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身も心も魔物となりて

 検証は順調だった。

 眷属化。これは我ながらに恐ろしい。

 ランク訳でAとされている理由が良く分かった。


 ほぼ抵抗されず。

 従順な僕、もしくは蛇の姿となった眷属となる。

 その一生を主の為だけに捧げる存在と変わってしまうのだ。


 恐ろしいスキルだ…魔王となるのも夢ではないな。

 眷属と化したモノが、どの程度まで捧げてくれるのか。

 思いつく限りの非道な行為で試してみたが。


 生きたまま丸ごと呑みこまれようとも

 一切の抵抗せずに歓喜の表情を浮かべたままに体内へ収まり。

 そのまま感謝の念を送り続け、一生を終えるぐらいには従順なようだ。


 眷属にする際に姿すらも蛇に変化させる事が出来る事に気が付くのにもそう時間は掛からなかった。

 人間の姿のまま従えても良いが、一般人レベルの人型を従えた所で益にもならん。


 魔物であれば、そのままの姿で眷属とする選択肢は残っている。

 蛇一色でも様になる気がするが。折角なので色んな種類が欲しい所だという理由。


 そうして最後のエルフであろう種族を試しにちょいと多めの魔力で眷属化してみた所。

 驚いた事に『スネークリング』へと変貌したのだった。

 他の眷属と比べ、意識があるのか無いのか、良く分からない焦点で虚空を仰いでいたのが確認できた。


 もしかすると失敗か?

 どうにも理性が残っていそうな目をしていたので。

 もしかすると記憶がそのままに変貌してしまったのかもしれない。

 検証の為に、野に放つのも手か。


 人間ナニソレオイシイノ…?そんな道を歩むつもりであったが。

 あえて魔物として生きる道を与えて経過を見るのも楽しめるかもしれんな。


 自分も似たような境遇だったし。

 こうして他人がそんな立場になったらどうなるか。

 それを観察するのも悪くあるまい。


 さあて、そうと決めれば。『追跡能力』に『呪術』で繋がりを持たせ。

 自分の魔力を込めた鱗を媒介に擬似的なGPSといった物を額に埋め込んでやろう。

 簡単に取れる事が無いように皮膚と同化させ、骨に食い込ませてと、こんなとこで良いか。


 生き延びられるかは知らないが。

 ランクCの魔物ともなれば早々に死にはすまい。

 悲観して自殺もありえるが、そもそも本当に理性が残ってるか等は分からん。

 こんなにされてもぼけーっとしてるんだものね。

 楽しめれば儲けもの、そうでなければ手間がかかったと、それだけの事だ。  



 こんな非道な事を思いつくとは、つくづく堕ちたものだ。

 悪に染まって生き抜くと決意していなければ、このような行為。考えもしなかっただろう。


 魔物だけでなく、人間相手にも眷属化は有効。

 効果の度合いも個人差があり、最後のエルフのような失敗作も出来上がる可能性があると。

 やはり、冒険者の宿にて人間を対象にしたのは正解だった。良い検証結果が得られたよ。

 被験体には感謝。有効的に活用させて貰うとするね。


  

 どれ、前世の縁があるとすれば。お次は、あの名前も知らん国か。

 一度は救ってやったんだ。次はちょっと滅ぼさせて貰うとしようかな。



 そういう訳で現状の戦力は。


 魔物を発見次第『眷属化』

 MPの消費は半端無いが、魔法要素の詰まった『ラプラス感応』にて自然回復するらしく。

 さらに『星食い』と合わせればすぐに全快。ついでにレベリングも兼ねる行為にて一石二鳥。


 そんなこんなで、僅か数日で準備が完了していた。

 兵数にして3000程度だけど、まあ問題は無いだろう。

 森の資源は豊富だね。畑から兵士が取れるみたいなものだ。   

 食糧問題としても森の中であれば困らんが。

 軍隊の知識など無いに等しいので、コイツ等をどう養うか。それは後の課題だね。



 さて、進軍だ。

 隊列を組んで付いてこい。

 列を乱すな。きっちり進めー。

 ついてこれぬ奴等は餌にしてでも先へ進め~

 


 冒険者の宿からの検証を終えてから、その後の進軍日数、約2日。

 残存兵数5000程度。

 『呪術』にて餌、を呼び寄せながらついでに眷族化を進めていったらこうなった。

 地道な眷属化でここまで、兵数が膨れ上がるとは予想外であった。


 そして到達するは森の外。

 ちょっと進めば『ラプラス感応』にて魔力の結界が張り巡らされているのが感知出来た。

 魔力に関係する事柄であれば大抵の事は手に取るように分かってしまうようになっているようだ。

 この結界は、森から出てくる魔物を監視する程度のトラップみたいなものだろう。

 例えるのであれば、魔法式の鳴子。みたいなものだと思う。


 では皆の者、進軍ここまで。全軍待機せよ。

 この線から外に出てはならぬ。

 我の合図無しで外にでたら食ってやる。


 だからって、そこの。もうはみでるでない。

 分かった分かった。線から出たら叩き潰す。

 いや、だから、そこのー。はみでるな。


 ………駄目だこいつ等。自分にされる事全てが歓喜の対象になってる。



 あーあー。

 後で纏めて相手してやるから。

 言う事を聞け。

 さっきの奴らはふみつけるだけで済ませてやる。

 次にやったら無視だ。


 暫くは森の入り口付近で遊んでろ。

 言う事聞かん奴は、これ以降もう相手にせんぞー。



 それと『アサシンヴァイパー』が確か5匹いたな。全部付いてこい。



 キシッ

 キシシッ

 キシシシッ

 キシシシシー

 キシャー



 やはり、ランクC+ともなれば優秀な固体が多い。

 まずは少数精鋭。この程度の人数。

 もとい蛇数であれば結界を反応させずに突破するのは容易


 どれ、隠密作戦。城下町に潜入するとしようかね。

 自分はちょいと巨体であり、目立つとは思うが。

 スキルとして『液化』出来る能力も持っている。

 他にも本来この種族が持てない筈のスキルをも自分は持っている。


 多少、毒々しい水溜りみたいな物が出来ているが。

 まあ素の状態よりは目立つまい。


 という訳でお前等も目立たず付いてこい。

 出来るだろう? 期待しているぞ。


 クケー!!!

 クシッ!!!

 ケケケ!!!

 キャシッ!!

 キョエー!!


 可愛い奴等だ。もしも見つかったら。

 他に知られる前にヤれ。その後の死体の処理も忘れるな。

 手間取るようならすぐに合図せよ。

 自分が処理する。




 作戦は至って単純。

 3日以内に城を落とす。

 

 初日は潜伏。眷属化の下積み作業。

 二日目にて騒ぎを起こす。

 三日目にて城内制圧。


 以上。失敗したらロードにて、今この場から再チャレンジ。

 だが三日目は妥協案。

 やるのであれば二日目の時点で城を制圧をするのが最良である。


 短期間で城を落とさねば意味がない。

 それが出来ねば、魔王として世界に名を轟かせるのは難しい。


 一つの国を軽く落とすぐらいの能力を自分は持ってるぞー。

 手を出したら。次はお前等なーっていう抑止力が欲しいのよ。


 どうせ派手にやるんだ。足がかりとして城の一つや二つも貰っておいて損はない。

 スキルに『魔城作成』なんてあれば楽なんだがな。


 

―――確認

 魔法の力で城を改変するスキルは存在します

 城を作成するスキルとなると今の主では 此方も可能なようです

 ラプラスにて解析を行いますか?



 ほえー、存在するのね。流石魔法の世界のファタンジー。

 どれだけスキルを獲得できるか、がんばってみるのも良いが。

 今は守護者の能力も10割欲しい所だからね。

 スキルの取得は後回しにするよ。



―――確認 了解 二日以内に国取り合戦ですね



 うむうむ、期待してるよ。一番の味方は守護者だからね。

 今回の世界ではガンガン酷使するよ。



―――確認 がんばります 呼び名は主のままで?



 うーん、ご主人様もマスタ~も今のこの姿じゃな。

 主で、続けてどうぞ。



 ―――確認 では主のままで続けます



 そういう訳で本日は潜伏作戦。

 アサシンヴァイパーよ、出来る限り人との関わりが少なさそうな人間を見つけるのだ。

 地形の情報は自分が今から教える。


 店は襲うな。

 人通りの多い繁華街は避けろ。

 住宅地を主として活動せよ。


 子供は狙うな、騒ぎになりやすい。

 ついでに、あのデカイ建物は城なんでな。

 中に入ってはならん。魔法の結界で存在がバレる。

 あとはお前等の好きにやれ。

 

 楽しむも良し、効率的に事を運ぶも良し。

 重要な事は自分が全て行う。

 人間側に気取られなければなんだっていい。夜まで自由時間とする。

 面白そうな事があれば随時報告してもらっても構わんぞ。


 では散開!


 キシッ

 キシュッ

 フシューッ

 ハシュッ

 クルルーッ


 うむ、自分でも見えぬ速度で目の前から消えていったわ。

 アイツ等、忍者で良いんじゃないかな。

 外見的には蛇の騎士といった感じなんだが。


 行動的にはまさに、忍ぶ者といった所だ。

 どこぞの忍者みたいに、煩くもない。


 忠誠心にも溢れ、裏切られる心配も外的要因さえなければ安心だと理解している。

 もしも襲われたりなんてしたら、多分自分はあっさりと細切れだ。

 そのぐらいの強さをアイツ等持ってるし。

 それをされないのも『蛇王の呪い』が影響しているのかもしれんな。


 さて、町並みの方はあらから下調べは済んでいる。


 あとは、効率よく眷属化を進める為の前準備といこうかな。

 この状態となって、自分の存在を認識できず。何をしているか分からない。

 となると、国側にとっては詰みです。

 奇襲の優位性は凄まじいねぇ。


 これでもしバレてました。っていうのなら。

 自分の認識が甘かった。一国の防衛力をナメてましたよ。

 となるだけで、どこかの思い上がった蛇がこの世界から消えてなくなるだけの事。


 では夜までさくっと、町並みをリフォームするとしようか。

 魔力が続く限り、今の自分を止める事は出来ぬ。

 その魔力も尽きる事といえば、何かしらの対抗策を練られない限り尽きる事はないだろう。


 そんな自分の魔力は今や底無し。

 とついさっきまで自負していた。


 『眷属化』もそうだったが『世界樹干渉』とやらも相当に魔力を消費するらしい。

 多少の息継ぎは必要だな。全体を覆うまで半日は掛かりそうだ。



 そう感じながら、自分は『世界樹干渉』の能力で城下町の地下に根を張り巡らせるのであった。

 その後は頃合を見計らい住民達を『眷属化』だが。気合を入れて多少の無理は通す気概でやらねば成功はすまい。


 悠長に長々と事を成すつもりはない。

 迅速に恐怖させる間もなく、一夜のうちに住民がいなくなる。


 想像するだけでゾクゾクしてくるよ。

 この世界に勇者が居るのであれば、自分は打ち倒されるべき存在となるだろう。

 いるのだろうか。勇者とか英雄とか呼ばれるモノは。


 誰かに止めてもらわねば。最早自分は止まれない。

 一線を超えてしまえば、もう後は突き進むだけ。


 咎めるものは誰もいない。

 咎めるどころか自分の中より賛同する声が内より響く。

 こうなれば、自分の決意だけでなく、さらにその後ろからの一押しにて戻る選択肢は廃される。


 そうして何事も無く、日は暮れる。

 普段通りな生活をしている日常が打ち砕かれる時まで後、数時。


 子供の笑い声が聞こえる。

 一家団欒の一時を楽しむ声が根を通じて聞こえてくる。

 温かい食卓を囲み、その日の出来事を話しているのだろう。


 冒険者が集う宿は今も賑わっている。

 討ち取った魔物についての自慢話に浸り。話にのめり込む冒険者もいれば。

 うんざりした様子で目の前の料理に手を伸ばして無視を決め込む者もいる。


 美人なエルフにウサ耳の獣人等が、彼等冒険者に料理を振舞い。

 そのお尻を撫で回す酔った客にはもれなく鉄拳制裁にて顔面崩壊の道を歩んだ。

 可愛い顔のあのウサギ人間やりおるな。

 尻尾もあるようで、あのふかふかは確かに触りたくなる。


 兵士達も欠伸を噛み殺しながら警戒は続けている。

 立ちながら居眠りしている者等。


 ………一人居た。

 隣の兵士も横目でそれを確認しているようだが、見て見ぬふりだ。

 減給待ったなし。報告はしないが、一つの警備の穴を見つけたな。


 スラム街のような古びて荒れた場所も見つけたが。

 様子を見れば確かに外見通りの荒んだ場所であったね。 


 街角では無精ひげの生えたオッサンがゴミを漁り。

 所帯を持つ者もいるが不衛生な家ばかり並んでいるなとの印象だ。

 酔っ払った男性が女性をぶん殴るといったドメスティックなバイオレンス事情も見受けられた。

 

 興味があったので、近場を入念に調べた結果の一つに。

 奴隷商人風の妙に身だしなみを整えた太っちょが子供を馬車に詰め込んでいる様子を発見する。

 顔を覚えておこう。今後どうするかは気分次第だ。


 ………いや、『アサシンヴァイパー』 

 奴が街を出そうになったら後を追い生かして確保せよ。怪我はさせずに動けなくさせるだけで良い。

 数が欲しければ2匹迄でなんとかせよ。


 気絶させる毒が欲しければ我が鱗を持っていけ。

 って…おいこら、ここぞとばかりに全員で持ってく奴があるか!

 しかもオマエ。10枚も持ってるじゃないか!

 別にすぐ治るから構わんが…

 折角だからオマエが行ってこい。

 ついでにもう一匹付いていってやれ、なんか心配だ。


 魔物として生きるにはこの世界の人間の悪党とやらの性状も調べておかないとね。

 上手く使うか、その場で食らうかはその時で考えよう。


 とりあえず、このスラム街であれば多少の騒ぎなら、ほかと比べてどうとでもなりそうだ。

 『眷属化』の実験場になってもらうとしようかね。

 なあに、もう少ししたら仲間がいっぱい増えるから。

 みーんな…喜ぶよね?


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