平穏無事に事は進む?
気が付けば2週間が経過していた。
(では、この場にいる全ての面々に相談です)
魔物達はヨルンの鳴き声に続き、咆哮する。
ついでに女神とハイエルフも片腕を上げ、つられて叫ぶ。
「うむ。ヨルンよ。全て任せた!」
開幕からアスピクにやる気は全く無い。
「ロードの使用についてね」
対するネーサンは相変わらずに察していた。
「いっその事。この場にいる面子で会合開けば?」
早速、女神であるクレリアが提案する。
「その面子には我等も?」ぷるりん!
「聞くまでもない事ですよね?」
なんとユグドラシル系の魔物達が会話に参戦してきました。
良い兆候ですが未だに針の刺さったままの、その頭部は如何なものか?
「聞くまでもなくアンタ等はただのモブ。大人しく観戦してなさい。」
そしてバッサリとモブ達に降格し、切り捨てられた。
後でヨルンが無い手を差し伸べて、引き揚げましょう。
そう軽く小さめで、すぐに揺らぐか忘れてしまいそうな程度の決意をする。
「フム。ツマリハ。我々ガ集マリ、ヨルンのスキルを制限スル訳ダナ?」
そして始祖竜であるユミルが口を開いた。
一番影響力のありそうなお方ですが、
まずは静観するらしく、それ以上の話はせずに自分達を見守っている。
(そういう事。大規模なロードを挟みたい時は認識できる者達で会議致します)
(数分単位の細かいロードはたまに使っちゃうけど許してね!)
(セーブポイントの作成も定期的に共有するのでその辺は今より決めます)
その他諸々、話しているとアスピクの頭部でスライムがプルプル落ち着きなく動いていた。
ほんのりアスピクがとろけているような気がしますが問題なさそうです。
なんか直に癒されてますし。溶かされてる蛇は全然気にしてませんし。
そんな様子がどうにも気になってしまい、
お陰様で対話の内容が、殆ど入ってきませんでした。
ねえ守護者。どこまで話したっけ?
―――確認
データ1.日課の朝
データ2.聖都市崩壊日
データ3.ヨルン誕生記念
クイックセーブ枠は主のちょっとした戯れの時。
以上の結果になりました。普段の使い方と大して変わってません。
データ3へのロード時にはこの場に集う面々の了承を得る感じとなりました。
うむ。簡単に纏めてくれて感謝する!
―――確認
その他、現在はデータ3より1年程の時が経ってます
女神より、はよロードして戻せ言われてますがどうします?
んー、結構な時が経ってたと思ったけど1年程度なのね。
戻しても良いけど、悩み所よね。
といっても、国一つが全てが元通りに修復されるか心配だし一通り話し終えたら発動コースなんだけれども。
既に2度程、とある国が見た目だけは元通りになってる事は確認しておりますし。
今までにない例外が幾重にも重なってしまった所であり、
検証もかねて色々と試したく思っている今日この頃。
という訳で女神さんをメインとして交渉です。
「アーティファクト二つに、アンタ等の扱いをどうにかする…ねぇ。」
「まあヨルンちゃんが良いなら私としては言う事無いわ。
今の所は別に何も不自由してないし。」
一通りの要求を終え、ネーサンは特に介入せず。
女神さんは自分の要求に少々渋っている様子。
であるのならば、出来うる限りの譲歩をヨルンは行いましょう。
(こっちとしては、必要以上に人間と接触しないし。)
(手助けが必要とあれば協力する事も視野にいれましょう。)
これにはネーサンも同意した。
ついでにモブ達も背後に寄り添い強制参加。
全員揃って女神を上目遣いに覗き込む。
たじろぐ女神だが、やはりというか中々折れず言葉を繋ぐ。
「後者はともかく、前者はキツイわ。
アレ無いとアンタ等に対抗する術が一つ減る訳だし。」
そして逆に使われる可能性もあるという訳ですね。分かります。
しかしながらに余裕そうな態度が残る女神さん。
もしかすると今は無き、聖都の中に切り札が残されていた可能性は十分に考えられます。
そもそもに女神さんは凡人と同じ物差しで測れない感性を持っていらっしゃる訳で、
あれこれ考えてもきりがありません。
策を弄してもお互いに時間を戻すに似たスキルがありますし。
お陰様で似たような思考になる部分は多いのでしょう。
女神からは何も考えずにとりあえず突っ込んでおきます思考を感じるのです。
(一つ減るって事は、まだまだ残ってる訳ね)
(良いじゃん。残ってるなら頂戴よ)
「簡単に言ってくれるけどアーティファクトよ。
もう一度言うわ。アーティファクトクラスのアイテムよ?
…といってもアンタ等もレアなんだった」
考えなしに欲望赴くままの一言でしたが切り込み口が現れたようです。
もう少し先延ばしにして、どんな対価が要求されるのかと話をしようかと思っていたのですが。
チャンス到来? むしろ元からアイテム貰えるコースでした?
相変わらずに触り心地が良いのか、ユグドラシルな魔物を誰かしら手元に寄せて弄り回す女神さん。
お口をむにっと両手を使い、広げられる魔物は最高ランクのAでございます。
まあそのランクAとやらがどのぐらい存在するかって話ですが、アスピクもそのランクがAなので5匹。
ついでに始祖竜なユミルもA? となれば6匹ですが。
正直に面と向かっての強さであればこれだけの面子でも差が著しいです。
思えば、なんで可愛気のあるこの系の魔物が4匹までなのかは知りませんが何か理由はあるん?
いつものように守護者に聞いてみたくなりましたが今は女神さんの相手をせねばならぬ。
方針を決めてテンション上げてゴリ押し交渉を開始。
ネーサンも交えて4匹揃い女神を取り囲みます。
モブ達もこの時ばかりは仲間となって女神を攻め立てる。
(レアな魔物にはレアなアイテムを!)
(箱庭貰えたらこのヨルン。感謝の気持ちをお送りするよ!)
「私も感謝の気持ちをお送りしますぞ!」ップルルンッ!
「えっと…私も感謝を…!」
「ん、貰えるんだったら感謝するわよ?」
そして全員の意思が一つになった瞬間。女神は折れた。
「気持ちだけかい………。ああ…分かったよ。
友好の証にアイテムあげる訳なんだ。そっちも分かってるんだろうな?」
(うむ! このヨルンに二言は無い!)
(ロードはします。しかしそのロードを何時やるかまでは明言してはないのだ!)
ヨルン的発言を聞いた各々の反応は様々だった。
アスピクは寝ていた。ユミルは目が線になっている。
モブ達2匹は何かに怯えていた。
エレナはそんな2匹を抱き寄せる。
そして女神は頭を抱えてしまう。
あれ? 怒られる訳でもなし。
期待した反応が返ってくる訳でもなし。
ネーサンなら分かるかもと思ったのだが、そのネーサンもジト目でヨルンを睨んでました。
「流石ヨルンちゃん。相変わらずにマイペースね。
まあ聖都無くなったら世界がどうなるか、暫く様子みても良いんじゃない?」
しかし流石はネーサン。
ヨルンの発言はしっかりとフォローされたようです。
女神さんも言葉を探しているのか反応が無く、
気まずい雰囲気が流れ女神は諦め交じりに頷いた。
「アンタ一体何したのよ…私には分かんないけどロードの結果よね?」
(そうそう、何百回やり直した事か)
(ちなみに女神さんが死んだ場合も時が戻るようなので)
(原因は自分だけはない事を頭に入れといてね)
思い返せば女神さんとの戦いはヨルンの全戦全勝。
この場で迂闊な意見を飛ばした所で喧嘩となっても女神さんが酷い目にあうだけですものね。
こうして女神さんのお膝の腕で弄り回される程度に戯れていた方が意見は通りやすいというもの。
「なんで殺しあってから、こうにも仲良しさんになってるんだか」
抱かれるヨルンの隣にはネーサンもおいでです。
一緒になって頭を撫でられたりしてますが特に嫌がってもなく身を任せています。
確かに仲良しさんでありますな。
でもちょっと前には随分と酷い事をしてしまいましたな。
感慨が薄いですがこの女神さんの事を何度ヤッてしまった事か。
今に思えばヨルンさんの行為は、どう考えても死にゲーの敵側です。
女神さんはそんな死にゲーの主人公と例えれば、色んな死に様を見せる為の…
これ以上の思考はイケマセンな。
自主的に思考を廃し、美人な女神さんを見据えて考える。
一時は怒りを覚えたものの、今ではそんな負の感情なんて一切残ってはおらず。
女神側の心情が気になる所。
(ちなみにヨルンさん、不死身ですけど一回も死んでません)
何の気無しには放った言葉で女神はヨルンの耳を力を入れて抓りますが勿論ご褒美です。
しかし痛がる素振りは見せてあげましょう、
喜びに悶えてジタバタ動くと、見かねたネーサンは女神の手を振り払う。
「チッ…結局負けっぱなしで癪ね…」
(リベンジは受けますが、周りのご迷惑もお考えくださいな)
「なんで魔物に諭されなきゃならないのか…」
(どっちにしても自分等争った所で決着つかないじゃん)
(お互いに良い関係にしといた方が良いじゃない?)
思い出したかのように不機嫌になる女神さん。
窘めつつ友好的なお誘いは続け、女神側もヨルン達を愛で続けているので特に心配は必要なさそうです。
ロード時期の案件も受け入れられているようですし、続く女神の言葉で安心です。
「可愛い子達と争うのもなんだし。そうしとく。
こっちとしての要望はアンタ等が表立って人間側の敵に回らなけりゃ何も言わないわ」
(おっけい。国造りぐらいはするかもしれないけど特に争うつもりはないさ)
ヨルン的お楽しみの一つに魔物の国造り。
基本的に魔物は馬鹿っぽいから、まともなお国が出来るか不安ですが、
ある程度なら言う事も聞く事を確認済み。
伝える言葉を持たないが、それなりに頭の良さそうな個体もいるようですし。
ネーサン自体も巨大な領地を築いてますから妄想は膨らみますな。
しかし女神さんにとっては頭を悩ませる事態でもあるらしく、乗り気ではないようだ。
「国造りって…あんまり目立つと。って言ってもリムちゃんは既に魔王だったっけ。
その魔王も最近大人しいから忘れられてるけど」
「そりゃあ。別に何の目的も無く領土維持し続けるだけの毎日送ってるだけだから。
別に襲われなければ、なんもする気なんてないわよ」
(結局の所。この場にいる面々なら特にいがみ合ってる訳でも無しって事で良いのよね?)
ヨルンの言葉を聞いて各々の反応は特に変わらず。
小さめな魔物は愛でられる。
愛でるのに難しいデカイ竜は何をするでもなく傍観者。
ヨルンとしてもこの場に集う面々と事を構える気はさらさら有りません。
問題が出るとすれば女神さんの存在。
そして…目の前で鎌首を持ち上げ威風堂々と佇むこの巨大な蛇なのだが。
「我は満足だ!」
(あ、ハイ。今度は魔物の王様にでもなって国造りでもしてみる?)
「うむ! それで世界征服だな!」
(お、やる気満々。住みよい魔物の世界作りが最終目標な)
「難しい事は分からんが、蛇王としての力を見せれば良いのだろう!?」
(うん、失敗してもやり直せるから今回はチュートリアルモードで何も考えず突っ走っていいよ!)
見ての通りな流れでアスピクは特に問題はなさそうです。
対する女神さんはと言えば、ゆらりと立ち上がりアスピクを睨み付ける。
このヨルンが何を言っても愛でる方向に持っていく今までとは対応が違いますな。
「おい、また私と争う気?
流石に滅ぼされるの待つ程お人よしじゃあないぞ?」
「良いぞ! やりあうのなら歓迎だ!
名前のつかぬままのヨルンにも負けていた女神がどこまで出来るか見てやろうではないか!」
…ん? それについては覚えがありません。
アスピクの発言にちょっと違和感がありましたが、まずは女神さんを窘めましょう。
(大丈夫。ロード前に暴れさせるだけ暴れさせれば飽きるから)
(女神さんも今回の世界は大変だろうけど。がんばってね!)
クッ…と舌を噛み千切りそうなぐらいにストレスを溜めているような女神さん。
首元に寄せられたヨルンの体が力いっぱい握り絞められていますが慣れっこです。
…ねえ守護者。アスピクが何か言ってるけど、どゆこと?
―――確認
主の自我が薄かったワールドイーター時のお話しですね
女神も視察しに来ていたようで山を超える程度に巨大だった主の姿を見て聖都へ逃げました
「聞こえているんだが? 守護者…だったか?」
―――確認
結局の所。女神だけで解決は不可能
アスピクに負け続けてますし
守護者にも敵いませんでしたし
今の主にも負けてますし
「あーもう! 今回は負けでいい…。次は覚えてろ…」
―――確認
後でこの蛇に蜂蜜の菓子折りを持って詫びさせます。
ですので聖都への出入りの許可をお願い致します。
「………はぁ。分かった。なんとかする。
何度も言うが。頼むぞ…本当に」
…はい。お後が宜しいようで。
ちゃっかり交渉する守護者さん半端ねぇっす。
一体…女神さんに何したんだろうか、ねぇ守護者?
―――確認
女神は知られたくないようなので守秘義務を作り、押し通します。
…はい。ご本人様の前ですものね。
ともあれ、あれやこれやと上手く行きそうなのは守護者のお陰でもあるのですな
訳が分かりませんが、感謝の念をお送り致します。
―――確認
心からの感謝を受け取れませんでした
次回をお待ちしております
拒否された。強引に捻じ込んではイカンのですね…反省します。
そういえば、守護者の対話は外部にも見える聞こえると成長しているようですし。
今現在で、どの程度の事まで出来るのだろうか。
ネーサンもなんだか対話していたようですし、
いつのまにやら自分の知らぬ所でも動く存在となっている。
ヨルンを守る為に動いているので問題はありませんが説明が欲しい時もあります。
まあ、おいおい聞いてゆきましょう。
今は話したい面々が溜まってますからね。
気がつけば、体と足で押し合っているアスピクと女神さんは戯れさせておいての、
…次へ参るとしましょうか。
* * *
アクシデントが。無いです。何も起こらないので。暇です。
別の子視点も考えましたが、余計に意味が分からなくなりそうですな。
つまり。書き手のレベルアップが急務なようです。暑くてボケてた。




