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百聞と一見の差が凄いのですが

PCリカバリーからの復帰

スローペースですが続けます

 情報量過多。ヨルンは全て覚えきれません。


―――確認 必要な情報を後に纏めます


 ありがとうございます。

 心からの感謝をお送りします。


―――確認 心からの喜びを感じました


 うむ、やはりコレがなければ始まらん

 ところでアスピクが大イビキをかいて寝てるんですが。


―――確認 自我が芽生えたと言っても主が元になってますし


 それは暗にこのヨルンが馬鹿だという事かね。


―――確認 主より馬鹿なのがアスピクです


 …はい。もう良いです。

 というか守護者の方こそ自分の分身だっていうじゃない。


―――確認 育つ方向性が違ったので主とは全く別の意思となってます


 うむ。そうですな。理解してます。

 私が悪うございました。

 という訳で、改めて整理しましょう。



 まずは、この可愛らしい奴等は何?



「本当に…ティアなの?…中身は全然違うみたいだけど」

「お初にお目にかかる。自分はユグドラシル・サプであります」ぷるん!


 目の前の二匹の魔物はなんとなく予想が付いている。

 自分と同じユグドラシル種だとかいうレアな魔物でしょう。

 片方は名乗ってますし。同じような力も感じる。

 そんな2匹が共に目の前の揃ったという事は。

 4種しか存在出来ないという種族がこの場に全て揃ったという事。


 それって凄い事なのかもしれない?

 それにしても。やっぱり可愛い系魔物ですな。

 敵対関係にあるというから、怖い系魔物を想像していたというのに。


 種族にしてスライムは分かりやすい。

 丸っこくて変身可能なのも分かりやすい。


 人型の少年少女のような、童顔でちんまい人間っぽいお姿に一瞬で変貌する様は見事。

 とはいえ、素の状態であろうまん丸姿が一番楽なようです。

 人型状態は見ようによっては綺麗なクラゲ系魔物とも見えなくもない。


 もう一方は…アレですな。魔物娘ですな。分かります。

 顔立ち体付きが人間と似ております。

 緑っぽい肌なのは植物系な魔物だからだろう。

 下半身が植物系のあれこれで、とんでもない事になってますが。

 所謂アルラウネとかマンドラゴラとかドリアード系のようなものだろう。

 もしかすると雄かもしれないが。

 そもそもにユグドラシル種には性別が無いっぽいし無性?

 どっちにしろ子供。というか魔物ならば簡単に作れる訳だから関係ない。

 何はともあれ初対面の印象は可愛い、という事も相まって悪くは無いのですが。


(んーとね。まあ何度も言うけど)

(ボクがユグドラシル・ティアらしいね)

(キミ達も見た所、同じような種族ってコト?)


 という訳で確認です。観察です。

 こうして面と向かって対話出来るとは思わなかったね。

 なんだか物理的な距離が相当に開いているので

 モブキャラか何かだと思ってましたけど…

 その他の濃い面々に比べれば空気になるのも致し方無しか。


 分かりやすくデカさが違うんだもの。

 何このデカイ蛇と壁の如しな竜は?

 両者共に大人しくしてくれてるので問題無いけども。

 片方は爆眠中で一体何をしに来たのやら。


 そんな寝てるだけの蛇は無視して対話の続きですが…

 モブキャラとの距離感が凄いのでやり辛いったらありゃしない。


 コソコソと可愛い姿の魔物が頑張ってお話をしている。

 そう考えれば癒される気分にもなれるかもしれない。


「そうです。まさか本当に…誕生してるだなんて」

「こっちはリフと言います。同じ魔物同士。宜しく願いますよ」ぷりんっ!


 そんな彼等は自分の姿を見て、驚かれているようです。

 始祖竜であるユミルを壁替わりにして物陰から此方を伺うその姿はなんとも可愛い。

 怯えてるのか、敵視しているのか。

 ネーサンの話では期待するなって話だったが

 こうして実際会ってる見ればなんとも拍子抜けだ。

 自分とネーサンの両方に怯える様子が普通に見て取れる。

 こうまであからさまだと、演技を疑うのも馬鹿らしい。


(んっ…まあ宜しくね)

(で、もっと近くに来ないん? )


 とりあえず敵対心は見せずに友好的なお誘いを。

 体を震わせるだけで、寄ってきません。

 ユミルに至ってはココへやってきてから挨拶のみ。

 彼等とのやりとりは終始、壁の如しに我関せず。

 まあ、関わってこられてもややこしくなるだけかもしれないけども。

 そんな壁の後ろからの対話はなんとも奇妙だ。


「ああいえ、お構いなく」

「私達は気にせず、どうぞ続きを」ぷるぷる。


 ダメだこいつ等。小物だ。

 能力的には強そうなのに出てくる時期を間違えた系の奴等な気がする。

 …観察するも悪くない気はするのだが。

 なんとも挙動が小物だ。モブキャラだ。


(一緒にこっちで話せば良いのに)


 諦め交じりに自分は隣のネーサンへ流し目を送る。

 なんとかならない? そんな意思を込めて。


「別に。良いのよあんな奴等。

 お腹すいたんなら食べちゃっても良いわよ」


 ネーサンは非情だった。

 そんな事を言われると食欲が沸いてきます。

 食べ物を見るような目であんな奴等を見つめると

 そんな意思を感じ取ったのか必死に弁解を始める可愛い奴等が発生。


「リム! 私達、仲間でしょう?」

「そうだぞリム。

 同じユグドラシルの魔物として私達は強力しないと」ぷるる…


 ふむ、彼等が言うには仲間らしいです。

 確かに同じような種族といえばそうですが。

 自分にとっては初めての。

 そしてネーサン情報により印象操作をされてしまった後の相手でございます。


 ネーサン > その他モブ


 そんな構図が出来上がってる故にモブを脱却して貰わないと、

 どう扱って良いものか、ヨルンさん困ってしまいます。


「知ってんのよ私達。どっちもアンタ達がしてた事。

 人間使ってまで行動してたっていうじゃない?」


 ネーサンは非情です。追撃もしっかり行いました。

 しかし自分は理解しております。切り込み口を用意してくれたのですね。

 そうだと言ってよネーサン?

 そんな意思を込めて見つめると尻尾を針でツンツンされます。

 うん分かってる。追い詰めろって事でしたか。

 ですが自分は癒しを求める旅人です。

 友好的に出来るのであればその道を選びますよ。


(んー。別に良いよ。ネーサンも虐めない虐めない)

(なんだかんだで可愛い奴等じゃん)


「可愛いって言ってもこいつ等アレよ。

 こんな姿でもランクAに分類されてんだから相当強いわよ」


(でもボク達には敵わないんでしょ)

(弱いもの虐めは良くないよ)


 可愛いは正義。癒されるので何事にもプラス修正が働きます。

 癒しに飢えていた、今のヨルンに効果は抜群。

 ネーサンは警告を促すものの、お互いに脅威には感じてない模様。


 話して良し。愛でて良し。食べて良し。

 3拍子揃ったので友好を結ぶ方向で進めてますよ。

 相手さんもほんのり距離が縮まった感がします。


「ティア殿…我等を許して下さるのですか?」

「おお…しかし弱いもの虐めだなんて…」ぷりりん!


 しかし縮まった距離もほんの僅か。

 どうにも距離を置かれるのは相変わらず。

 ネーサンが怖いのか自分が怖いのか謎ですが

 アレ等について、どうにもイメージが固まりません。 


(許すも何も、ボク自身が被害受けた訳じゃないし)

(それになんだか、イメージと全然違うじゃん)

(どういう事なのよ、ネーサン?)


「んー、ココまでヘタレてるとは思わなかったのよ。

 そこの女神に大分調教されたのね。昔はこうじゃなかったわ」


 なるほど。女神に面識有り。そして調教されましたか。

 その様子が目に浮かびます。となれば別段に脅威となる相手でもないと。

 サプにリフという二匹の魔物は害にはならないと判断。

 扱いは後に決めるとして、その他の問題が山積みですからね。


(ふーん…まあいいか。困るような事でもないし)

(ま、仲良くしようや)


 挨拶も程ほどに次に参ろうとしたその時。

 ネーサンよりお声と顔を突っつく針がキラリと光る。


「で、聞きたいんだけど。ヨルンちゃん」


(なーに。ネーサン?)


 なんだか穏やかじゃないですね。

 理由は察しますが、脅さずともにヨルンはなんでもお話ししますよ?

 意思を込めてネーサンを見返せば、お顔が近いです。

 遠くのモブ達は壁の後ろへ退避しておりました。

 一体何をしに来たのだろうか。

 しかしそんな考えをする間もなくネーサンが威圧してきます。


「時を戻すってどういう事よ」


「そうだヨルンよ!

 キサマのお陰で我等は聖都に中々辿り着けんかったぞ!」


「シカモ…ヨルムンガンド、トナッテ女神ト相対スルトハナ…」


 ネーサンが話を切り出すと同時に大物共が次々と口を開いた。

 後者のお二方はあのロード地獄の記憶を引き継いでいるようで

 ある程度の状況は理解している模様。

 彼等には説明が必要のようです。


(ああ、女神さんの心が折れなかったから長々と続いちゃって)

(埒が明かなかったから、ヨルムンガンドの姿を軽く見せてあげたの)

(流石にアレ見せたら一発で落ちちゃったね)


 納得するユミル。

 何故か憤慨するアスピク。

 そして頭にクエスチョンマークが浮かび上がるネーサン。

 各々が反応を見せる中、怒りを見せるアスピクを宥めるべくお声をかけます。


(そういえばアスピクも女神さんと戦ったんでしょ?)


「うむ。まさか正面からぶつかり合えるとは思わんかったがな!」


(本気出したん?)


「いいや、守護者が言っていたように。

 ラスボスというのは第2形態とかが必要だ!

 という事で蛇王の象徴は広げずに戦っていた!」


 思惑通りにアスピクの気は逸れた。

 色々突っ込みたい所だが、とりあえず本気じゃなかったらしいね。

 突っ込みどころになんで頭部分の髪の毛っぽいのが増量してるのか。

 王冠みたいなの被ってるのとか。なんでこんな集まりになってるのか。

 聞いてみたい事は山ほどにあったが、女神側が憤慨し口を挟んでやってくる。



「違和感あったし。別に私も本気じゃなかったからね」


 そして本気じゃなかった合戦が始まりましたよ?


「うむ! 女神よ! ならば本気でやり合おうではないか!」


 アスピクは鬱憤を晴らしたいらしく、やる気は満々だ。


「だるい…コイツと戦った後だし。疲れた」


 しかし女神はヨルンを指差し乗り気ではない。


「なンだと? 逃げるのか!? 臆病者めが!」


 興奮冷めやらぬアスピクは見下しながら挑発を試みた。


「ああん? 少しは空気読め。馬鹿が」


 そしてガン飛ばし合戦が始まる。


「馬鹿とはなんだ! 我は貴様を叩き潰す為に復活したのだぞ!

 全力を出して我を相手取らねば、この世界ごと破壊し尽くすだけだ!」


 そういえばアスピクが復活した目的ってこの女神潰したいんだったっけ。

 どこぞの伝説の超戦闘民族のような台詞を吐きつつアスピクがいきりたつ。

 どうやら諫める手段はないようだ。


 ユミルは特に動く気配はないが、

 意思を込めた視線を向ければ何かを察したかのように口を開く。



「勝手に戦エ。ヨルン…後始末ハ任セタ」


(おっけい。どっちもロード後の記憶残ってるから問題ないね)

(セーブしとくよ)


 構図としてはなんとも奇妙な関係ではあるが争いは避けられないようだ。

 諫める気も沸かず、誰も割って入る様子もなし。

 割って入った所で両者を敵に回し、理不尽な暴力をその身に浴びるのは想像に難くない。

 彼等の心情を知るために努力ぐらいはするべきか?

 そう考えた所で守護者のアナウンスが入る。



―――確認 データ2にセーブしました。



 それと同時に女神の蹴りがアスピクの腹を捉えた。

 10Mを超す巨体が玩具の様に宙を舞い、続くローキックとも似た蹴りにより

 アスピクはサッカーボールの如しに遠くへと飛んでいった。

 なんであんな蹴りで吹っ飛んでくの…?


 追い打ちを掛けるように虚空を蹴り、突進していく女神は第三者視点でみるならば

 やはり別次元の強さを持っていたと認識せざるを得ない。

 続け様に響く轟音が止まぬ内は戦闘が続いているという事だろう。



 ズゴォォォォーーーン。。。

 ドゴォォォォオーーン。。

 ゴォォォォーーー。



 人知を超えた戦いの騒音が遠のいていく。

 当事者でなく、傍観者の視点から感じる様子で見るとあんなモノとやりあっていたのか?

 実際やるのと見るのとでは全然違うではないか。

 ほんのり湧き上がってきた恐怖感に身震いした所でネーサンが話をかけてくる。

 


「…で何よ。そのロードとか。時間を戻すとか」


(えーとね。ネーサンならこの説明で問題なさそうだし簡単に言うよ)

(セーブした地点にロードで戻れます)


 落ち着いた頃合いを見計らいネーサンが解消されず仕舞いだった疑問を投げかけてくる。

 対する答えは至って単純。もはやごまかす事は困難と判断。

 記憶が無い地点まで戻る事も考えましたが、ネーサン相手であるなら。

 いずれはバレる事だ。早い段階で教えた方が良いだろう。

 覚悟を決めるお時間ですね。


「…マジで? ポータル的な何かじゃなくて。冒険の書的な?」


(うん。ROMカートリッジ的な復帰方法。データは今んとこ基本が3つ)


 ポータルと聞いて。ああそういう考え方をするか。

 立ち位置をセーブしてロードで瞬時に移動できる的な。

 空間歪曲というスキルを使用していたが故にそっちが思い浮かん訳だ。

 しかし生憎と別枠スキル。

 故にネーサンにも分かりやすそうな例えで応えました。


 思えばROMカートリッジ時代のセーブデータは何かと3つ枠が多かった。

 2つの物もあれば、1つだけっていう物もちらほら見受けられたが。

 自分のイメージとして3つある。というのがなんとなく印象強い。

 ともあれセーブ枠は多い事に越したことはない。

 今の自分はセーブ枠がクイックセーブ枠も含め4つある状態。


 …そうだ守護者よ。データ2は聖都崩壊記念で暫く残しておいてね。



 ―――確認 了解 女神との交渉用として残しておきます


 

 よし、これでセーブ残り枠は残り1つ。クイックセーブ枠のみか。

 他に使用用途もないし今はこれで十分。

 ネーサンも悩んでいたようだけど、思う所が沢山ありそうだ。


「戻るとどうなるの? ほんとに過去に戻れるとか?」


(大樹が現れた日。ボクの誕生記念。つまり最古のセーブ地点がその日)


 そんなネーサンは時が戻ると聞いてどの辺まで戻れるか気になった?

 変な期待を持たれても困るのでバッサリと切り捨てます。

 自分が生れ落ちたその日までしか戻れないと伝えましたよ。

 どちらにしろ、ネーサン自身で分かっている顔をしてますし。

 本人に確認を取りたかった。そんな意思を感じましたし。


「ああ…そうか。成程。あの日までは戻れる…となると」


(一応聞くけど。ボクが何度ロードしたとか想像付く?)


 納得したらしいネーサンへ、なんとなく聞いてみる。

 ロード後の記憶があるのかないのか。それを改めて確認する為だ。

 今の所は記憶無しの判定ではあるが、ロードというスキルの存在を認識した今であるならば…

 力があり、尚且つセーブ&ロードという現象を認識したとなれば。

 今後どう転ぶかは分からないが、ネーサンは首を傾げるばかり。

 つまり、ただ可愛いだけである。


「何度って…情報が全然足りないわよ」


(10年単位で2度3度と戻って今に至る感じね)

(ネーサンとの会話の中で違和感があったら多分それが関係してるってトコ)


 自分の言葉を聞いてネーサンは納得するかのように頷いた。

 思えば違和感を出さぬようネーサンとの会話をしていた時。

 見透かすような目で度々、鋭く睨まれてはいたが。

 嘘は言っていないが故に追求される事もなく肝だけが冷える瞬間もあったけね。

 情報を整理し終えただろうネーサンの出す答えはどこに行きつくのか。

 ほんの少しの間の後。ネーサンは妙に優しい声で語りかけてきた。

 久しく見ていなかった怒りの感情を込めて…



   *   *   *

今更ですが。

まともなヒロイン的な存在は蛇に寄りついてこないようです。

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