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沸いて出る選択肢

 ヨルンの隣で足をプラプラさせて暇を持て余している可愛い魔物。

 とても魔王と呼ばれてる系の魔物だとは思えませんが、

 ヨルンも特に魔王だなんて思ってないので対応は変わりません。

 親しい友人と話すような態度で語りかければ、笑顔の癒しが返ってきますし。

 そんな笑顔で平然と対象を解体するのでやっぱりソレは魔王で合ってるのかもしれません。


(んで、ネーサンはどーする?)


「アスピクが暴れるなら大人しくしとく。

 今回は残りの時をヨルンちゃんと一緒に平和に暮らすのも良いわね」


(そうだねー。ボクとしても歓迎!)

(今回は女神さんに意味も分からず攫われたとこだったし)


 ネーサンはやはりというか、落ちついた思考をしております。

 自分からあれこれ事を起こすようなタイプではないのですな。

 過剰防衛はするようですが、それもまた流れに身を任せる人種という事でしょう。

 今は魔物で感情のタガが外れてますが、平和に暮らすが言葉に出てくる辺り。

 自分と同じく癒しに飢えていたに違いない。

 ネーサンの提案は選択肢の一つに加えておくとして。


 そろそろ後回しにしていた相手との対話を始める時…

 難易度はヨルン的な判断ではベリーイージーだと思われるのですが。

 なんとも踏み出すのに躊躇するこの感覚。

 守護者が言うように、ヨルンはヘタレているのだ。



(えーと…エレナ?)


「なんでしょう?」


 勇気を出して声をかけたヨルンは3Dポリゴン時代の蛇の如しに固くなっておりますが。

 エレナはネーサンとはまた質の違った笑顔で返事をしてくれた。

 そう…笑顔ではあるのだがその内に秘められた感情がヨルンをチクチクと刺激する。


(怒ってる?)


「怒ってませんよー。別に。フられた事なんて。気にしてませんし」


 ヨルンの言葉を聞いたエレナは口を尖らせ顔を背けてしまいました。

 思っていた疑問を口に出して言ってはイカンかったか?

 なんとなく…怒っているような意思を感じてしまったが故に念話に出してしまいましたよ。

 思う所がありすぎて謝罪の言葉を出す以外、思いつきません。


(ゴメンナサイ。気まずくて…中々話かけられなかったんです…)


「なら許します! けど、ちゃんと私の事も考えてくださいね?」


 あっさり許された?

 やはり…イージーモードだった。

 しかしいくら優しい難易度とはいえ、ほったらかしはいけませんな。

 恋愛ゲームでいう、爆弾処理を行うアレをする必要が出てきてしまったのか?


 だがしかし、ヨルンは魔物である。

 エレナはハイエルフ。人間側の存在である。

 でもエレナはヨルンの眷属と化してしまっているようだ。

 容赦なしにスキルを使用し、それどころか実験台にまでしてしまった覚えがありますものな。


 …故に対話はイージーモードであったと理解しております。

 このヨルンに対する敵意だけは一切無かったものね。


 ねえ、眷属と化したって事はですね。守護者さん?



―――確認

 単純な話、なんでもいう事を聞きます

 主が過去に操っていた者達のように



 ソウデスヨネー。

 と納得したい所ですが、今の目の前のエレナには眷属となっても意思が備わっているようです。

 その気は特に無いのだが、確固たる自我が残っている者を簡単に操れるのだろうか?



―――確認

 自然な流れを作り意識を操作するぐらいは簡単そうですが?

 他の方法としては魔力でゴリ押して対象のMPを0にすれば攻略完了です



 成程、そういう手もあったか~って違います。

 エレナとは仲良く愛でて愛でられての関係でありたいので友好を深めたいんですけど。



―――確認

 ならばヘタレない事です

 エレナたんは主に冒険者の宿駅のような施設

 【蛇の通り道】にて活動している模様



 であるならば、簡単に会いにいけますな。

 さりげなくアドバイスしてくれる守護者に感謝を!



―――確認 心からの喜びを感じました



 暖かい気持ちになった。

 これが癒しか…


 さらなる癒しを求めてエレナを見上げればほんわかオーラを振りまいている。

 モブ達が寄り添うのも分かる気がするこの不思議な力。

 …癒しを得るならその領域に踏み込まざるをえない。勇気を出してヨルンは迫るのだ。



(はい。暇見て遊びにいきます!)


「よろしい! ココアちゃんにも紹介するんでヨロシクですよ!」


(おお、あの子だね。楽しみです!)


 返事を貰えて、肩の荷が下りた気分です。

 お友達も紹介して貰えるようなのでお楽しみが増えましたな。


 しかし蛇に肩などあるのだろうか。

 背中に風呂敷を背負って移動していた事もあったので、その辺が肩という事にしておくとして。

 エレナと問題を起こすような事もなく、癒されるお話が続きました。


 癒しを得る事、それが今回の世界の目的でしたものね。

 ヨルン的には対話の出来る仲間が増えて大満足です。


 初めからエレナについていけばもっと癒されたかもしれないのだが。

 自身を抑えきれなかったのだから仕方がない。

 魔物的な衝動は未だにヨルンの中で渦巻いておりますし。

 ちょっとした衝動で解放されてしまうような危ない爆弾を抱えているようなものですからね。

 魔物故に、人間界に出ればちょっとした火種なんてゴロゴロ転がっていると思いますし。

 そんな火種がヨルンさんの爆弾に着火したりでもしたらそれはもう大変な事になります。



 ねぇねぇ、守護者。この爆弾については、なにか心当たりある?



―――確認 心当たりが多すぎて逆に分かりません


 …へい。多すぎるんですかい。

 その多すぎる心当たりの幾つかは分かる気がしますが。そんなに多いの?


―――確認 細かい影響を廃しても5つぐらい思いつきました


 ふむ。それなら聞ける範囲ですな。

 後でお時間を頂いて聞かせて貰います。

 という訳で、最後に話を聞きたい方がいるので其方を先に済ませますよ。


―――確認 実は先程から話したくてウズウズしているようですね


 うん、そんな気がしてた。

 どの辺が話しやすいかなー。

 お顔の前はちょっと怖いのよね。

 お触り出来る良いポイントはないものか。


―――確認 お腹でも撫でてあげればどうです?


 うーん、堅そう。でもプニプニしてるかもしれない。

 まあ…意を決して話しかける時です。

 エレナとはまた違ったやり辛さがありますよ。この御方は。 



(…さてと。ユミル~、後になってゴメンネ?)


「ウム。カマワン。早速ダガ、私トシテハナ。ヨルンよ」


 始祖竜であるユミルが口を開く。

 壁と感違いしそうな程の巨体が動くのは圧巻である。


(ん~、どうしたん。改まって?)


 そしてやはりというか、言いたくて溜まっていたモノがあったらしく、

 ヨルンの眼前にデカイ顔がやって参りました。

 普通に怖いのですが、怖気づく感情よりも不思議な安心感があるが故に飛びつきたい衝動に駆られ。

 これから話すというのに飛びついても仕方ないので、

 目の前に差し出された竜の顔、その鼻先を舌でペロペロしてじゃれ合う事にした。

 少しの間、周囲の時が止まった気がしますがユミル側も楽しんではいたようです。


 でも、その他の面々が物珍しそうに見ていましたよ。

 コホンと咳払い、改めてユミルを見返し話を伺いましょう。


「オマエヲ、竜トシテ育テタイノダガ。一緒ニ来ルカ? 別ニ今スグデナクトモ良イ」


(ムムム…それはどういう?)


 ユミルからヨルンを育てるとの意思表示を頂きました。

 つまり、竜として育てる。という事はです。

 ヨルンも竜の仲間入りという事でしょうか?


 確かに一部の蛇は竜扱いされる事もあったりしますし。

 というかヨルンは『龍の象徴』持ちでしたな。

 心が躍りますがユミルの説明は始まったばかり。

 重苦しく口を開こうとするユミルは話して良いものか、

 悪いものかと葛藤が見え隠れしているようにも感じたが、

 意を決したかのように竜の瞳はヨルンを見据える。


「同ジ始祖竜達ノ仲間に紹介シテヤロウト思ッテナ。

 大変ダロウガ…オマエナラ大丈夫ダロウ」


 仲間に…紹介ですと?

 確か始祖竜にはユミルが一番最初でその後3体が生み出されたとかで、

 ユグドラシル種と同じ数のドラゴンが4匹存在するとかは聞いた覚えがある。

 ついでにユミル以外の残り3体のドラゴンも、チラ見ぐらいはしましたな。

 つまり、アレ等にも会える訳ですか。


(それはなんとも…魅力的な)


 思わず興味が沸いてしまったという思考を念話で振りまいてしまうが、

 ユミルは頷くと、その気があるならば私に言うが良いと伝え、黙ってしまった。


(くぅ…選択肢がありすぎる!)


 ヨルンは迷った。

 ユミルについていき、竜な生活を送るか。

 ネーサンと一緒に平和に暮らせるか?

 勝手気ままにエレナをメインにお付き合いして遊びまわるか。

 アスピクの動向が気になるので、観察するか。

 モブ達もなんとなく気になるので交流を深めてみるか。


 ついでに何か大事でもない何かを忘れているような?

 何だったかな。色々ありすぎたからヨルンは疲れましたよ。

 ともあれ、迷った場合は他からも意見を聞いてみる事にします。


「別に。私なら後回しでも良いわよ」


 ふむ、ネーサンはフリー。お好きにどうぞ系。


「そうですね~。ヨルンちゃん忙しそうですし私の事もお気になさらず~」


 ふむむ、エレナもフリーな選択肢に。


「我は世界征服を目論むぞ! 何をすれば良いか分からんがな!

 ヨルンが言っていた様に国を作れば良いのか!?」


 むむむ。。。アスピクはどうやら本気のようでした。

 止めなければ、ただ暴れ進むだけで世界が破壊し尽くされそうです。

 過程が目的なので、結果がどうあれロードで戻ろうが気にしない系の蛇魔王。

 つまり復活したてで、ただ暴れたいだけなのだから。

 満足行くまで好きにさせてあげれば落ち着くのでしょうか。

 とりあえず国を作りたいというのなら手を貸してあげるのも考えるべきか。


 でも自分がいるから良いものの、ユミルと事を構えるような真似だけはしないでくれよ?

 心配なので面倒をみてあげたい気もするが、これもまた一つの選択肢であるな。

 

「えっと私達はどうすれば?」ぷるん…

「何やら決着もついてしまったようですし、私達は何をして良いのか」


 そうそう忘れていたが、こいつ等モブ達も思えば何をしに来たのか。

 ロードには巻き込まれるみたいですし、

 今のうちに理解を深めてやらねばならない気もする。


 アスピクと何やら話し合っていたようですが、

 最後にはこのヨルンに何故か処分を一任されました。


 女神さんは…一人にしてあげましょう。

 元から10年後ぐらいを目安にロードするつもりだったんで。

 あと9年ぐらいしたらロードするよ! とだけ言っておいた。


 今度の10年後はどうなるか、想像に難くありませんが。

 何事も起きなければそれはそれでヨルン的には安心する結果ともなります。


 試行回数もさして多くありませんし、

 むしろ聖都が無くなる事自体が大事件っぽいですし。

 これ以上悪くなる事なんて。やっぱり想像に難くありませんな。


 経験からの説明を受けて女神さんは納得してくれました。

 その間は好きにやらせて貰うぞ? との事ですが。

 この場に集う魔物達への対抗策を考えるのであろう事は想像するまでもない事ですよ。


 気にはなりますが、女神さんは選択肢からは外れましたな。

 一緒に行動するのも面白そうではあるのだけれども。



 …

 ……

 ………



 各々の視線がヨルンに向けられる中。

 これからの行動を決める選択肢を選べないままに時は過ぎる。

 


(守護者よ! ボクは何を選べば良い!?)



 そして、考えが纏まらずヨルンは守護者を頼る。

 困った時の守護者頼り。守護者こそがヨルンを正しい方向へ導いてくれる。

 守護者も待ってましたと言わんばかりに即反応。



―――確認 お好きにどうぞ



(知ってた!)



 どうやら選択肢は自分自身で選ばねばならないようです。

 予想通りの守護者の反応で決意を固め、選択肢の内容を改めて考えるのだった。



   *   *   *

彼等なりに一区切りがついたようです。

どんな選択をするかまだ分かりませんが、好き勝手始まる事でしょう。

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