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第二形態は魔物の特権?

(おはよーございます!)

「あら、今日は早いのね?」


(だって昨日はネーサンの熱い抱擁が無かったんだもん)

「じゃあ元気そうだし今晩は解剖コースね」 


(えー。忘れてると思ったのに!)

「忘れる訳ないじゃない。ティアちゃんの綺麗で引き締まった中身は癖になるわ」


(うー。そんな事言ってるとその魅力的な体のナカにネーサンを収めちゃうよ~?)

「生きるのに飽きたらティアちゃんの中で最期を迎えるからその時まで我慢よ」


(ちょっと…そんなの何かやだよ? そーいうの考えるの無し!)

「なら私の事食べちゃいたいだなんて言わないでねー」


(はーい…でもなんか納得いかない!)

「分かったからおしまい。今日は流石にアイツ等冒険者達帰るみたいよ?」


(そういえば、昨日まだ帰って無かったんだ)

「なんか一晩中また覗いてたみたいで起きられなかったとか。馬鹿よね」


(今日帰らなかったらあの人たち晩御飯にしちゃう?)

「それは良い案だわ。やっぱりヨルンちゃんは魔物寄りね。楽でいいわ~」


(ネーサン! 楽しちゃ駄目! 口で言っても行動はしっかりと!)

「分かってるけど。ティアちゃんの姿で言われたらその気にもなるわよ」



 そんな物騒なお話をネーサンとしながら今日も一日始まります。

 ちょっと寂しい気もするけど冒険者達とはお別れですね。


 早々に準備を済ませ、なんのイベントもトラブルもなく

 あっさり帰って行ったけれども、まあ現実はこんなもん。


 帰るのを確認し終わった後、付いていけば良かったかな?

 とは思ったけれど、やはり分からぬ組織と事を構えるとなれば、

 巻き込む訳にもいかんよね。

 どうにもならなければ助けを求めるのも良いだろうけど。

 まずは自分達だけでやらねばならぬ!


 彼等冒険者達の立場を悪くするような可能性のある行動をさせる訳にもいかず。

 と思ったけど、依頼という形を取れれば報酬もそこそこに払えるし、

 実は良い手だったのかもしれない?


 まあ実際の所最善の策と言えば。

 眷属化して意識を改変、そのまま手駒に加えるってのが最良。

 そうすれば世界樹干渉の根と呪術によって視野も確保できるというオマケ付き。

 であるのだが、それを思いついたのは帰した後だったという体たらく。


 ロードに甘える思考。

 これがある故にいつも決断が甘めになっているような気がする。

 結果的に別にロードせずともなんとかなる事例が多いので。

 やはりその時の流れに合わせ、直感のみに任せるのが自分に合ってるのだろう。



「ねえ、ティアちゃん?」


(なーに、ネーサン?)


「結局、あの冒険者達返しちゃったけど。良かったの?」


(んー、そうだね。返して良かったと思うよ)

(あのディッグっていうの底が見えなかったし何かやらかしてくれそう)

(料理作ってくれた子も役に立ちそうだったから悪いようにはしたくないし)

(あの変な剣士も変態だったし。変に係わりたくないのもある)

(他の面々は…別にどうこう出来るような感じじゃなかったけどー)

(でもまあ…多分あのまま付いてったら聖都にドナドナされる未来が見えた)


「ふーん、意外と見てるのねぇ。

 あの剣士が変態ってのは私も思ってたわ」


(ああ、ネーサンから見てもそう思った?)


「だって、私達の事やらしー目で見てたもん」


(やっぱり? しかも本気でボクに食べられても良さそうな感じだったし)


「分かる、あれ本気の目だった」


(あんな感じでティアちゃんも…人間食べてたのかな?)


「…ありえるかも、解剖もさせてくれたかな?」


(ボクもあれ以上に攻められたら食べちゃう自信あるし)


「まあどこにでも変な趣味持ってる奴は居るものよ」


(別に魔物だけじゃないって事だね~)


「それじゃ、私達は」


(うん、今後の方針を決めよう)


「そうと決まればまずは」


(まずは~?)


「ヨルンちゃんの解剖ね!」


(…うん、知ってた。というかネーサン聞くけど良い?)


「なあに? 命乞いならどんどんしてね?」


(どうやってボクの体切り刻めてるのさ?)

(前に自分自身傷つけようとしたけど。ぜーんぜん切れなかったのに)


「そりゃあ…ヨルンちゃん弱いし。物理的な事が全然じゃない?」


(えー、魔人さん相手に触手でボコボコにした実績あるのにー?)


「マジで? 魔人相手に? どんな魔人よ?」


(なんか極大魔法ぶっぱなして、ごっつい魔剣っぽいの持ってた奴?)


「ん…極大魔法? 最近だと全然見なかったけど」


(結界張って戦ってたから周りにゃ全然影響なしよ?)


「ふーん、それなら納得だけど。

 極大魔法使うぐらいの魔人相手に出来るんなら

 そこまで弱い筈は無いんだけど?」


(思い当たる節は、アスピクが自分の中から抜けちゃった事か)

(もしくは単に自分の気が抜けちゃったかだけか)


「なんなら、軽く相手してあげる?

 なんだかんだで、私もどのぐらいヨルンちゃん強いんだか知っときたいし」


(おー、そういえば全然考えてなかった)

(………えーと、ボクが負けたらそのまま解剖コースだよね?)


「勿論! まあ私が負ける訳ないから出来レースね。

 覚悟なさい! でもその前に、良いシチュエーションある?」


(ネーサンが良いなら、やって貰いたい事があるの…)


「よしよし良い子ね、言ってごらんなさい!」


(…解剖じゃないんだけど。良い?)



 そうして自分はネーサンにちょっとした…

 とも言えないちょっぴりハードな要求をしてしまったよ。

 無論セーブをした後の言葉なので

 何も問題は起こらない!と確信している。



「んん、つまり。ヨルンちゃんはそういう?」


(ネーサンが嫌なら…別に良いんだけど)


「別に構わないわよ?

 その代わりちゃんと泣き叫んで助けを乞ってくれるなら私も…興奮するわ!」


(流石ネーサン!だけど…呪いが発動する前に…ね?)


「んっと、別に大丈夫だと思うわよ? なんなら一日中保管してあげても良いし」


(そうなの?)


「スキルがあれば問題無いわよ。ヨルンちゃんも耐性持ってるし」


(じゃあネーサン、戦うにしてもどのぐらい本気になる?)


「ガチガチの戦闘フォルムじゃなければ別にお互い本気でも良いわよ」


(戦闘フォルム?)


「なんだ、ヨルンちゃん知らないの?

 ボスモンスターは第二形態みたいになれるアレよ」


(おお? 変身できるっては知ってたけど)


「イメージとしては戦闘用に体を作り変えて世界樹の鎧を纏うみたいな感じ?」


 そう言った後、ネーサンが早速形態変化しましたよ。

 殆ど一瞬の出来事であったのでなんとも反応に困ったが。

 一言で言えば、格好良くなった。

 どのように格好良くなったかと説明するのであれば。


 メタリックな外見になりましたよ?


 こう…世界樹の鎧なんて言うものだから。

 木の枝や根っこを身にまとうようなイメージでしたがこうなりますか。


 未来的なスーツというか、強化外骨格というか。

 なんともまあ、剣と魔法のファンタジー的な世界に似合わぬ風貌となり申した…

 まあ3頭身程度の体躯なので可愛いと言えば可愛いのだが。

 ツルツルのカッチカチな、例えるのであれば頭身低い丸っこいフォルムが魅力のロボット?


「とりあえずはこんなモンよ。

 別にデメリットも何にもないし。

 ずーっとこの姿でも良いんだけどね」


(格好いいけど、前の可愛いネーサンも良いかな~?)

(今のその姿も…これはこれで。お触りしたくなっちゃうけど)

(そんでとりあえず、ボクもそんな感じの姿になれるって事?)


「まあ、嬉しい事言ってくれるじゃない。この姿になったら、

 戦う意思を全面に押し出してるって事だけ覚えておけば良いわ。

 ついでに、ティアちゃんもそれっぽく変身…してたのかしら。

 でもあの子の姿はあんまり変わらなかったのよね」


(ふーん、じゃあとりあえずイメージしてみよう)

(もうちょっとネーサンそのままの姿でいて貰える?)


「まっ…少し頑張ってみなさい。

 あんな大樹作ったんだから直にでも出来る筈よ」


(ほい、イメージとしては『世界樹干渉』にて鎧を纏うね)


 イメージイメージ…鎧をイメージ。

 むしろ体まで作り変えて良いとな?

 手とか足とか付ける?

 んー、蛇足とかになるからやめとこう。


 でもちんまい手足がひょこっと出てたらそれはそれで可愛いかも?

 いやいや、戦闘フォルムに無駄な物は一切必要ない。


 前ティアちゃんは戦闘フォルムになるも

 そこまで変化は無かったというのだから。

 となると…やはり。イメージするのは純粋なる力のみ。


 今の自分は魔力だけが抜きんでて高いが。

 有り余る魔力の一切を無駄なくその全てを戦闘に向けるとなれば?

 肉体的な変化は殆ど起こらないかもしれない。


 ティアの姿が変わらない…というのはつまり…そういう事だろう。


 最大限の魔力を引き出せる姿をイメージすれば良いのだ!

 ユグドラシル種。第二形態!

 イメージとしては…うん? 魔法使うボス?

 蛇の形態変化。蛇の第二形態。触手ー羽~は残しておきたい。

 となるとー。あーでもなくて。こーでもなくて。



 忙しく根っこが体を出たり入ったり。

 身に纏わせたり、仮面っぽいのを付けてみたり。

 ネーサンみたいに外甲殻を作ってみたり。

 なんともイメージが固まらない。

 なんて悩んでいた所で。適当に魔力を固めてみたところ。

 おっと…そうだった、魔法を使う系のボスキャラって…



 うむ、イメージは固まった。



 では…他種族に変身するイメージとはまた違った感覚を。

 魔力を最大限に生かせる構想を整えて。



 別に何度でもチャレンジ出来るのだからネーサンの意見も聞きつつ挑戦するのだ!

 という訳で第二形態! それは別にあからさまな変身で無くとも良いのです。

 ネーサンが言うような世界樹アーマーを纏えば良いのです!

 それを着こなして支障なく動けるカタチにすれば良いのです!

 魔物がガチガチの装備を固める事の恐ろしさ…とくとみよ!



 一瞬の魔力の閃光と共に若干姿を変えての第二形態(仮)をご披露です。



 今の自分の周りには。

 魔力の塊である球体が二つ浮いております。

 それぞれが物理攻撃と魔力の波動を防ぐ防壁の力を内包しております。

 魔力が余りに余ってるので、まだまだ余裕が御座います。

 ジェネレーターに余裕があるので追加ビルドも可能ですよ?


 体の方はネーサンを参考に邪魔にならない程度に世界樹の鎧を纏っています。

 体がツルッツルッです。カッチカチです。しかも鎧を纏っているだけなので。

 その鎧の中身はぷにっぷにです。天然の衝撃吸収材ですよ。


 少々メタリックになりましたが。

 まあ…外見的にそんなに変わってないと思われます。

 とりあえずイメージ通りであれば、こんなもん?

 ネーサンの反応はいかに。



「へぇ…ティアちゃんと同じ思考なのね。

 周りに球が浮いてるのは…ちょっと違うけど。

 姿はまんまティアちゃんのアレと変わらないわ。

 確実にアンタの中身に前世のティアちゃん入ってるわ~こりゃあ…」


(ふーん、考えたつもりだったけど。同じ所に行きつくのかー)

(この魔物的感性…アスピクのモノかと思ってたけど考えさせられるね)

(ちなみにこの魔力宝珠のイメージは~)


「アレでしょ、レーザーとかビームとかコレダーとか使う系のラスボスに似てるけど」


(おお~流石ネーサン分かってる。物理攻撃回復とまではいかないけどねー)


「ていうか、そんなん常時だしてて大丈夫なの?

 流石のティアちゃんもジャストガード的なタイミングでしか使わなかったけど」


(んー、そうなの? というか8球ぐらい同時に出せるぐらいに余裕?)

(いっそこの球に八卦の球とか名付けてスキル構成してみるのもありかな)


「…アンタねぇ、少しは手の内隠しなさいよ?

 まぁ…見せてくれる分には嬉しいけど」


(ネーサンの信頼を勝ち取る為ならどんどん晒していくよ!)


「はいはい、良いわよもう。折角だしこのままヤルわよ」


(なんですとー、ちょっと心の準備が!)


「別に手加減するわ。解剖する前にバラバラにしちゃうのも嫌だし」


(そっちなの! 解剖からは逃れられないのねー)


「それじゃー、早速いくわよー」



 では戦闘BGMは脳内にて、ネーサンとの戦闘が始まってしまいました。

 負けイベント的な戦闘ですが、まあやるだけやりましょう。


 久しぶりだが守護者よ。

 戦闘ナレーションを頼む!




―――確認 検討を祈ります




―――『リムちゃん』の攻撃

―――『針』×16

―――全弾命中 魔法球に弾かれました



―――『ヨルン』の攻撃

―――『魔法弾』は打ち壊されました



―――『リムちゃん』は挑発しています

―――可愛さに『ヨルン』は悶えています



―――『ヨルン』の攻撃

―――『色彩魔法飴』が当たりました

―――爆心地より手拍子をする『リムちゃん』の姿が現れました



―――『リムちゃん』の攻撃

―――『蜜』をぶっかけられました

―――べとべとになり動きを封じられました



―――『ヨルン』の攻撃

―――『波動砲』を発動 当たりません

―――リムの魔城に甚大な被害を及ぼしました



―――『リムちゃん』の攻撃

―――『魔王の威厳』からの『魔力咆哮』発動

―――すっごく怒ってます



―――『ヨルン』は怯えています



―――『リムちゃん』の攻撃

―――力任せに魔法珠を破壊



―――『ヨルン』は動けない



―――『リムちゃん』の攻撃

―――『牙』でがぶがぶされています



―――『ヨルン』は諦めている



 あ…いや。守護者よ。もう良いです。



―――確認 戦闘終了 マスターの敗北?



 はい…負けで良いです。

 怒りに身を震わせるネーサンを前にしたらこれ以上は無理です。

 顔を合わせれば既に戦闘フォルムを解除し、いつもの可愛いネーサンですが。

 やっぱり怒ってます。怒った顔も可愛いのですが。

 今はそんな状況ではないのです。



「ヨルンちゃーん? 分かってるわよね?」


(は…はいぃ。ゴメンナサイ。調子に乗りました)



 何に怒っているのかといえば、辺りの様子を伺えば一目瞭然。

 魔城の風通しが良くなってます。

 日差しが眩しいです。嗚呼…今日も良い天気だなぁ。



「…軽くやるつもりだったけど。これは酷いわ。

 魔城の一角が綺麗に吹き飛んだじゃない…」


(まさか…こんなに威力があるとは思わなく)



 原因は、折角なので『波動砲』で攻撃をしてみた所。

 思ったよりも威力が出てしまい。

 魔城の壁の一角を消し飛ばしてしまいました。

 発射角度を斜め上方向に発動していなければ…

 さらに大きな被害が出ていた事でしょう。



「そもそも、その馬鹿げた魔力はなんなのよ?」


(多分…スキルレベルもアレで。魔力の調整がちょっと難しくて)



 検証中に使った時はこんな威力じゃなかった筈なのに…

 心当たりはあるものの、自分の意思で使ったのは実は久しぶりであったのかも。

 スキルレベル…上昇してるみたいですし。

 夢の中でガンガン使ってたんだろうね、この『波動砲』のスキルを。



「確かにティアちゃんの魔力も凄かったけど。

 アレよ規格外すぎるわ…ヨルンちゃんは変態よ」


(変態言わないで!誤解されちゃう!)


「変態よ変態、噛み千切られても喜んでるんだもの」


(うう…ハードなのは困ります!喜んでません!)



 何やら変な流れが出来てしまってますが。

 ネーサンの魔城を壊された怒りはそこまで深くはないようで何より。

 眷属への被害が出なかったのが救いであった。

 お陰で笑顔が怖いですが。普段通りのようです。



「あらそう? 解体しながら食べてあげようかと思ったのに」


(途中で死んじゃうから! ヤメテ!)


「うーん。ダメ。このまま解剖コース」


(た…体格変化ぁー! 小さくなってしまえば解剖し辛い!)



 そう…小さくなってしまえば解剖も難しくなる。

 そして何より…自分が希望するアレもしやすくなる訳ですよ。

 どのぐらい小さくなれたのか。

 10cmぐらいにはなれたのだろうか?ネーサンが巨人に見えます。

 そんな自分を見て舌舐めづりをするネーサンが素敵!



「あら可愛い。便利ねぇそのスキル。

 まあいいわ、今日の所はヨルンちゃんの希望通り」



 ネーサンも察したようでやる気満々であった。

 だけど…まだまだ休むには早いお時間。

 やりたい事は沢山あるのですが、ネーサン側からしてみれば?



(あれ…そういえば軽く戦って実力図るんじゃなかったっけ?)


「別に時間はたっぷりあるしそんなのどうでもいいわ」



 やっぱりやる気満々、どうやら今日はおしまいの模様。

 今日もどうやら、お楽しみのお時間へ突入するようで。

 どうにも力が入っているようです。

 ガッチリホールドされてもう逃げ道がありません。



(えーと、ネーサン。動けないです!)


「覚悟なさい、おしおきタイムよ。私の魔城壊しちゃった…ね?」



 それ…いつでも作れるじゃん?っていう突っ込みは無しなのでしょうか。

 下手に突っ込んでも長引くだけなのが予想されます。

 故に甘んじて受け入れるしかあるまいて。

 …覚悟を決めよう。



(泣いて叫んで助けを乞うお時間です?)


「勿論、今日は要望通りにしてあげるから。感謝するのよ!」



 笑顔が眩しく息遣いが荒い巨大なネーサンが目の前に。

 今日は特に…長くなりそうだ。



   *   *   *

変態パートはもうちょっとだけ続くのじゃ。

冒険者もあっさり帰ってったよ。


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