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蛇界のイケメンになれたような気がします

―――ユニークスキル『ロード』成功 セーブ地点へロードします



- NowLoading -



 ………ああ、頭痛が痛い。

 あの一瞬にロード失敗と聞こえた辺りで意識がとんだ気がする。

 すっごい怖いわ、死ぬような傷ではないとは思っていたけれども。


 ロードに失敗して消えてしまいましたとかは簡便だ。一応理由が分かるか聞いてみよう。



―――確認 原因は不明 集中力が足りず 十分な魔力が得られなかった可能性があります



 うーむ、ロードをする時は落ち着いた場所でやる必要があるのかもしれない。

 戦闘中にロードして失敗して亜空間にバラ撒かれましたとか洒落にもならん。



 過ぎた事は良しとして、今は気持ちを切り替え、次の進化の準備と致しましょう。

 既に決まっている進化先はエビルパイソンとは別のこの姿。



―――確認 『アサシンヴァイパー』への進化を開始



シューッゥゥウウウアーーッ!



 進化、完了!

 前回の敗北での精神的ダメージは残るも進化の過程で全てが吹っ飛んだ!

 立ちふさがるものは皆殺しじゃあー!

 まあやらないにしても強くならねば。

 と言い直す辺り、魔物としては全然そうであるのだが。



 どれどれ、先ずはステータスだ。



――――――――――――――――――――――――



ランクC+ 種族名『アサシンヴァイパー』

Lv:1 HP512/512 MP512/512


攻撃:512

防御:512

魔法:512

速度:662



特性

『不死の肉体』『蛇王の呪い』

『蛇王の権威』『蛇王の象徴』

『ユニーク:触手 - Lv4』『ユニーク:守護者 - Lv2』



通常スキル

『ユニーク:セーブ&ロード』

『蛇王の嗜み』


攻撃スキル

『ユニーク:星食い』

『蛇王の戦技』


耐性スキル

『属性耐性 - Lv2』

『毒無効』『麻痺無効』

『魔法耐性 - Lv2』『精神保護 - Lv2』

『呪術耐性 - Lv2』『肉体変化 - Lv2』


称号

『フェチズム:被食者 - Lv3』

『フェチズム:触手 - Lv8』

『フェチズム:マゾヒスト - Lv3』

『決意を得た者』『魔物の探究心』

『森の主』『悪食』『蛇の王』


――――――――――――――――――――――――



 能力値が綺麗に512になっておる。

 この数字は気持ち良い。別にステータスは512が最高値ではないようで素早さだけ抜きん出ている。

 HPこそ『エビルパイソン』と同じだがその他がとにかく凄い。というか上回っている。

 スキルレベルが分かり辛くなっているが、概ねロード直後はレベルが若干下がっていたりする。

 『蛇王』系統に収められたスキルは下限が底上げされているようであり

 綺麗に並んでいるので気持ちが良い。



 守護者に聞けば、統合したスキルは使い込む程に均等に伸びるらしく。

 詳しい内容は選択すれば分かるとの事。

 簡単に閲覧するのであれば、この程度が丁度良い。

 もう少し改善の余地はあるかもしれないな。


 なんて思いつつ、改めて思う。

 CランクからC+へ上がるにも相当な壁があるのかもしれない。

 触手フェチのレベルが8に上がっているのにも注目せざるを得ない。

 この能力については守護者権限であったな。確か。



―――確認 加えて上限の設定もありません



 際ですか。この辺は単なるお遊び要素だと思えば良い。

 称号を覗かれるような事があった場合に人格を疑われるかもしれないが。

 魔物が持っている分には評価されるかもしれない。



 どれ、ステータスは高いの一言だが。外見はどんなものだろう。

 一番の楽しみといっても過言ではないだろう。

 『エビルパイソン』は一言で言うに邪悪な外見すぎた。

 加えて『蛇王の象徴』を背に広げるその姿は、

 神話に出てくる神様を彷彿させる姿であったが…邪神的な意味で。



 ではこの『アサシンヴァイパー』の姿はどうだろう?

 どれどれ。見てみよう。触手の馴染み具合も気になる。



 ほうほう。ほうほうほう。ほうほうほうほうほう。



 一言で言えば、蛇にしてはイケメンなんじゃあないか?

 『エビルパイソン』がいかにもな悪役顔なら、

 『アサシンヴァイパー』は主人公格。もしくはそのライバルといった具合だ。


 いやぁ…もう『エビルパイソン』なんて目じゃないわ。

 断然こっちの顔の方が好き、大好き、恋しちゃいそう!


 すらっとした体躯に、ツルっとした質感。

 触手の生え際も邪魔にならずに整っており。

 尚且つ『蛇王の象徴』もある意味、鎧のような姿としての統一感がある。


 何より、今までの鱗でゴツゴツしていた顔が。

 ツルツルなのだ。かと思えば鱗が無いわけではない。

 キメ細かすぎてじっくりと凝視せねば分からないぐらいに整っている。


 一枚一枚がどうなっているのか調べたくなってきたので。

 ここは思いつきでスキルを使ってみる事にする。


・『スケイルシュート』


 飛び道具という事だけあり、きっちり使い込んでいたそのスキルを付近の岩を目掛け射出。

 プチプチ削れて外れる快感に2射、3射と続けて放ち、見事に命中。調子が良いのを感じる。

 体の調子も『エビルパイソン』に比べて軽快である。

 重苦しく鈍純な雰囲気は一切無く、

 今なら三日三晩フルマラソンと決め込んでも疲れる事が無さそうな感覚がある。


 ともかく、岩に突き刺さった鱗の状態を確認せねば。


 どれどれと、確認しようとしたが。

 岩を貫通して遥か後方へ飛んでしまっていると確認が取れた。

 ………威力調整出来んのかねコレ。


 そう考えて再度岩に。


・『スケイルシュート』


 今度は威力を抑え目に、すると今度はひょろひょろと地面を転がる情けない鱗がそこにあった。

 ………極端すぎるだろう、練習は必須であるな。


 ともあれ、地に落ちた鱗をマジマジと確認する。

 第一印象だが、デカくて尚且つ綺麗。軽くて硬い。形は忍者の使うクナイと良く似ている。

 漢字にすれば苦無で合っていたかな。アレの刃部分だけみたいなものだ。


 我ながら、良い素材になりそうな鱗で体が覆われておる。

 いっそ、自分の鱗を使用し、家具一式を揃えるのも夢ではないと考えたりもした。

 だが、『セーブ&ロード』をする度に折角作ったものが消えてなくなる寂しさを考えれば作らない方が良いだろう。

 少なくとも今の所はであるが。



 『触手』はどうなのだろう。

 先ほどの穴だらけの岩を目掛けて突き刺せば。

 まるで豆腐のようになんの抵抗も無く貫き通せた。


 先程した時も本当にコレ岩か? という疑念もあったので力を込めて締め付けてみた所。

 ミシミシという良い音を立てて爆裂四散した所を見るにそれなりの強度はあったようだ。



 では今後の指針である。

 強くなれ。その一つに重点を置いて決意を固める。


 今の自分は正直、ステータスが高いだけの木偶の坊。

 必要なのは純粋なる強さを得る事。

 強さという基本的な能力を鍛え上げてくれる環境が必要なのだ。


 単なる脳裏に浮かぶ数字だけのステータスという概念ではない。

 生き延びる為に必要な、他者より上に立つ為に必要な根源的な強さをだ。



 今より自分は修羅となる。

 多少こすずるい手を使う時もあるだろうが。

 少なくても争いごとにおいては上位の存在となりたい。



 故に、今回は戦闘中一切のステータス閲覧を禁止する。

 後日改めて確認する程度に留めよう。

 何をするにしても、情報は欲しいのでね。

 少なくても戦闘中の閲覧を禁止し、寝る前辺りにさくっと振り返る程度で良いだろう。


 スキルも『星食い』の使用を禁止する。

 『蛇王の呪い』『不死の肉体』については頭に入れないものとする。

 発動したらその時はその時だ。

 故にその他の一切の縛りは無しとする。



 守護者よ一つだけ宣言させてくれ

 今回はギャグ補正無しだ!



―――確認 期待しています



 これで良し。

 後はどう鍛えるかだがこればかりはまだ分からない。


 一先ずは、この森林の主として我が物顔で闊歩する以外あるまい。

 自分以外の強者もまだまだ存在するのを確認している。


 そいつ等と事を構えて正面から叩き潰す。

 それではイザ、咆哮!



 シュゥゥゥウーー!



 ………?

 辺りに響き渡るような重苦しい咆哮は出せなかった。

 元々、隠密系に特化しているような種族特性だろうか。


 だが、覚悟は出来ている。

 『蛇王の象徴』だけは『隠蔽』にて隠しておいた。

 空を飛んで楽をしてはいかん。と戒める為である。

 コレについては、戦闘時に空を飛ぶ必要があれば惜しみなく使うであろう。



 それでは、自分の修羅への道のりへの第一歩として。

 今この目の前に立ちふさがる。



 『ワイルドベアー』を打ち倒す事から始まるのだ。



 懐かしいなぁ、こいつにワンパンKOされた覚えがあるなぁ。

 相手としては不足無し。

 相手側も此方の姿を確認し、臨戦態勢だ。願ったり叶ったりの状況に歓喜する。

 あの時の自分だと思って貰っては困る!

 まあ、目の前の熊にとっての自分は初対面な訳だが。



 先手は譲ってやる。此方からの一撃だけで倒してしまってはツマラナイからな。



   *   *   *



 結果は圧勝だった。

 『アサシンヴァイパー』としての強さもあるのだろうが。

 蛇としての動きを前世の『エビルパイソン』時に学んでいた事も多い。

 『リトルスネーク』時代では正面切って戦うという行為自体を廃していた為に基本的な動きに違いがありすぎたのだ。


 まず、前世との違いに回避能力で大きな違いがあった。

 全体重を支える部分が尻尾の先のみで事足りるバランス感覚が身についていたからだ。


 故にどのような体勢からも瞬時に方向を変え、自由自在にあらゆる角度から移動し、攻撃し、間合いを調節する事が可能。

 さらには触手の存在だ。これにより、宙へ逃げるのを余儀なくされても、触手一つの勢いでバランスを立直し。

 尚且つ楔のように触手を地形に打ちつけ移動を制御する事も出来た。


 対する相手は、巨躯に見合わぬ俊敏な動きで間合いを詰めたり一瞬で後方に逃げる等のテクニックを有していたが。

 触手に対する対抗策がまるで出来てないのが見て取れる。


 戦闘の最中でも学習しているのか、初期と比べれば幾分かマシになったものの。

 今の自分にかかればほうれ、この通り。



 ドサッという何か肉質で大きな物が地面に落ちる音。

 『触手』が『ワイルドベアー』の左腕を切り落とした瞬間である。



 耳をつんざく咆哮に多少竦みもするが、依然と冷静に獲物を仕留める算段を心の中で段取っていく。

 そう思い間合いを詰めた所でそれは起きた。


 『ワイルドベアー』が逃げたのだ。


 ほっほう、自分の強さに恐れをなしたか。

 気分が良い、今日はこの左腕で我慢するとしよう。


 落ちた左腕である部位を触手にて拾い上げ無造作に口の奥に流しこむ。

 多少太くつっかえると思ったのだがすんなりと入ってゆくものだ。



 どれ、見聞を広げる為に少し急ぎ足といこう。

 どれだけスタミナが持つかも気になる所であるし。

 この感覚が間違いでないのなら、少なくても数日通して走り続ける事が出来る筈。


 魔物の体もほんと悪くないな。

 そう思う今日この頃であった。



 そんなこんなでの、狩りの成果であるが。

 前回の進化系とやらを、それなりの頻度で見かけたので纏めてみよう。



――――――――――――――――――――――――



 ランクE+ 種族名『メープルスパイダー』

 ランクE- 種族名『スパイダーミニオン』

 Lv:80 HP163/163 MP205/205 - HP55/55 MP62/62


 攻撃:99.攻撃:42

 防御:95.防御:25

 魔法:120.魔法:80

 速度:123.速度:88


 注釈:美味

 甘かったが。配下のミニオン達は不味いの一言。

 連携力が高く。戦闘後に蜘蛛糸塗れとなる事は避けられない。


――――――――――――――――――――――――


 ランクE+ 種族名『アートウルフ・リーダー』

 Lv:77 HP133/133 MP84/84


 攻撃:138

 防御:91

 魔法:168

 速度:100


 注釈:美味

 身体が一回り大きく、模様も増え。魔法まで使用してくる固体。

 下位の『アートウルフ』を引き連れている為、中々の強敵。


――――――――――――――――――――――――


 ランクE 種族名『キラーラビット』

 Lv:66 HP90/90 MP22/22


 攻撃:350

 防御:34

 魔法:66

 速度:205


 注釈:美味

 極端にステータスを尖らせた凶悪な兎

 性格も凶暴 ただし臆病な面も残しているので威圧すれば逃げ出す


――――――――――――――――――――――――


 ランクE 種族名『マジックイーター』

 Lv:8 HP420/420 MP802/802


 攻撃:55

 防御:42

 魔法:330

 速度:107


 注釈:非常に美味

 見かけたら積極的に狩りたい。

 一切の魔法が効かないようで魔法=食事との認識をしてる

 一部の魔法を介さないスキルは例外のようでそれ等に対しては非常に弱い


――――――――――――――――――――――――


 ランクE- 種族名『ダークワーム』

 Lv:25 HP330/330 MP92/92


 攻撃:209

 防御:85

 魔法:92

 速度:130


 注釈:不味い

 群れて戦う事を覚え仲間意識が高く、戦闘が長引けば囲まれる可能性が高い

 非常にタフで、さらに身体に空いた穴。もしくは傷口より毒液。

 もしくは毒霧を噴出する特性もある。


――――――――――――――――――――――――


 ランクE- 種族名『ポイズンアイビー』

 Lv:5 HP190/190 MP192/192


 攻撃:45

 防御:85

 魔法:92

 速度:44


 注釈:不味い

 自走式の毒性振り撒く蔦。とにかく迷惑極まりない。

 移動自体は遅いがムチのようにしなる

 蔦の一撃は毒対策が出来ていなければ脅威だろう。


――――――――――――――――――――――――


 ランクE- 種族名『ホブゴブリン』

 Lv:40 HP99/99 MP72/72


 攻撃:91

 防御:85

 魔法:68

 速度:95


 注釈:不味い

 ゴブリンの上位種っぽく行動は変わらず。

 手製であろう武器を持つが故 能力以上の強さがある

 頭が良いようで。命乞いとも似た仕草をする事もある。


――――――――――――――――――――――――


 ランクD- 種族名『スライム』

 Lv:25 HP70/70 MP122/122


 攻撃:59

 防御:335

 魔法:260

 速度:81


 注釈:種類によって味が違う

 核であろう部分は共通して美味い

 隠密性を備えた姿に粘性の体質

 触れて取り込まれればその部分は消化されるのでゲル部分は食べ辛い

 狩りへの心得を持っている個体も多く

 麻痺性の毒を持つ個体もあり

 スライムの分類は詳しく分けねばならないようだ

 友好的な個体も出会った

 ぷりんぷりんして可愛い

 いずれ愛玩用に欲しいかもしれない


――――――――――――――――――――――――


 ランク0 種族名『アンデッド・スケルトン』

 Lv:0 HP0/0 MP0/0


 攻撃:0

 防御:0

 魔法:0

 速度:0


 注釈:カリカリして意外と美味

 解析に失敗した所為でステータスは不明

 脳裏には0としか表示されなかったので心の中でバグスケルトンと名付けた


――――――――――――――――――――――――



 スケルトンは冒険者の慣れの果てだろうか。

 襲い掛かってきたのでついつい倒して。さらには食べてしまったのだが。

 意外と美味しかったのは驚いた。また食べたいかもしれないと思うが。

 元、人間の冒険者であったのならと考えると出会いたくはない。


 解析に失敗というのもありえるのだなと、収穫を得るも、あの0の羅列には一瞬だが戦慄が走ったものだ。

 アンデッドって不気味だし。食べられると知って、感染したりもしないと分かっているし。


 この世界のアンデットとやらは、魔法の力で無理やりに動かされているものを指すらしい。

 細菌兵器だとか、突然変異といった現象ではないようだ。

 故にゾンビ的なパニック映画的展開にはならないだろう。たぶん。


 ファンタジーでお馴染みのスライムにも何匹か出会ったが。

 どれもこれも同じ『スライム』で特性が全然違うので解析も万能ではないと再認識。

 そういえば、ふと友好的なスライムを見て思い返す。


 自分以外にも、同じ境遇な魔物になってしまったとか。

 別の世界からやってきたとか、そういう類の者はいるのだろうか、なんて一つの考えが思いつく。

 ありえなくはない考えではあるが、確認する方法も現状ないし。


 少なくてもあの『良いスライム』のような奴は極力襲わないようにしておこうか。

 それ以外には別段何も出来んからね。少なくても今は。まだ。



   *   *   *

この時点での主人公は魔物として10年程度生き抜いております。

進化後からは殆ど死ぬような目にはあわず。

自由奔放と魔物ライフを送っておりました。

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