも稼ぐことができる。

 俺にとっては非常に都合のいい訓練で、一石二鳥……いや、ついでに近接戦闘のスキル上げも出来るので一石三鳥かな。


 俺の能力はある意味成長チートなので、ゲームでレベリングを楽しむ俺としては結構ありがたい環境だ。

 あ、別にMとかじゃないよ。

 腹黒な王女様もいるし、疲れるのは嫌だしね。


「あー、疲れたなー芦原」


 訓練後、三崎君が話しかけてきた。


「日本では運動不足気味だったしね。こんなに体を動かしたのは久しぶりだよ」


「だよなー。まあステータスで身体能力は強化されてっけど、その分訓練もハードだからなあ」


「ちなみに三崎君はどんな訓練したの?」


「ひたすら騎士とチャンバラ。俺のスキル身体強化と謎のヤツしかなかったからさー。剣術スキル習得目指して頑張ってるよ」


 ふむ……謎のヤツね。気になる。


「そう……。まあ俺も似たような感じだよ。お互い大変だね」


 でも今は一応当たり障りのない言葉を返しておいた。

 詮索するにはもっと情報が必要だしね。


 

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