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世界を知ってる魔王様

 ヨルンですよ。蛇の魔物なんですけど。

 今は薄暗くてベトベトしてヌルヌルしている場所に収まっています。

 光源は触手の先に魔法の力を貯めれば光ります。


 良い匂いがします。

 ハチミツに塗れて幸せです。


 動こうにも蛇をダメにするクッションのようなうずもれ具合で

 なんとも動けません。


 呼吸の方は…なんとかなってます。

 窒息したり圧迫されて死ぬなんて事は無いので安心です。


 こんな調子で時間の流れを忘れ、お昼寝していました。

 目が覚めてもぞもぞ動いていた所で。

 お声が掛かりました。



「ヨルンちゃん、生きてる?」


(ネーサンのナカ…アッタカイナリー)


「その様子だと大丈夫みたいね、変態さん」


(解剖されるより…こっちが良いです…)


「んー、ダメよ全然ダメ。呑み込むまで楽しかったけど

 そこからヨルンちゃんしか楽しんでないじゃない」



 そう…自分はネーサンに食べられてしまったのでした。

 今はお腹の中です。胃袋の中です。

 しかも…全然平気でした。防御も高く耐性も付いているので。

 ネーサンのナカはなんの問題も無く居座れる空間となっていました。

 時折激しく動くも気分はマッサージチェアーであります。



(えー、最初の頃はここから出してー!)

(溶けちゃうー!助けてー!なんて言ってたら楽しんでたじゃない?)


「そこからヨルンちゃん…すぐに寝ちゃうじゃない。

 姿も見えないし、声も無くなったら楽しみも全然よ」


(うー、ネーサン寝袋化計画は早くも挫折した)


「さっさと出てきなさいよ。胃もたれしちゃうわ」


(ほーい、目も覚めたしテレポート!)



 という訳で蜂蜜べっとべとの状態ですがあっさりお外です。

 『空間歪曲』とは便利なスキルを手に入れてしまったものだ。

 脱出方法が無ければこんな体内に収まる等という事は思いつかなかったよ。 


 ふぅ…ネーサンの主食は蜂蜜なので胃袋の中も意外と快適でござった。

 ナカでお掃除すると快楽に身悶えする姿。見れるらしいのだが。

 どうにかこうにか確認する術は無いモノか。


 とりあえず外には出たものの…自分だけテレポートせずに

 纏わりついた蜂蜜も一緒に移動してしまうのはなんとも不便。

 空間を歪曲させて物理的に移動してるみたいなものだし

 まあ他人も巻き込んで移動できるし便利なスキルだあね。

 便利というか、便利の枠を超えたとんでもスキルの一つのような気もするが。

 そうだ、スキルと言えばついでにアレを覚えなおせた所だったので丁度お試し~。



・『液化』…発動!



 半分液状化してとろけるティアちゃん誕生です。

 このスキル…楽しいんだよねぇ。

 応用が効きすぎて、すっごい便利なの…。

 過去に守護者になんで蛇が覚えられるのさ?


 って聞いたら、普通は覚えません。なんて返されました。

 なんで覚えられたのか聞いてみればリトルスネーク時代に食べられて

 生きたままにドロドロに消化されていた経験と進化過程のあれこれで覚えられたとか。

 ふむ、つまりネーサンに食べられたのは無駄じゃなかった!

 スキルを覚えなおせたよ。やったね!



「おー、ドッロドロなティアちゃん…これはこれで」


(ボクの視界は琥珀色~。ネーサンちょっと怖い!)


「でも…これだと串刺しにしたり切り刻んだり出来ないのが」


(えーと、ネーサン?)


「むしろ…このまま食べ直してしまえば…んっふっふっ」


(ストーップ!呪い漏れちゃう!)


「あら、残念。ティアちゃんと一つになれるかも…って考えちゃってたわ」


(そんなのボクに食べられれば一発さ!)


「じゃあ、本気で殺しあってみる?」


(嫌です!ネーサンとは愛のある交流を欲します!)


「じゃあ、愛のある殺し合いね!」


(うん!愛があれば大丈夫!魔法は無しで物理的対話を!)


「ティアちゃん…」


(ネーサン…)



 ドドドドドドドドドドドドドドドド!



 一瞬の暗転の後に地へと倒れ伏す自分の姿がそこにあった。

 これ…どこかで見た事ある技だぞ?

 ネーサンの背中に文字でも浮き上がっているのではあるまいか?



 ともあれ、この流れは…



「久しぶりの解剖タ~イムね!」


(は…はいぃ。終わったら…ご飯)


「え? 働かざる者食うべからずよ」


(マジで? じゃあ解剖前に稼ぐから!ちょっと待って!)


「ダーメーでーすーよー。覚悟なさい。液化も小さくなるのも禁止!」




 ルキュワーーーーン!




 これが…魔物の日常。

 人間であれば既に死んでいる。

 魔物であっても並みの魔物なら死んでいる。

 自分であるから生きている…

 ティアちゃんの姿であるからネーサンは加減してくれている。


 選択を間違えてココに来ていたらと思うと…背筋がゾクゾクしてくるね。

 だけど今は…収穫も多い。

 何せ300年以上、生きてきたであろうネーサンの知識だ。


 さらには同じ境遇であろう初の仲間。

 信頼もそこそこに勝ち取れているようで。

 この世界の情報が、自分の知らない情報を。

 ネーサンは親切にも丁寧に教えてくれている。



 中でも目を引いた情報は、世界樹の存在だ。

 この世界は世界樹と呼ばれるモノの上に存在しているとか。

 ヨルムンガンド時の大樹は世界樹もどきである事は先に言っておこう。

 だけど…話を聞いていくうちに。世界樹と同化した姿があの大樹であるからして。

 むしろそのモノになってしまったらしいので。

 そう考えると、成程。作り出した大樹も世界樹と言って良いのだなアレは。

 大地の下にあった世界樹が自分のお陰で地表に飛び出したモノと感じる。

 なんともややこしい存在となったものよ。


 ともあれ世界樹の上にこの世界とな?

 詳しく聞いてみたところ。


 地球のように世界は丸かった!

 ではなく…

 この今自分がいる世界は平らなのだ!

 らしいのです。

 実際は平らではなくある程度丸みは帯びているらしいのだけど。


 言うなれば世界に端があるらしい。

 その先は、所謂宇宙的空間が広がるようで。

 ネーサンもその先を見たことが無いとか。

 いずれその端っことやらも見てみたいものだ。



 ついでに海は?

 って聞いてみたら普通にあるそうで。

 世界の端で滝のように流れ落ちているそうな。

 端っこは全部海になっているようです。

 ちなみにある程度までなら流れに沿って落ちても戻ってくる上り口のような場所はあるようで。


 ネーサンが言うには色々試したみたいだけど

 受け皿を超えて落ちた場合はどうなるか分かってないらしい。

 試しにネーサンが眷属を怪しげな境界へ放り込んだところ。

 引きちぎられて亜空間にバラ撒かれるよろしく、粉微塵に消えたとかなんとか。

 流石のネーサンも自分の体で先に行く気は無くなったようです。


 まあ…その世界の端っこに到達したとしても

 意図的に一線を越えなければ大丈夫らしい。

 だけど海の魔物は凶暴なモノが多いので

 人間は端まで到達出来ずに死ぬだろうとの事。



 溢れ出て流れ落ちた水はいずこに…そんな疑問もネーサンが答えてくれる。

 世界樹が吸い上げ各地に恵みを与えているのだとか。

 その所為で、この世界には荒地に砂漠といった地形は少ないようだ。


 殆どが森と平地と山岳地帯となっているらしい。

 特に森の中であれば食糧難を心配する必要はないぐらいに恵まれてる世界との印象を受ける。

 ちなみに人間側が森に入ってくる理由の一つに食料集めがあるようです。

 森の中でしか育たない木の実やキノコや果物やら沢山あるらしいですよ?


 自分も錬金術を覚えているだけあって一時期は採集作業に勤しんだりもしましたし。

 結構な種類が見つかるのは知識にありますぞ。


 そして気になる情報の一つ。

 魔物と人間の関係である。


 ネーサンの説明は至ってシンプル。

 凶暴な強化版野生動物的な扱い。

 人間の中には魔物を扱う職業もいるようだ。

 基本はランクにしてD以下を扱っているらしい。



 この世界の人間側の死因は魔物に関係する要因が特に多く。

 直接的だったり間接的だったりと、兎に角魔物が目立つ。

 その割に良く人間側が生き残ってるなーと思えば。


 人間同士での戦争が少なめである。

 人間側もスキルを上手く使い生き延びている。

 実は人間側が最近まで我が物顔で魔物を蹂躙していた。

 最近といっても100年ぐらい経ってるらしいので、

 その辺の感覚は分からないが、ネーサンにとっては最近なのだろう。


 それを聞いたときにはアレ?人間強かったの?

 って思ったけど。ネーサンが言うには

 魔王『アスピク』が誕生した時点で逆転したとかなんとか。


 とはいっても未だに人間側が全体で見ればまた復帰してきたようです。

 夢心地のまま世界を蹂躙したのはなんだったのか。

 疑問に思うが、続けるネーサンの情報で納得だ。



 聖都【グレイシア】だけ別格。

 ランクにしてB以上の魔物を殆ど狩り尽くしてしまったらしいです。

 今のこの世界の魔物の殆どはC以下しか存在してないとか。

 さらに加えるなら自分がこの世界へ転生した時点での情勢は、

 聖都の送り出す人材達が知恵のある魔物の大半を滅した後だったとか。


 魔物が野生動物同然の扱いを受けているのも。

 そういった知恵のある魔物が狩り尽くされた後の世界のようで…

 ゲーム的な思考をするのであれば、

 一先ずのエンディングを迎えて世界が平和になりました。

 その後の世界…そんな印象を受けた。

 しかしながら気になる所は気になるもの。

 特に人間側が高ランクの魔物を狩って退ける姿が思いつかなかったのよね。



 マジで? そんな凄いの? Bランクって相当なモノだって聞いたけど?

 迫真の表情でネーサンに迫り。理由を聞いたら、アラ怖い。

 聖都の情報について沢山話してくれました。



 世界が何度滅びかけてもしぶとく残ってる都市。

 女神を演じてる【クレリア】ってのが頭おかしいぐらいに強い。

 魔物は処分する!許可するのは奴隷用魔物のみ!

 知能のある魔物を発見したら即滅するべし!

 新しい魔物の情報は教会に持ってくるように触れまわっている。

 高ランクの魔物を見かけた場合は即情報を持ってこい!

 各国への援助を行っているので逆らう国は殆ど無いようです。


 他にも怖い情報の一つにユニークスキル持ちの人間が数多く集まってる。

 魔物用に殆どのスキルを強制封印される結界張られてるよ。

 アイツ等の騎士団装備は魔物特効な装備で身を固めてるから要注意!


 そして気になる聖都の総人口は100万人ぐらい?

 相当昔の話だから今はどうなってるか分からないらしいけど。

 魔物にとって不利な条件ばかり重なっている都市のようです。


 

 こうして話していて改めてネーサンが聖都情報を仕入れようかと。

 気合を入れ直して仕事に取り掛かるそうな。


 成程…思えば自分の姿がワールドイーター時も最後まで聖都が残っていたな。

 結局相手をする事はなかったが、あのまま突き進んでいたらどうなっていたか。


 詳しく聞けば聖都の目的は魔物を駆逐する事にある。

 らしいので…放置しておけば、もれなく自分達も対象となる訳ですね。

 逃げ隠れて隠遁生活をするつもりはないので。

 どうにか聖都を攻略する必要があるようだ。

 魔物として生きるに大きな壁となる存在。

 聖都【グレイシア】か。十分に意識し行動せねば。



 特にスキルを封印する結界が張られている?

 この情報はかなり気になる。

 もしそんな事を出来るのであれば。

 普通に死ねるのではないか?


 死なぬにしても…

 様々なスキルに頼りっきりの自分にとっては、

 潜入後に何も出来ずに監禁される事だってあり得るかもしれない。


 ココまでお膳立てされたら…無策で突っ込むような真似はしませんよ。

 必要な情報を集め。必要な時に。

 必要な…情報?


 あれ、自分やネーサン。

 『封印耐性』持ってるじゃん?


 そう聞いたら、確かに結界による封印は防げるものの。

 聖都の女神クレリアの能力が攻めあぐねている理由の一つらしい。


 聞けば女神の持つスキル。

 正確な能力は分からぬものの。


 未来が見えるというのは確実。

 さらには空間系スキルと呼ばれるモノを持っているらしく。

 イレイサーのように瞬間移動するだけじゃなく、相手を次元の狭間に吹っ飛ばす等。

 そんなトンデモ能力も持っているらしい。



 マジ?未来みえんの?

 そう聞いてみると。ネーサンのテンションが上がる事。

 気持ちを切り替えないと、怒られるパターンであるな。



「マジよマジ。予言が100発100中。

 その予言を外してやろうと画策してやったけど

 どう足掻いても変えられなかった」


 心底悔しそうに話をするネーサンの顔が何とも可愛い。

 心のスクリーンショットにその表情を収めつつ。

 自分は頷きネーサンの話に耳を傾けるのだった。

 さて、長くなりそうだし考えるのは後だ。

 重要事項はしっかり聞き納めないとならん。


「100年ぐらい嫌がらせ続けて確信したわ。 

 ある程度ならあの女神もどき。

 未来を知って修正をかける事が出来てるのよ。」


(なるほどね。ネーサンが100年ぐらいをかけての経験則なら納得)

(だけど100年?100年ってどういう事よ。相手人間じゃないの?)


「なんか人間っぽいけど全然、年取る気配ないの。

 転生者…みたいな雰囲気なのよね。チートだし。

 アイツのお陰でどれだけ私の眷属がやられたか…

 相手するだけ心が魔物に支配されていくから

 今の自分の半分はアイツの所為ね」


(家族を殺されるからの人間殺されるループで歯止めが効かなくなりました)

(つまり…そういう事なんだよね?)


「そゆこと。ヨルンちゃんは話が早くて助かるわ。

 でも先に手を出したのは向こう側。

 涙を呑んで…隠遁してたのに。

 軍隊組んで討伐隊がやってきた時点でキレたわもう」


(やっぱり、全員返り討ち?)


「もちろん、ミナゴロシよ。

 女神様の目論見通り。その時に私が魔王になったわ。

 ご丁寧に…手紙まで寄越して。

 魔王様、今後ともよろしくお願いします。なんて伝えてきたのよ」


(なんの目的で、って聞くまでもないか)

(要するに魔物は完全な敵!としたかったとか?)


「まあ、そんな所よ。

 眷属に被害も出さずに結構な兵をぶっつぶしたけど。

 その隙に各地の魔王勢の大半はクズ女神にやられて。

 お陰でエセ女神の地位は相当なもんよ。

 聖都で逆らうやつなんて居ないんじゃない?

 こっちは魔王になってから、その後はもう小競り合いが続いて。

 その内冒険者達ぐらいしかやってこなくなったけど。

 今はもう…魔王の肩書忘れられてるんじゃないかってぐらいに

 あの性悪女神からは放置プレイよ」


(なーんだか堕落してる感じだもんねー)

(というか魔王勢ってどんだけ魔王いたのさ?)

(そもそも今どのぐらい魔王残ってるん?)


「ほんと。先が読まれてる分。これも策略か…って勘潜っちゃうわ。

 戦力補強だけはしっかり続けてるけどね。

 自分が知ってる残りの魔王は一つだけ。

 何人かの魔人従えて、とりあえず連携は取ってるわ。

 どっちかに女神来たらもう片方が聖都ぶっつぶしましょう。

 っていう協定結んでるの。一応信頼できる相手よ。

 ヨルンちゃんもその内会えるわ」


(へえ、ちょっと楽しみ)

(………っていうか魔王って。やっぱり怖い?)


「そうねぇ、アレは魔人タイプの魔王だし。

 ヨルンちゃん、私の事ロリババア呼ばわりしてたけど。

 どっちかっていうと、あっちのがロリババアよ。

 私より年上? みたいだし、その癖姿がアレだし。

 年齢聞いたこと無いから分からないけど、やっぱり姿がアレなのよ」


(ん…なんか思い当たる節が)

(まあ、こっちはユグドラシル種が二人も揃ったみたいだし)

(良い流れ作らないとね)


「そうそうティアちゃん姿でやってくるなんて最高!

 流れはしっかり組み立てておかないと。

 やる事は山積み。勿論ヨルンちゃんにも手伝って貰うわよ?」


(ふっふん!ボクが来たからには流れは変わるさ~。がんばるぞい!)



 さて、状況整理だ。

 聖都には未来を予知できるかもしれない女神が居る。

 ネーサンの話を聞くには仲良しこよしには出来そうにない相手であるな。


 それに対して自分のセーブ&ロードというスキル。


 どちらが上かと聞かれれば、正直良く分からない。

 だが生まれ落ちて間もない自分の存在がソレに係わるのであれば

 その未来を予測する力に影響が及ぶのは間違いないだろう。

 そもそもにどういう干渉が起こるのかも分からないが。

 ロードを繰り返す度に自分の能力は増していく。


 もしも勝てなかったとしても…強くなりやり直せばよい。


 なんだ、考えるまでもなく余裕ではないか。

 …そうして痛い目をみるのが自分だ。

 油断せず、あらゆる可能性を考え最善を尽くせるように心がけよう。


 さてと、決意も程ほどに。

 折角こうしてネーサンとの対話中なのだ。

 楽しい話も聞いておきたい。

 色んな話題に華を咲かせようではないか。


 こうして自分とネーサンとでこの世界についての話を続けるのであった。

 そうしてネーサンの収集癖についての話題になった所。

 話が弾み過ぎて辺りが真っ暗になっていたのはご愛敬。



 色んな情報が手に入りましたよ。



 なんだ…あるんじゃないか。お宝満載のダンジョンが。

 しかも…自分でダンジョンを作ったりも出来るなんて。

 知恵ある魔物側の特権!ダンジョン作成!

 秘密基地作成が出来ますな…夢が広がりんぐ。



 人間側から逃げ延びるのであれば、

 ダンジョン作成してその奥深くへ隠遁すれば良い。

 それもまた一つの道か。

 ネーサンと二人で逃避行するのも話題の一つにあがったが。

 お互いにどうしようもなくなったらその道を選ぶのも良いねと、

 これもまた一つのエンディングへの道であるな。



 だがそれは先のお話し。

 今は…今選ぶべき道は。


 とりあえず強くなろう。

 頭のおかしい強さを持つらしい女神を打倒すべく

 ネーサンと協力しつつ。それを成すのが今の自分の目的だ。


 では、明日からがんばる!

 そう決意し、今日もまたネーサンに抱擁され一日を終えるのだ。


 なんだか今日のネーサンは普通に優しくしてくれています。

 そんなネーサンですが人間側に引き込むのは…難しい。

 思ったよりも人間と魔物の壁は厚いようで。

 今までの自分の認識が甘かったと教え込まれました。


 個人の間であれば問題ないのだけれど。

 全で見るのであれば、相容れないモノ同士。

 何を成せるのか。どこまで成せるのか。

 考えは纏まらないが、そもそもに。

 全てを得る必要はないのだ。


 魔物の国か。

 難攻不落のダンジョンか。

 今一度、破壊の限りを尽くす魔物となりて聖都を掌握するか。



 考えうる限りの事をセーブ&ロードを駆使して模索すれば良い。



 全ては…魔物である自分が楽しむ為に。

 その為には…より強固な決意を固める必要がある。


 守護者よ…改めてお願いする。

 何かあったら…任せたぞ。



―――確認 私は【ヨルン】の守護 お任せあれ



   *   *   *

魔王リムちゃん300歳。

収集癖を持っているので魔物の姿で各地を冒険しております。

故にこの世界の地形は元より、他の大体の歴史や情勢等を知ってるようです。

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