表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
79/196

神的な能力だとは思ってたのですよ

(んで、なんで妨害したのさ)


 女神さんの乱入から一区切り。

 モズの早贄状態からヨルンは復帰。

 落ち着いた頃合いを見て対話を開始する。


 その他の観戦していた面々も全員集合。争い事に発展する気配は一切ありません。

 とはいえ魔物の集まりだ。何が引き金となって馬鹿な事態となる可能性は否定は出来ぬ。

 魔物でなくても、眼前の女神さん。魔物以上に危ない気がします。


「なんでって、泣き顔のリムちゃんみたらつい」


「な…泣いてなんてないし!

 そもそもなんなのよアレ!

 チートにも程があるわ!」


 大所帯となったこの面子の中で、女神とネーサンの仲が何故か良い気がする。

 経緯は不明だが、先程の戦闘行為の一件で一段と仲が深まったような気もする。

 そもそもに、ヨルンは全てを把握しきれておりません。


 成り行きに任せ。されるがままに。流されるがままに。

 納得のいく解決が行われない問題も多々残されている。

 しかし今のこの、ある意味平和的ともとれるこの状況であるのならば

 全員がある程度納得のいく結果に向かう事が出来るのではないか?


 そう考え、とりあえずネーサンに対する言い訳を考えようかと思った矢先であった。


「うむ。あれがヨルンの必殺技。ユニークスキルの星食いだ!

 魔力で捉えたモノを、なんでも吸い込んで食らってしまうのだ!」


(オイコラ。アスピク! 勝手に人のスキル喋んな!)


 アスピクの考えなしの言葉がヨルンにダメージを与えた。

 切り札スキルの大暴露で御座います。

 まあ既に見られてますから別に良いですけども。

 アスピクに対しては後でみっちりとお勉強させねばなるまい。

 ネーサンと女神は揃いも揃って珍妙な顔つきとなり。

 モブ達は恐怖に身を震わせ竜な壁の後ろに退避する。

 流石にユミルもモブ達の扱いに困っているのか動けずにいるようだ。

 そしてハイエルフのエレナは、キリッとした表情でヨルンを睨み付けている。


 …各々の反応様々で、次に口を開くはスキルをその身に受けたネーサンである。


「何よその…星の戦士みたいなスキルは」


 そんなネーサンの口から出てくる言葉はヨルンにも分かりました。

 ピンク色で丸っこくてなんでも吸い込んで、大食らいな悪魔の子ですね。

 今のヨルンならばビックバン的な吸い込みを真似るぐらい出来そうですよ?

 コピー能力は残念ながらありませんが、思えばそういう類のスキル…警戒せねばならんね。

 ともあれ、今は場を和ます為にもネーサンの発言にノりましょう。


(なーんでーも吸い込む~♪ 星のヨルン♪)


 思い立ったが今、この場でヨルン掃除機モードを発動。

 折角なのでユミルの後ろに隠れるモブ達を吸引します。

 HPが減っても吸引力が衰えないただ一つの蛇。


 オラオラ、出てこいやぁ!

 そんな意思を込めて風の属性な魔法で掃除機を体現中。


 きゅいぃ~ん…と音を立てて吸い込む様はまさに電化製品。

 塵や埃やその他のモノも吸い込みますがヨルンの体に影響はありません。

 魔物ですし、ヨルンも星の戦士な子と似たようなものです。


 そうして掃除機モードを続けた結果。

 耐えかねて姿を現す2匹のモブは必死の形相で互いに支え合っていた。

 あら可愛い…ずーっと見ていたい。


 そう思うも、エレナのデコピン一つで魔力の流れを断ち切られモブ達は解放された。

 可愛いモブ達はエレナに抱き寄せられ保護されましたね。

 ついでに虐めちゃだめですよ~と窘められましたよ。


 エレナの…ヨルンに対する好感度がイマイチ低い。

 稼ぎ時を逃してしまった。挽回する機会が欲しいです…

 なんとも気まずい間が出来上がりましたが、ものの数秒。

 女神さんがヨルンとリムの二匹の間に入り体を弄って参りました。


「ふーん。仲良いじゃん。本気でやりあってたのに」


 思えばこの女神さんも相当にフレンドリーな関係になってまいりました。

 一時期は完全な敵対関係もやむなしとは思ってましたが、どうにも頭がぶっとんだ者同士。

 上手い具合にかみ合ってしまったのでしょう。


 しかし一番の理由は容姿。なのかもしれない。

 可愛いから愛でる。この女神さんの思考は読めませんが、一種の信頼は向けています。

 小細工関連は一切しないだろう系の人種だという信頼を。



 ひとしきり愛でられ、ネーサンとの関係も別段悪くなった訳でも無し。

 一通りやり終えて関係が悪化してしまうものかと危惧しましたがネーサンは平常運転でした。

 それどころか女神と合わせて好感度は上向き矢印気味であると判断出来るぐらいに密着しております。


 どうしてこうなった? 訳が分からないよ。

 そう思うも考えても分からない事は考えても仕方ない。

 今は愛でられ膝枕されての談笑してれば良いのです。

 そして何かを忘れているようなと思えば、ネーサンが丁度良く突っ込んできた。 


「それでヨルンちゃん。結局の所あのスキル使ったの?」


(いんや、ネーサンとの勝負終わってから使おうかと思ってたから全然使ってない)


 そうだった、ロードを使い、時を戻した世界でネーサンの記憶を引き継ぎたい。

 確かそんな流れだったよね?

 気がつけばネーサンを負かしたいとなっていたという話になってました。

 思い出したかのように怒り顔となるネーサン。

 女神さんも空気を読んで愛でるのを中断。

 ヨルンだけが女神の手の内で蝶結びをかけられました。


「なんでよ。使わせてやろうかと思ってあんだけなぶってやったのに。」


 そして蝶結びにされた自分の体はネーサンの針で結び目を串刺しにされ

 そのまま頭上で、ぶんぶんと振り回される。

 常人ならただじゃ済まない状況も、ヨルンにとってはお戯れです。

 締めに空中に投げ出され、蝶結びも解けてアスピクの頭部へ着地で御座います。

 しかしなんだかプニプニする感覚に体を覆われてその後に大地へ投げ出されました。

 見ればアスピクの頭部で蠢く謎の物体がポヨポヨしていた。


「何の話だ? リムにヨルンよ!」


 そんなアスピクは気にした様子もなく

 会話に入ってこれずに溜まっていた疑問を投げかけてくる。

 


(ん、アレだよ。ロード後の世界にネーサンを巻き込む方法ないかなーって)


 そういえばアスピクってロード挟んでも記憶が残ってるのよね。

 自分の中にいたのだから当然だよねと思っていたけれども今に思えば意見を聞ける重要な相手だ。

 一応期待はせずに聞いてみるかと思い、ネーサンと一緒にアスピクに向き直る。


「そんなのは簡単だ! ロード発動時の魔力の流れにしがみつけば良い!」


(んなの出来たら、記憶持った輩で溢れかえってらぁ)


 長き検証の果てに得た結論の一つに記憶がある方がおかしい!

 というのが自分が持ち得た情報の一つ。

 アスピクの口から出てきた言葉は参考にもならないゴリ押し思考。

 むしろ、アスピク級の魔物ならその魔力ゴリ押しでどうにかなるのか?

 そう思い存在感溢れて空気な竜のユミルに女神とネーサン。そしてエレナを見比べる。 

 アスピクが言うようなゴリ押し思考でなんとかなるならネーサンも可能っぽい?


 となれば考えるよりは実践あるのみ。

 アスピクぐらい単純に考えた方が何事も上手く行きそうな気がしてきますな。

 自身たっぷりのアスピクはデカイ声で言葉を繋げていく。


「我は出来るぞ! エレナもやっておる! 勿論ユミルもだ!」


(そりゃお前等が特別なんだろ。というかエレナも出来るんかい)


「うむ。あの娘もヨルンの眷属となっておるからな!」


 さらっとエレナは記憶が残っている事を確定です発言してくれたアスピク。

 となると、ますます話をかけ辛くなってしまいました。

 後光がさすぐらいの、にこやかな笑顔が眩しいのですが後ろめたい気持ちが残るヨルンには

 その笑顔を直視する事が出来ません。

 気を紛らわすために言葉を繋ぐも視界の端で戯れるエレナとモブ達が自分の意識を反らしてしまう。


(あっ…やっぱりみんな知ってた? どうりでみんなと仲良くしてる訳だ)

(それでアスピクの言う方法だけど。ネーサン分かる?)


「魔力の流れにしがみつく…えらい感覚的ね」


(まあ説明なんて出来ないし。出来るから出来る。これに尽きるね)


 ヨルンは根っこからの感覚勢。

 一通りの説明には目を通しますが実際使ってあれこれ判断するタイプである訳でして。


 他人へ説明する言葉など用意していない。

 そもそも説明する機会など訪れないと思い、なんの準備もしておりませんでした。


「なら使ってみてよ」


 とはいえ対するネーサンも、とりあえず試せ思考。


(ネーサンの事…食べそこなった)


 せめて記憶が無い内に一口。

 そう願いを込めてネーサンを上目遣いに見上げるが叶う訳もなく一蹴。


「早くスキル使ってみる!」


(はい。分かりました)

(守護者よ。クイックセーブの後に合図をしたらロードを頼む)


 望みが断たれましたが、それ以上に思う所が多いので諦めはつく。

 好き放題に出来る今までとは状況が違うのだ。

 一人増えたらもう一人。ヨルンの行動は繋がりを得る度に縛られる。

 だがそれ以上に得るモノも多い。

 成り行きに任せ深く考えず先へ進むことをヨルンは選んだのだ。



―――確認 了解。クイックセーブ完了



(そんじゃセーブ完了。すぐにロードしても分かり辛いから確認ね)


「おっけー。ちゃんと合図してよ」



(では1回目。3,2,1,0!)



ザッ―――



(2回目。10,9,8,0!)



ザッ―――



(3回目。1,2,3,ダァー!!!)



ザッ―――



(etc...)



ザッ―――

ザッ―――

ザッ―――



(では何度目だろう? 13回目? 一番良いロードを頼む!)



「ちょっと待った!」



ザッ―――



 回数は毎回変えて言葉に出していたものの途中から遊んでいた。

 実際の所は何度目だったのかと思っていた所で、ネーサンの反応が変わった。

 合図も数回おきに変えてはみたものの、大きくは変わらぬだろうというお遊び心。


 そんなお遊び交えて、大して期待もせずに続けてはいたが驚きである。

 しかし自分としても一つ収穫があった。

 ロードを発動時に何か違和感を感知したのだ。

 ネーサンの顔色を伺えば分かりやすく珍妙な顔をしておる。

 何か言葉をかけてやらねばと思い、変わらぬ調子で話をかけましょう。



(ほい。ロード後だよ。反応有りっぽい?)


「…なんとなく理解したわ。しがみつくってこういう事なのね」


 拳を握り、上体を回し、お尻をふりふり。

 体の調子を確認するかのように振る舞うネーサンの挙動は可愛いの一言で全てを表せる。

 そしてやはりというか記憶が残っている素振りを見せてくれた。


(マジで? 本当についてこれんの?)


「マジよ。面と向かって試してみると分かるものね」


 何も考えずにとりあえず使ってしまえ作戦が成功してしまったようです。

 しかしこれで成功されてしまうという事は。

 相手によってはアスピクが言うようなゴリ押し思考が通用してしまう訳だ。

 認めたくはないが、出来てしまったものは仕方あるまい。


(うわぁ…ますます気軽に使えなくなってくるような)


「…で、理解した所で悪いけどヨルンちゃん?」


 対話を始めれば相変わらずな笑顔を見せるネーサンだがそのお陰で心情は読み辛い。

 針で突き刺されるような悪寒は走らず…なので危険が危ない的な事も無く平穏ですが、

 この感覚はどちらかといえば畏怖の感情を向けられるアレですな。

 主に周りのモブ達からのその感情が大きく感じ取れました。


(うん。なんとなく言いたい事分かるような)


「これ、ロードを挟む度に、ある意味

 巻き込まれた全てのモノが一旦死んでるともとれるわ」


 ネーサンが顔をしかめて、そう表現するのも納得は出来る。

 何せ世界事作り直すというのは、全ての生きるモノも再構成される訳なのだから。

 とはいえ自分の意思で細かく出来る訳でも無し。

 体感で得られる時間はかかるものの、自分の意思一つでそれが行われる為に自覚も薄い。


 出来るから出来る。ロードすれば全てが元通りなのだからそれで良い。

 自身にとって、この世界とはそういうモノとなりつつあった現状に現れた爆弾達。

 見渡すもなかなかに奇妙な面々だ。

 これ等全てを諫めるのは色んな意味で難しい。


(まあ、解釈次第でそうなるかな?)


「ヨルンちゃん。アレよ。このスキル…

 ランクAクラスの魔物でもなければ耐え抜けない…わね。

 記憶が残ってる奴なんて、数えられそうなぐらいに収まる…と思うわ」


 ロードを体験したネーサンの考察は自分も同意だ。

 ネーサンには、いとも容易くロードの世界に乱入された訳ですが。

 自身も検証を続けた結果に辿りついた答えが例外等ごく少数!

 そう考えて使い続けてきましたし。


 その例外がドラゴンに魔王にハイエルフと。

 ついでにこの場には一応それなりに強いらしいランクに分類されるモブの魔物がいましたな。


(そういえば、そこのモブ達もランクAに分類されてるんだっけ?)


「我等も…理解しましたぞ。」プルプルプルプルプルルルルルルッ…

「わ…私。生きてる? うう…何コレ? こんなの初めて…。」


 そして目の前には恐怖に身を震わせるモブ達の姿。、

 この状態が平常運転としか思えない程度の反応しか見せない可愛い奴等。


 反応を見るにネーサンと一緒に引き込まれたようです。

 思えばネーサン、コイツ等に針を打ち込んで繋がってた気がする。

 というか、その針が残ってるので彼等は何かサレタヨウダ?

 ふむ、気になるが些細な問題は後回しである。


(うん。ついでに成功ぽいね)


「つまりアレね。世界を作り直すってこういう事なのね」


 ネーサンは大きく頷き、全てを理解した。

 こうして全ては平和的に収まったのだ。


 これにてネーサンも攻略完了。

 フラグ立てはやり直す必要もないのですが、修正不可能な繋がりが出来てしまいました。


 でもまあ、好き放題出来ていた今までがおかしかったのよね。

 少しぐらい他の存在に縛られるのも、悪くない。


 そんな思いに耽り、この場に集う、異質な面々を改めて見返すのだった。



   *   *   *

こんな面子が纏まって行動する筈もないので好き放題やる事でしょう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ