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激流を作って身を任せる蛇

「ヨルンちゃん」


(なあに、ネーサン?)


 満面の笑みだった。

 その笑みは怒った顔よりも恐ろしく感じた。


「自覚有る?」


 笑みは続く。声色も穏やかだった。

 『セーブ&ロード』は隠蔽していたスキルだっただけに怒りはごもっともですが、

 スキルの能力がトンデモ能力なものでお察し願えると助かります。


(言いたいことは察しています。ネーサンと敵対はしたくないです)


 心臓の鼓動が3倍のビートを刻みます。

 思えば、いつからか増えていた心臓の数。

 元から不死の体を持っていたので別に気にしてもいませんでしたが

 意識すると鼓動音が凄まじい事になっています。


「私の事、殺した事。ある?」


(いいえ。今回の世界で初めて出会いました)


 ネーサンを前に嘘を言う事は出来ません。

 言う理由も特にないので素直に目を見て答えましょう。

 自然と尻尾ふりふり状態となり興を削ぐ攻撃を慣行してしまう。


「そう…でも、時が戻った時に私の記憶は無い訳ね」


(あの大樹が何なのか。それを知ってるか知ってないかで判断するよ)


 ネーサンの様子は普段と変わらず。

 ヨルンの信頼度は高く、友好状態は繋がれました。

 そんなネーサンは顎に手を当て考える蜂モード。


「…駄目ね。突然現れたぐらいにしか覚えがないわ」


(ネーサンは。どうしたい?)


「そうね。知ったからには体験してみたいわ」


 結局、あの大樹が現れた経緯も分からず。

 女神との戦いで見せたヨルムンガンドの姿も分からず。

 ネーサンは自分が知らない事に怒りを感じているようだ。

 であるのならば、どうやって巻き込むべきか?


(ネーサンの頼みなら…と言いたいですが。方法が分かりません)

(ついでに自分だけスキルがバレるのも何なので。あの女神も時を戻します)


 女神を生贄にしつつ、記憶持ちの例を脳内で反復。

 守護者に聞いてみるも正確な内容も分からず。

 ネーサンを実験台にしてみれば?

 実験台ならあのモブ達を使用してみれば?

 一人問答を繰り返す。後者なら別にやって良いかもしれん。

 そう思い立ち、モブ達を探すとハイエルフのエレナと戯れていた。


 ユミルといいエレナといい

 後回しにした所為か少し不貞腐れている感がある。

 ただの気のせいかもしれないけども。


 ともあれネーサンは女神のスキル情報に食いついた。

 自分が知らない情報だったらしく気になる模様。


「…マジで? やっぱり頭おかしいだけあったわ」


(未来予知じゃなくて、未来から戻ってきた。だったね)

(ちなみに能力名。コンティニュー。死んだら時ごと世界を巻き戻しての復活。的な?)


 自分が言うのも何だけど。

 女神さんにサニティー的なポイントがあるとしたら

 既に0となり発狂を経験しているのではないか?

 無論自身もそんなポイントがあるとしたら0の自信がある。

 ネーサンもネーサンで一般的な正気とは程遠いですな。

 そんなネーサンは信じてしまったようで気分が落ち込みました。


「はぁ…そんなスキルもあったのね。この世界が異常なのは知ってたけど。

 そんなんあるなら…目立つんじゃなかったわ」


(良いじゃん。そんな中で生き延びられてるんだから)

(それに自分が知る限りでもそんなヤバイスキル持ってんのは)

(自分と女神だけっぽいよ。ユニークスキルだし)

(『セーブ&ロード』『コンティニュー』あと何かあるっけ?)


 なんとなく出してみたお題ですが自分も考えます。

 正確に言うなれば時間が戻るではないこれ等のスキル。

 言うなれば世界ごと作り直してるらしいのですが。

 感覚的に表現するのであれば、時が戻ったと例えて差し支えはない。


 セーブにロードにコンティニュー。

 となれば、残りにあるのはなんだろう?

 考えてみるも思いつかない。

 何かありそうなものだが、近しい内容で考えても見つからず。

 思いつくのはこの場で関係のない思考へ向いてしまう。

 セーブにて保存された情報を書き換えてしまえー的なチートとか可能?


 折角なので守護者に出来るかどうか聞いてみた。



―――確認

 無理です。と言いたいですが少しだけ可能

 カット&ペーストとロードの組み合わせにてのコピー能力も制限があるので難しいですが

 世界に与える影響が軽微なモノであれば今の所出来るようです

 主自身もロードを挟むたびに変わってますし



 ほっほう。成程ね。

 取り返しがつかなくなる現象には気を付けるとして、色々とお試ししましょう。 

 なんて考えているとネーサンも考えていたようで一つの例を出してくる。


「時間旅行とかありそうじゃない?」


 ふむ、ネーサンは純粋に時を渡り歩く系を想像していたか。

 考えてみれば時を止めるぐらいならありそうなものよね。

 でも今は止めるではなくタイムスリップ系の考察だ。

 折角なので守護者に聞いてみる。


(守護者~時間戻すとかそいう系のスキルある?)


―――確認 無いです


(無いそうです。一応守護者ってスキル検索できるみたいだし)


 どうやって調べているのか分かりませんが。

 守護者用の攻略本的な。辞書のようなスキルを持っているらしく、それで探せるらしい。

 便利なようなと思うものの、妙に信頼度が低い。全然大丈夫じゃない系だ。


―――確認 世界樹の情報なので間違いありません


 はい。そうですか。信用します。

 ネーサンもなんだか信用してるみたいなのでそうします。

 少なくても他にそんな情報はありませんからね。


「とりあえず守護者で調べられる事はやった訳ね」


(うん。ネタバレ故。必要な時にしか調べないスタイルだけども)


 そう言いつつも気になってしまったら調べる派。

 言動と行動が一致しないのは常。

 推理小説もネタバレ見てから展開を楽しむ派にだって成り得る事もある。

 そうして思考はどんどん逸れてゆく。


 結果。セーブ&ロードとコンティニュー的な能力は他には無いと判断。

 自分もネーサンも特に思いつく事無く考察を終える。


「とりあえず。そのセーブとロードっての認識してるのどのぐらいいるの?」


(知る限りにユミルにアスピク。女神と、あのハイエルフも怪しい)


 現状、確認が取れた者達だ。どれもこれも大物ばかり。

 エレナだけは…と思ったが

 そんな大物たちに交じり平然としている彼女も相当に大物なのかもしれない。

 そんなエレナはユミルと念話を使い、なにやら話し合っているようだが。

 割り込んで聞こうにもネーサンと大事なお話をしている最中。


「…驚かないわ。あの大樹に集まってた奴等が関係者だった…って事か。

 始祖竜がポッと出てきて意味分からなかったけど。成程、納得だわ」


(そんな中に…ネーサンが加わる事は賛成するけど。問題は。方法なんだよね)


「簡単に出来るって訳じゃなさそうだけど」


(アスピクは元から自分の中にいたから)

(ユミルは。多分自力で見つけた)

(ハイエルフは…なんでだろ?)


 どうやって解決したものか。脳裏に過ぎる解決方法。

 どれもこれもがネーサンの同意を得辛い方法だ。

 顔色を伺えば、とりあえずやる気は満々。

 機嫌は上場。テンションは高めに仕上がっておる。


「問題無いわ。何度でも試せるんでしょ?

 なら…どうとでもなるわ。私を誰だと思ってる!!!」


(天元突破のネーサンでございます)


「嬉しいけど、そんな例えは私に似合わないわ。

 生憎と臆病な性格してるし。命の危険に敏感なの。

 って訳で早く話すだけ話してよ。 はりー! ハリー! 針ィー!」


(おっけいーって言いたいけど。今アスピクと女神やりあってんじゃん)

(アイツ等、ロードしても記憶引き継ぐし、邪魔したら怖いから後でね)


 テンションアゲアゲなネーサンを前に伝えようと意を決したが。

 鳴り響く破砕音が止まぬ事にはロードが出来ぬ。

 なんともタイミングが合わずに微妙な展開だこと。

 状況も理解しているネーサンの機嫌は途端に悪くなる。

 ある意味で女神さんより恐ろしい存在だ。


「チッ…仕方ないわね。てかアイツ等なんでやり合ってんの?」


(あいつ等なりの、ラストバトルしてるんじゃん?)

(一応シチュエーション的には~そうだね)




 平和な世界に突如現れた天を貫く程の巨大樹


 それは過去に世界に混乱を招いた魔物の復活と同時に現れた


 危機を察知した聖都の女神は単身で調査を開始


 ユグドラシル・ティアの誕生


 魔蛇王アスピクの復活


 逸話にも残る両名の魔物である


 いずれも世界に生きる者にとっての脅威となりえる存在だった


 女神はユグドラシル・ティアを捕縛


 聖都へ厳重に軟禁し、女神はアスピクの元へと向かうが


 女神の選択は甘かった


 突如巻き起こる謎の現象により聖都は滅亡する


 強大な二匹の魔物を相手取り、単身で解決するには女神の力は及ばなかった


 しかし、女神は敗北を喫するも諦めてはいなかった


 残されし人間達の盾となり、最後の力を振り絞り女神はアスピクとの戦いに臨む




 エピソード名:踏み付けvs体当たり -勝手に戦え-




(とりあえず、こんな感じ?)


 閉じ込められて暇だったが故に練習していた技術を披露する。

 視覚的呪術によるテロップ流しである。

 四角い映画館のような枠を用意しその内で流す手法だ。

 アスピクと女神の一枚絵を背景に向かい合わせ対峙させるオマケ付きだ。


「ねえ。これ笑う所?」 


 しかし文章も構図も即興で考えてみたものの。出来は悪い。

 これではZ級映画にもならん。いや、Z級なら通用するかもしれない。

 しかし上映時間は短いのでやっぱり映画にもならない。紙芝居レベルである。

 そんな試みも実際の女神と比べて笑いでも取れればと思ったが効果は薄かったようだ。


(ん~確か自分等の目線だと笑えるかもしれないけど)

(この神々の箱庭っていうアイテムの中身見てみ?)


 ネーサンの機嫌を取れるものはないものかと考えるうち。

 ふとネーサンって収集癖あるよねと思い出したので

 それならばと、例のレアなアイテムへ矛先を向けてみる。


「ん。そういえばコレ。凄いわね。何なの?

 中に森があるんだけど。確かに箱庭っぽいわね。

 大樹の近くのこれは町? 生きてる人間いるっぽいけど」


 収集癖持ちのネーサンは食いつきました。

 続けてレア度も交えてご説明致しましょう。


(女神が言うにはアーティファクト級らしいよ)

(そん中にボクが閉じ込められてたみたい)

(今も中で巻き込まれた人間達が閉じ込められてるとこ)


 説明書も手持ちにあったので、ネーサンに渡しつつ気を紛らわします。

 良い食いつきを見せ、機嫌はあからさまに良くなっております。

 ネーサンはモノで釣ればよし。ただし高価で金がかかりそうですな。

 ちなみにヨルンは食べ物で釣ればどうとでもなりそうです。

 ともあれ、暫く食い入るように見入っているネーサン。

 落ち着いて何よりです。


 そういえばネーサンとの相手しかしてないなーと思い。

 ふと周囲を伺うと二匹のモブがユミルの尻尾で滑り台をしていた。

 続けてエレナが滑り降りると、勢いそのままにモブ達が股の下に挟まれる。

 何やってんだろう。あいつ等?


 向こうの様子が気になるが、

 説明書を読みながらのネーサンとの話は続く。


「へぇ。凄いわね。どういう構造なのかしら。

 アーティファクトっていたら私も一つしか持ってないわよ」


(そんなアーティファクト級がこの場に二つもあるようです)


 どうやらネーサンはアイテムの価値を知っている模様。

 一体どんな物を持っているのか気になる所ですが。

 アーティファクト級とやらの目の前にしての目の輝きが尋常ではない。

 下手すれば両方のアイテムを持っていかれそうな雰囲気だ。


「マジで? こっちも? うはぁ…欲しいわ!」


(駄目! ボクが貰うの!)


 という訳で反逆を試みます。

 自分も欲しいのですから仕方ありません。

 触手でアイテムをぐるぐる巻きにしつつ防衛体勢に入りました。


「むっ…ローヤルゼリーあげてたじゃない。

 アレね。小瓶一つで億単位の価値あるんだけど」


(なんだってー! って驚いたけど。結構な量食べた覚えあるよ)


 一瞬耳を疑いましたがローヤルゼリーで億単位…ですと?

 この世界での金銭感覚といったものが欠如していますので価値観が壊れます。

 …億って。どういう事よ。リンゴお一つ幾らぐらいなんです?

 比べるモノが何一つとしてありません。


「ヨルンちゃんが食べた量で人間の作る城が2~3個立つわよ」


(ノォー! って驚いたけど)

(守護者が普通の蜂蜜しか食べてませんって囁いてる)


 どうやらネーサン製の蜂蜜で城が複数件、立つらしいです。

 そんな価値の物を遠慮なしにガンガン食べてた事に後悔した所。

 守護者が脳内で情報を送り、方向習性を掛けてくれてます。


 聞けば価値的には城が建つではなく、家が建つだった模様。

 どっちにしても驚かされるばかりですが

 ネーサンにとっては情報を知られて大打撃だった模様。


「チッ…バレたか。希少品なんだから簡単に食べさせてらんないのよ」


 反応を見るにローヤルゼリー的なモノは食べさせて貰ってなかったらしいです。

 ちょっぴり上質な蜂蜜は貰ってたみたいですけど。

 …となると食べてたアレよりも、もっと美味しい物が食べられる訳か。


 じゅるり…思わず生唾を呑み込み。交渉を開始します。


(んで、ネーサン。二つあるんだから箱庭は自分が欲しい)


「それで、こっちは何よ?」


 こっちは? と聞き返され。

 そのもう一つを見ると例のキューブ状のアイテムです。

 女神が言うには効果が怖ろしい、このレアなアイテム。


(対象の依存するスキルを一つ奪えるらしいよ)

(ちなみにボクは守護者奪われちゃった)


 聞いた瞬間に顔を強張らせるネーサン。

 様々な葛藤を脳内で処理しているようです。

 そして思う所があったようで一人納得。

 アイテムの鑑定を済ませヨルンと向き直る。


「ふーん。なるほど。そうか。コレで私のアレを奪った訳ね」


(ネーサンも何か奪われたん?)


「ん、アレよ。世界の意思が女神に会った頃から全然聞こえなくなってたの」


 なんと、どうやらネーサンも被害者だったようだ。

 ネーサンがアレよアレなのとか言ってる時に嘘は無い。と思われる。

 守護者のようなモノだったのかしらね?

 守護者のようにスキル欄に表示されないん?

 という記憶の片隅にあった疑問が一つ解消された気分だ。


(なるほどね。ていうかソレ不完全な品っていう話)

(神が死んだからもう、それでお終いな品らしいよ)


「まあ…他人のユニークスキルを、

 どうこう出来るって時点でトンデモない品よ」


 思えば使用制限とかあるのだろうか?

 女神は不完全だと言っていた。

 思い通りに奪えない節があるからソレの事だろう。

 しかしそれでもレア中のレア物らしいし。

 スキルを奪う等という行為はそう簡単な物ではないという事を知れた。

 それだけで十分な収穫だ。守護者も対策を練ってくれているらしいし。

 自分も自分で出来うる限りの対策を練らねばな。気合を入れ直す。


(そんなアイテムが出てきて心配になったけど)

(セーブ&ロードはとりあえず奪われても自分以外には使えないので安心でした)

(ソースは守護者)


 とりあえずネーサンにさりげなく警告を。

 気を許したら絞り尽くされますし。

 下手打つと、セーブ&ロード奪われるまで

 試行錯誤を繰り替えされ兼ねません。

 そんときゃ全面戦争か今すぐ逃げるかってトコですが。


 その辺はネーサンも分かっている模様。

 目線一つで全てを見透かされるようなレベルにある気がします。

 どこか抜けてる気がするのがチャームポイントと勝手にイメージしてますが。


「まあ、それ抜きにしても凄い物だわ。女神からは接収確定」


 そう言って早速、アイテムを奪い取るネーサンがいた。

 しかしこのアイテムを接収するには問題が残っている。

 一つはロード時に聖都と共に元の鞘に収まる事。

 二つは女神が簡単に渡してくれるかといった所だ。

 故にその辺は伝えておきつつ対策は練っておかねばならん。


(ああ、でもね。また時間戻して聖都復活させる予定だから)

(アイテム取りに来るのは次ね)


「ん。復活させちゃうの? 折角潰したのに?」


(別に。聖都攻略も楽だって分かったし)

(残しといた方が楽しめそうっていう理由)

(あの女神さん。完全な敵に回したくはないってのもある)

(それに聖都って治安に重要っぽいし、無くなったら人間側も大変そうじゃん)


「なるほどね。ヨルンちゃんが言うならそれでも良いわ」


 一通りの話を終えてネーサンも納得してくれた。

 色々とゴネられるものかとは思ったが、一安心な模様。

 そこそこに時間が経った所為か彼方で行われていた破壊音も少なくなっている。


 見れば勝敗がほぼ付いていたらしくアスピク側が勝っているようだ。

 スライムに塗れた女神が2対1なんて。してやられた…等と呟いていた。


 その後に容赦なくトドメを刺されましたよ。

 豪快にFINISH HERでFATALITYで御座います。

 バットエンドでしたね。現実は非情であった。

 人間達に未来は無かった。自分…魔物で良かったわぁ。


 なんて思考も程ほどに。

 ロードする必要もなく女神さんのコンティニューが発動。

 世界が再構成され、時が逆行する。



ザッ―――



 あっ…ネーサンの記憶が。無いみたいです。


 そしてアスピクと女神さんも2ラウンド目を開始…

 アイツ等、究極な神拳を受けつつ壮絶な死を迎えても、

 次のラウンドではキッチリ復活的な戦いが出来るのだな。


 仕方なく、記憶の無くなったネーサンとの対話を最適化しつつ

 再度やり直しました。細かいやり取りも念の為、程よく再現。

 完璧なフラグを調整しつつ、ネーサンに説明2度目だよ。

 そう最後にそう付け加えるとマジで? と変顔された事から演技ではない模様。


 次なる女神とアスピクの戦いは、またもや女神の敗北に終わった。

 今度はそういえばコイツも記憶持ちだった…等と言っていた。

 0勝2敗である。流れ的に延々と戦い続ける事になるかもしれん。

 別に良いのだが何度もネーサンに説明するのが困る。


 なので今度はFINISH HERからのFATALITYは待ってもらった。

 アスピクに時間が戻るからFRIENDSHIPにしとけ!

 そう諫めて事なきを得た。

 どこからともなく取り出した小さな女神人形。

 アスピクの趣味ではなく即興でヨルンが作った一品だ。

 それを目の前に掲げて万事めでたし。


 女神さんのバーサーカーモード発動前で良かった。

 代わりに、このヨルンが雑巾のように絞られましたがご褒美です。



 やがて友情芽生えた女神と蛇王は語り合う。

 河原で殴り合いの後と似たような展開なのだろうか?

 地形が河原ではなくクレーターやらマグマ溜まりやらと混沌としてますが。

 とりあえずは落ち着いてます。


 入り込む隙が無いので今のうちにセーブを更新しておけば

 何かの拍子に再度事が始まっても安心ね。

 戦闘前と合わせてデータを二つ占有されてしまったが。

 セーブは完了。これで何が起きても問題ありません。



 そしてヨルンは思いつく。

 ネーサンの記憶がロード後に引き継がれないのを確定とするならば。

 一つ前々からやってみたかった事がある。



(それで、ネーサンよ。物は相談なんだけど)


「なあに? 言わなくても分かってるけど」


 相変わらずに察している。

 さっさと続きを言ってごらんなさいよと腕組足組。

 絶やさぬ笑顔は良い方向の笑顔ではあった。

 であるのならば、言ってしまおう。

 ロード後の記憶が欲しいのであれば色々試す必要があるのだから。


(一回ぐらい…ネーサンの事。食べちゃっても良い?)


 一度、食べてしまうか。

 眷属と化すか。


 思い当たる方法はこの二つに、もうひとスパイスを加える事。

 眷属化が通用しないとあれば前者を選ぶ必要がある。

 その方法すらも確定ではないのが困りものだが。

 試さない事には分からない。失敗したら…ゴメンナサイ?


 嫌がる事はしたくはないのだが。

 ネーサンの続く言葉で決意は固まった。


「私を打ち負かせたら。なんでも言う事聞いてあげるわ」


 そう…ネーサンも魔物であるが故に。

 力で捻じ伏せる事を歓迎したのだった。


 根っこが臆病なので負ける可能性が1%でもあれば戦闘行為自体行わない。

 始まってしまっても持ち前の速度で全力逃亡を行う。

 そんなスタイルを貫いて来たらしいネーサン。

 負け無し=勝負すらしていない


 等と言っていた事があったけれども今では魔王扱い。

 逃げているだけでそう呼ばれる事もあるまい。

 相応の強さを持っている事は承知している。


 目の前には戦闘フォルムとなったネーサンが現れた。

 …どうやら本気で戦い。屈服させてみなさい。逃げはしない。

 そんな意思がありありと伝わってくる。


 自身も自然とこの身を戦闘フォルムへと変貌させていた。


 そして思う。何も考えてなかったと。

 守護者…どうしたらいい?



―――確認 このヘタレ蛇 瞬殺でいけ



 はい。分かりました。

 ネーサンが本気で来るとは思わず、真っ白になった思考を一新し気合を込める。

 固めた決意が半端だったようだが、大丈夫だ。もう問題無い。


 我が儘を押し通す為の解決方法。

 理由はどうあれお互いが、そのような気性の持主な魔物なのだ。


 なんだかんだで楽しみとして残っていた一つの選択。

 存分に楽しませて貰うとしようかな。



 ………



 固唾を呑んで見守るモブ達は昇格する事無く背景だったが

 いずれ全面に押し出てくる事もあるだろう。

 アスピクに続き、その他も各々の対話を止めて見物に入ったようだ。


 対峙するユグドラシルの魔物が二匹。

 ランクとして最高のAに分類されし魔物である。

 そんな魔物が周りの情報の一切を切り捨て見つめ合う。 



「何度挑もうが、屈服させてあげるわ」


(全力で行きます!)



 そしてこの時。なんとなく感じていた。 

 100年以上も生きている魔物であるネーサン。

 そして魔王と呼ばれていた魔物の意味を知る事になると。


 

   *   *   *

ネットに接続する度落ちていたPCの調子は良好。

しかしストックは無いので次の更新も遅れるようです。

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