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私たちは翼を隠し持っている  作者: 鈴本 凜
高校生編

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2/2

しつこい勧誘

それから毎日、横井亜輝からの「髪をいじらせてくれない?」と言われ続けた。

毎日毎日断り続けていると、それもそれで面倒になるものだ。私も人と関われないというわけでもないし、たまには、友達という存在を作ってもいいんじゃないかと思い始めた。


1ヶ月が経った頃、いつものように「相川さん、俺に髪いじらせてくれない?」と言われ、「いいよ。」と短く返すと、「、、、、えっ。いいの?ほんとに?」って驚いてる。

目を丸くしながら本当にいいのか尋ねられた。

「1ヶ月も言い続けるなんて、、、。私もあなたの神経の図太さに負けたよ。」

と言うと、

「やっとだー!」と喜びながら、

「ねぇねぇ、髪触ってみてもいい?」と聞かれ、

「いいよ。」と返すと、すごいオドオドしながら触ってきた。

そして、専門家のように「すごい、クセがなくて、色も染められてないナチュラルな黒。髪質も太すぎず細すぎず。傷んでるとこもない。」とつぶやき、

私を見て、「何かヘアケアとかしてる?」と聞かれた。

「ヘアケアなんて何もしてないよ。あと言っていることダダ漏れしてる。外から見たらただの変態だよ。」

と言うと、

「なんか嬉しくて、つい。。色んな感情が湧き上がってくる。」と。

そんなにかなと思い、自分でも触ってみるけどいまいちわからない。

彼は髪がとても好きなんだとよく伝わってきた。

「それで私はどうしたらいいの?」

「たまにでいいから、練習台になってくれない?相川さんがいいなら、図書館で本を読んでいるときに気にならないなら練習させてほしい。」

「別にいいよ。私、本読んでいるときは周りが見えなくなるタイプだから。」と返した。

私が後ろを向いて、横井亜輝と話しているのが周りから気になるのか聞き耳をたてられているのがわかる。

よく考えたら、彼は陽キャだったと思いつつ、「続きは放課後図書館で。」と言うと前を向いた。

すると、横井亜輝の周りには人だかりができ、私との関係を聞いていた。

「とうとう彼女?」「どこまで進んでいるの?」とか聞かれて困っている。彼がなんて返すのな気になり聞いていると、

「第一付き合ってないし、その予定もないよ。俺、好きな人いるし。」と言うと、「これ以上は聞かないで」と言い、みんなを蹴散らしていた。


みんなには悪いが、私には秘密がある。

それは私が無性愛者ということだ。基本的に、周囲の人達のように、かっこいい人、かわいい人を見るのは好きだけど、恋愛対象にもならないし、かわいいなとか思うだけでその他の感情は存在しない。

今の時点では、恋愛トークにうまく入れないので諦めている。

でも、特に隠すことでもないから聞かれたら答えるようにしているけど、毎回「淡白だね。」「さみしくない?」とか言われるのは面倒である。

人は違うことをする人を見ると目が変わる。客観的に物事をとらえることができる人だったとしても、態度に表れてしまうのはしょうがない。

例に漏れず、私だって同じだ。


―放課後

図書館で本を読んでてハッとすると、横井亜輝がテスト勉強をしてた。

そういえば、2週間後テストだななんて考えながら「ねぇ。」と声を掛ける。

横井亜輝はビクッとしながらこちらを向いた。

「相川さん、急に驚かさないでよ。びっくりするじゃん。」と言われ、謝りつつ、「あなた、案外集中して勉強するのね。」というと、

「勉強は嫌いじゃないからね。教室で美化やってるかもしれないけど、学生の本分は勉強ですから。」

とまともなことを返されて、少しだけイメージが変わった。

勉強も一段落したのか、「相川さん、髪いじってもいい?少しやってみたいアレンジがあって」

「相川じゃなくてナズナでいいよ。髪はどうぞ。」

と名前呼びにしてもらい、髪を差し出す。

「ありがと〜、えーっとナズ!」

私の呼び方は、「ナズ」に決定したみたいだ。

本人から自分も名前呼びでってことだったので、横井亜輝、改め「アキ」と呼ばせてもらう。

アキは私の髪をいじり始める。

「ねぇ、ナズ。本って好きなの?いつも図書館いるけど。。」と言われ、

「うーん。。本が好きというよりは活字が好きかな。書かれている文字に隠された意味を探すのが好きなの。」

「へぇー。なんか難しいけど、作家とか目指してるの?」

悩んだ末、本当になりたいものについて話した。

「作家というよりは、雑誌ライターか編集者かな。私には、想像力がなさすぎて作品作りに向いてないからね。」

アキは驚いた様子で、「将来のこと、深く考えてるんだね。」と言われた。

彼曰く、私は澄ましてて、就活で受かったとこに働くとかそんなイメージがあったらしい。

失礼な。と言うと、ごめん。と言われた。

「でも、将来が見えてる同志だね。」

と言われた。周りには、美容師になりたいというと本気で応援してくれる人は少なかったらしい。

同志という単語に驚きつつ、「アキは?どうして美容師になろうと思ったの?」と聞くと、「長くなるけど」といいなが話してくれた。

「俺には幼なじみがいて、髪が長いことでよくいじめられてたんだ。女の子ってからかわれたり、髪を引っ張られたりしたみたいで、泣いていたその子を笑顔にしたくて、前髪を結んであげたのが始まりだった。それからは、その子が一番に見えるように研究したよ。」

意外とちゃんとした理由でびっくりした。

「その子は今は髪長くないの?」と聞くと、

「あの時は、ヘアドネーションのために髪を伸ばしてて、周りに何を言われても我慢してたみたい。今は、ショートって感じかな?相変わらず、髪は触らせてくれるけど、長い髪の人もいじってみたくなるわけで、ナズを追いかけてたって感じかな?」

私の疑問にも、しっかり答えてくれて、改めて、アキはギャップのある人だなと感じた。


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