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コマンド→***→セルフ

あらすじパートでもあります。ご注意を。

 ココは何処?

 ワタシはだあれ?


 ココは変なトコ。

 ワタシはヨルン。蛇の魔物です。


 蛇の魔物なんですが異様な空間に放り込まれています。

 時間の感覚も無ければ眠気も空腹感もやってこない。

 説明に難しい、とんでも空間に収められています。

 

 頭は働いているものの。

 怒りと憎しみと荒れ狂う激情を

 何者にもぶつける事が出来ずに漂っています。


 今目の前に壁があれば壁ドン待ったなし。

 天井でも床でも何からの対象物があれば、ぶち抜く準備はある。

 何かしらの生物が現れるのであれば

 問答無用で巻き付いて全身の骨をバキバキに砕いた後に、

 生かしたまま丸ごと呑み込んでやると思うぐらいに。


 荒れていますよ。大荒れ模様のヨルンです。

 誰も近寄らないでください。

 いえいえ、誰か来てください。

 そして現状を教えてください。お願いします。


 勿論返事はありません。

 守護者からの返答もありません。

 その守護者がいないと気づいたときの荒れ模様は、

 お伝え出来ないレベルでした。


 尤も。荒れた所でどうにもならない現状故に。

 今しがた悟りの境地に達した所です。



 なあ守護者よ。


 守護者~?


 守護者ちゃーん?


 おーい。守護者よ。


 ヨルンの守護~?


 …

 ……

 ………


 返事が無い。ただの独り言のようだ。


 その方向には何もありません。


 どこへ向かって話しているのだ?


 調べる。何もない。


 チェック。問題無し。


 足元には何もない。


 それどころか足場が無い。


 むしろ何もない。


 光も無ければ空気も無い。


 自分自身が生きているのかすらも分からない。


 その自分自身はココにいる。



 とりあえず移動は出来る。

 視認できる範囲で足元方向へ移動してみる。


 するとどうだろう。

 頭の上に尻尾がある。


 どれ右に移動してみよう。

 延々と移動が続く。

 どこかでループしているとしか思えない。


 試しに体をめいいっぱいに伸ばし右に移動。

 すると進行方向へ尻尾がある。


 やはりループしておる。再認識完了。


 となればする事は一つ。

 慣性っぽいのは働いているので自由落下を続けてみよう。



 延々と落ち続けるぞぉー!



 フッシャッシャー!

 気をつけな…蛇の動きは…けーじーびーに読まれているぜ!

 分かる人にしか分からないネタでしかないこの行為も何度目だろう。


 何度も何度も状況整理。

 試せる事は全て試した。

 ストレスが溜まりに溜まった挙句の自傷行為も既に飽きた。


 一周回って冷静に悟りを開けた頭でさらなる思考を始めるも。

 今の自分に何が出来るというのか。


 この状況を打破可能なスキル。

 思いつく限りを挙げてみよう。



『世界樹干渉』『空間歪曲』『空間支配』



 これだけしか思いつかず。

 何度目か分からないが繰り返す。


 『世界樹干渉』により自分の体を作り変え

 世界樹の根をこの空間へ張り巡らせる。

 隙間無し。確認完了。現状把握を改めて終える。


 『空間歪曲』によりこの怪しげな空間からオサラバ!

 そもそも転移先が一切見つからず。

 ワープ先が別ウインドウに表示されません的なイメージだ。


 となれば唯一の望みは『空間支配』である。

 アスピクより伝授されたこのスキル。

 使い道は未だに分かってない。

 

 冷静になれた思考の中で模索するもやはりとっかかりすら掴めない。

 きっかけさえあれば使いこなす自信があるものの。

 なんともまあ…分からない。


 最初こそ気合を入れて魔力を込める。

 気合と根性!理屈なんざいらねえ!

 といった感じで燃えていたものの、結局何も出来なかった。


 であるならば。

 もういっそ諦めて考えるのをやめる選択肢が沸いて出る。

 これを選んだ瞬間。蛇の魔物として生まれ出た自分の生は

 一つのエンディングを迎えるだろう。



 - バッドエンディング - 【C】



 不思議空間にて考えるのをやめたヨルン

 守護者を無くし。全ての行為が無意味と悟り。

 尚且つ死ぬ事も出来ずに永遠の時を過ごすのだった。



 わあ。やけにあっさりしてるけど。

 正直どうしてこうなった。

 という思いしか沸いてこない。


 折角なので『視覚的呪術』とセルフ管楽器にて

 エンディングロールを流そう。




 テーテケテ、テケテテーン。

 テケテテケテテーン。テーン!



 ペーペーペポポー。

 ポーペペ~ポーン。



 トゥートゥー。テロロローン。

 ペルペル。ペーペプ。チロチロレーン。トン!




 蛇の魔物『リトルスネーク』として生まれ出たヨルンは

 人間の記憶を残したままに魔物的な生活を送る事になったが

 元が平凡な人間だったヨルンはあっさりと死んだ。


 凡人であるヨルンが生き延びるにはこの世界は厳しすぎたのだ。

 しかし蛇の魔物として転生していたヨルンにはとんでも能力が備わっていた。


 単純明快に。不死身の肉体を持っていたのだ。

 HPが0となり、死んだとしてもすぐに復活する能力を持ち。

 尚且つ自分を殺したであろう者を呪い殺せる恐ろしい力が備わっていた。


 紛れもない強者の筈だった。

 ヨルンは何度も死んだ。その度に復活し。また死んだ。

 ある意味で拷問とも似た生活だったが唯一の心の拠り所。

 ヨルンの分身である守護者の存在が今のヨルンとしての意思を繋ぎ留めていた。



 ヒュルルルーン。ルルル。ピロロロ~ン。



 数年の時をリトルスネークとして過ごし。

 世界について理解を得て。様々なスキルを会得して。

 ヨルン自身が野性的な生活を満喫出来るようになった頃。

 ついにヨルンは魔物としての進化を果たす事が出来た。


 

 この時が自分の魔物ライフが輝きを増してきた頃だろう。

 圧倒的な戦闘能力を手に入れ、俺ツエー伝説が始まったのだ。



 ペペポ。ペポペポ~ペポポ。ポポポー。



『エビルパイソン』

『アサシンヴァイパー』

『スネークリング』



 いずれも人間側より災害クラスと呼ばれる魔物達である。

 自分はこれらの魔物となりて森の中を闊歩した。

 そして大海を知るのもこの時だった。



 ピーピプ~ピープー。ピープーピーポー。




 エビルパイソンとなり調子付いていたヨルン

 我が物顔で森を闊歩し数年の時の魔物ライフを満喫していた頃

 ヨルンは拉致された。己に理解できぬ方法で拉致されたのだ。

 決して食べ物欲しさに釣られた訳ではない。

 場所も分からぬ石牢の奥深く。

 ヨルンは監禁されたのだ。


 相当な時を過ごしたようだが日も差さぬ石牢の中

 正確な時も分からず餌付けされる日々。

 言葉も分からず軟禁される生活だったが

 ヨルンを閉じ込めるにはその牢の作りは甘すぎた。



 ロロローロン。ロッロッロ~ロン。



 気配を殺し。液状化し。天井を這いまわり。

 地形を把握し。人間を観察する。

 どういった施設なのかの判断も付かなかったが

 常軌を逸した場所であったのだけが理解できた。


 そして理解出来ぬままに現れた謎の魔法使い風の幼女。

 うっぷんが溜まっていたヨルンは触手を解放する。

 邪な心を持ち幼女に迫るエビルパイソン。

 しかし己よりも強大な相手に対し殴る蹴る投げ飛ばすの暴行を

 平然とやってのける幼女は格が違った。

 触手は引き千切られ、顔面は陥没し、勝鬨をあげられた。



 テッテッテーン…テーテーテテーン。



 己より小さな相手からの敗北。

 魔法幼女(魔王)と後に知る事となったが

 あの時に植え付けられた感情はトラウマの一つとなっている。 


 その後。全てを無かったものとして森の生活に戻るヨルン。

 次なる進化先をアサシンヴァイパーと決めて再び森を闊歩する。

 そして見つける。冒険者達の拠点と思われし建物を。

 人間との交流に飢えていたヨルンは早速潜入活動を開始。

 潜入とはなんだったのか。一方的な蹂躙が行われた。

 死者こそ出さなかったものの言葉は通じず意思の疎通は不可能かに思われた。



 カランカラン…コロンコロン。シャーシャーシュー。テンッ。



 それでも懲りずに何度も冒険者の宿を訪れるヨルン。

 一方的にじゃれついた結果。

 通い蛇程度の地位を得て酒や料理にありつける生活を手に入れたが。


 やはり魔物であるが故に冒険者が依頼を受けて排除にやってくる。

 追い払うか。殺してしまうかの2択となっていたようだが。

 ヨルンにとっては遊びの一つとなっていた。


 そしてヨルンは冒険者との物騒な遊びを繰り広げる毎日を過ごした。

 冒険者側の死者は不明。重軽傷者多数。

 合計数百名もの人間を相手取るうちに一人の初老の剣士が現れた。


 そんな初老の剣士との戦いも今では良い思い出だ。

 100連続で首を跳ね飛ばされた。

 これだけ聞けば何を言っているか分からないが。

 100度挑戦して100度負けたのだ。

 意地になり何度も挑んだ結果である。



 テン!テン!テンテントゥーン!



 そして敗北感を根っこから植え付けられたヨルンは逃げ延びる。

 スネークリングとなり気持ちを切り替えたヨルンは前に進む。

 人間との係わりを諦めきれなかったヨルンは古ぼけた建物へ侵入した。

 廃屋かと思われたが中身は意外としっかり整っており。


 埃は積もっていて誰も居なかったものの、生活感は残っていた。

 探ってみれば様々な設備が整っており人間が生活するには

 不自由しない場所だった。そして書物の発見だ。

 その文字すらも理解の及ばない言語であったが。

 何とか理解しようと、読みふけるうちに家の主との対面した。

 絵に描いたような魔法使い風のおじいさんだった。



 デンッ!。デンッ! 。テッテーテケテテケテテーテ。



 魔法使い風のおじいさんとの出会いを得て言語を取得した。

 様々な魔法の知識を得て今のヨルンが成り立っていると言っても

 過言ではない出会いだった。


 その出会いにより人間との対話も可能となるが、やはり魔物の体。

 町へ繰り出しての、まともな交流方法は期待できず

 ひたすらに己を磨いていた時期でもあった。


 その結果が蛇の家電製品の誕生である。

 魔法の力を巧みに操る事で。掃除機になり。除湿器も加湿も可能。

 扇風機にも炬燵にも冷蔵庫ともなり調理器具代わりともなれるスキルを得た。



 ヒュロロヒュロロヒューロ~



 自分自身に自信を持ち始めた頃。世界が闇に包まれた。

 全貌を把握する事は適わなかったが

 その時に魔人と呼ばれる存在と出会う事になる。

 極大魔法を初めて目の当たりにし最高のテンションを迎えたヨルンだが。

 その魔法を食らい尽くす事によりユグドラシルの魔物へと進化した。



 世界に4種しか存在出来ぬ魔物となり。魔人を圧倒し撃退に成功。

 結果として一つの国を一時的に救う事になるがその後どうなったかを知る事は無かった。



 テントンテントンテンテンテントン



 そして強大な魔力を内包する事によりアスピクの存在を感じ取る事が出来たヨルンは。

 自らの中に眠るその存在を解放する事を決意する。


 正確な内容をヨルンは覚えていないが

 ワールドイーターとなり。破壊の限りを尽くし。

 自我を失いながらに世界の半数以上の生命をその身に取り込む事により

 さらにはその先へヨルムンガンドへと進化する事になったが。



 テッテッテッテッテーテン!



 始祖竜との遭遇である。

 圧倒的な存在感持つ(ヨルムンガンドより小さな)ドラゴンを前にして

 ヨルンの魔物としてのテンションは最高潮を迎えたが故に

 その場のノリと勢いに任せ戦う事になったのだ。


 ヨルンは一切のスキルを惜しまず挑むも内容は一方的に甚振られ

 ドラゴン側から見れば幾ら攻撃しても

 死ぬ気配を見せず毒を撒き散らすヨルムンガンドを前に戦意が削がれ。


 

 カラカラガラガラ…カララーン。



 結果としてその毒によりヨルン側が勝利したものの

 世界の大半がヨルムンガンドの毒素に覆われた。

 ヨルン的には納得のいかない勝利であったが

 その後の後始末により。始祖竜はヨルンを認めたようだった。



 ポンッ…トゥーポンッ…トゥー。ヒューヒューロッロッロー


 

 自らの大半を世界樹と一体化させたヨルンは

 ユグドラシルの魔物となり再び世界に誕生する。

 始祖竜はその姿に欲情し我が子を成せと強引に竜石を埋め込む暴挙に及ぶ。

 結果として蛇の魔物としての器が一つ出来上がり。

 その器にヨルンが転生するという珍自体が発生してしまった。


 故に今のヨルンは始祖竜の子である。

 元の器にはアスピクが占拠する事になったので。

 今のヨルンはアスピクの子でもある。


 親1.始祖竜ユミル

 親2.蛇王アスピク


 即座に育児放棄されヨルンは他のユグドラシル種探しへの旅へ出る。

 世界に4種類だけしか存在出来ぬ存在とはいえ。

 その能力は魔物として最上位に位置する存在。


 明らかに異質である領域へ踏み入る事により。

 ヨルンは同じユグドラシル種であるユグドラシル・リムの下へ辿り着く

 運命的な出会いを果たしたヨルンは知識を蓄え。

 同じユグドラシル種のリムと親睦を深めるが。



 ピーピ~ポポポ~。ヒューロロロン~

 フゥー…フフ………フー。。。





 なんだこの説明の出来ない謎な状態は!

 打ち切りエンドか!

 強制他視点へ移動なのか!

 それともバグった世界なのか!

 バグ・アシスト・タイムアタックしようとした結果の失敗なのか!



 真面目なお話。思い当たる節は。

 聖都の女神。クレリアだかの空間系スキルだと思われるが。

 正直それだけとして確定するのはあまりに情報不足。


 安全牌だけでこの場を切り抜ける事は無理と判断。

 危険を冒す選択肢も視野に入れる頃合いだな。


 思い残す事は沢山あるが。

 もうこれ以上。何も出来ずにこの場に留まる事など出来ぬ。


 唯一残ったこの負の感情。

 自分自信という形を留めてあった最後の砦。

 守護者の存在が無くなった今。

 元々残っていたのかもすら分からない理性の欠片も消えるかもしれない。



 このまま存在自体を消しさるか。

 再び守護者をこの手に取り戻せるのか。

 この2択だけで良い。



 はじめよう…

 この理解の及ばぬ変な空間から抜け出せるか否か。

 死ぬのが先か。この空間を打ち壊すが先か。



 後先なんて考えぬ。これが魔物的思考よ!

 待っているがいい!

 どこの誰かは知らんが!

 このヨルンを!

 こんな目に合わせるような輩!

 四肢をもいで!

 内臓の代わりに触手を詰め込んで!

 脳味噌に世界樹の根を埋め込み永久の苦しみを味あわせてくれよう!



 そんな叫びを念話に出すだけ撒き散らしておきながら。



 悟りを開いた自分の内心は激情に駆られる事なく平常運転である。

 改めて何をすれば良いんだっけ?


 何かを思いついた筈なのだが。

 勢いで魔物的思考をぶちまけた結果

 それを忘れてしまう失態を冒してしまったのだ。


 まあ良い。こういう時はもう一度流れを作って思い出せば良い。

 では悟りの境地に達した自分は。再度エンドロールを流そう。



 テーテケテ、テケテテーン。

 テケテテケテテーン。テーン!



 ペーペーペポポー。

 ポーペペポーン。



 トゥートゥー。トゥルルルーン。

 リロリロ…ヒューロロン。



 んー、何かが違う。こーでもない。

 あーでもない。そうでもない。



 そうして時は過ぎていく。

 そんな様子を誰かに感じ取られる可能性があるとも思ったが。

 ヨルンは納得が行くまで『視覚的呪術』による、

 セルフエンドロールを流し続けるのだった。



   *   *   *

正直こんな形で終わらせるつもりがありました。

無論終わるつもりはないのですが。長期休止となります。

ヨルン先生の次回作にご期待ください。

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