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蛇と触手と少女が合わさり最強に見えた

 その体躯は地に這う部分を差引いても3メートル以上。

 毒々しい体の色は紫色で返り血でも浴びたかのようにどす黒い模様が浮き出ている。

 見るからに醜悪な顔付きは見るものを畏怖させるには十分過ぎるほどに巨大な蛇であった。


 それに相対するは場違いな少女。

 魔物が捕らえられし檻の中。我が物顔で自分こそが主よ。

 貴様より上の存在であるぞ。ひかえよろう!

 絶対的な自信はつい先程見せた力任せに目の前の蛇を投げ飛ばした行為を見れば明らかである。



 …しかし、魔女っ子風の少女とはねぇ。

 頭に被る、ボンボン付きの帽子が可愛いよ。

 それのお陰で頭から齧り付く選択肢は廃されたね。



 折角なので暫くは『エビルパイソン』とやらの能力のみで反撃としよう。


 相手が魔女っ子という事で、この『触手』解放させて頂く!

 前世では持ち得なかったこの『触手』も使い慣れれば慣れるほど便利な物だ。

 刺して良し、巻きつけて良し、体液注入も出来るというから驚きだ。


 ほれほれ、この速さ見切れるかなぁ?

 ムチのように音が遅れてやってくるこの速度。とくと味わえぇーい!


 ピシュンッ―――

 ―――パシィ!!!


 目の前の魔女っ子は難なくそれを打ち払う。


 さらには合間を縫って間合いを詰めると同時に肩口からの体当たり。

 思わぬ衝撃に蛇の巨体は吹き飛ばされ、背後の石柱が軋むと、さらにパラパラと天井より破片が落ちてくる。


 何このパワー?

 ステータス閲覧…しとくべきだった。


 うー、かなり痛い。

 体感だが現在のHPは7割といった所かな。


 しかし外見があんな魔法使いみたいな薄手のローブに。

 頭のボンボンも宝石が埋め込まれているのか淡く光っている様子をみても、

 イメージとしては魔法使い的な職業が真っ先に思いつくのだが。


 魔法ではなく肉体的な攻撃しかしてこないじゃないか。

 やっぱり物理的な手加減など不要のようだ、自信があるのだろう。



 どれどれ、それならこっちはどうかな?

 『触手』よりは扱いになれた『テールスピア』である

 魔物となり、反応速度が上がっているであろう自分でもこのスキルの速度を捉える事は至難の業なのだ。


 ほれほれ、先っちょは丸めておいてやる。

 多少は痛がるだろうが一発ぶんなぐらせろい。

 なんて舐めていた自分はそろそろ本気で対処せねばならないと思い知らされる事になる。



 突きかかった尻尾が綺麗に切断された。

 禍々しい断面図をさらけだして分断されたのだ。

 これには驚かされた。本能的に底の知れない恐怖が身を包む。

 咄嗟に『触手』を使って綺麗に切断された尻尾を無理矢理に繋げる。

 ぐじゅぐじゅと音を立てて不格好に接合するも、この程度なら問題ない。

 自分の体は不死の体なのだから死にはしないのだ。


 そんな様子を目の前に、魔女っ子は依然と笑みを浮かべたままだ。

 暗に本気を出せと言っているようにしか見えない。

 そうでないなら処分してしまおう的な。


 とはいえ『エビルパイソン』の能力で言うなれば。

 後は毒系のスキルぐらいしか無いのだ。

 こんな換気機能の薄い室内で毒スキルなんか放った時にはそれはもう酷い事になるだろう。

 となればそろそろ別の形態のスキルを解放する頃合か。


 自然な能力となれば『魔法弾』辺りだろう。

 あれから相当な練習を積んだこのスキル。

 目の前の標的を殺すには十分すぎる威力を持っている。


 狙いも正確。威力も現時点では最強クラス。

 悪く思うな。自信はあるんだろう?


 4本の触手を重ね合わせ。増幅した弾を相手に射出。

 4本別々に連射も可能だが。これなら態々何発も撃つ必要が無い。

 何より、低威力の魔法弾連射は敗北フラグの代名詞。

 実際に強さで言うなれば。単発射撃を確実に命中させる方が効率は上である。


 直線的な射撃だが、正確に狙いを定め、狙った獲物は逃さない

 少なくても、そこい等の魔物にならこのスキル一つでどうとでもなった


 ワイバーンを相手に自爆していた時とは練度が違うのだよ。

 受けてみな、魔物の力って奴をな。



 ルゥゥゥゥォォォオオ!!!



 一瞬の閃光と共に、高速で射出される『魔法弾』

 その余波にて周囲の石畳がめくれあがる。

 レベル5ともなった『魔法弾』の威力は300程度のHPを持つ魔物をも一撃で文字通り吹き飛ばす。



 流石の魔女っ子も、これには驚いたらしい。

 むしろ、驚く顔で済まされたのに此方が驚きだ。

 もしも、何の気無しに効かんなぁ顔で反撃されたら笑うしかなかった。


 ほーれほれ、触手からなので、この程度の威力で済んだが。

 頭部からの射撃であればさらにそれを上回るぞぉ。


 第2射の準備を頭部で溜め終えている状況を確認した魔女っ子は徐に右手を前へと差し出した。

 何をしようとしているのかは良く分かる。


 魔女っ子側も、『魔法弾』のようなスキルを使う気なのだろう。


 だが、待たぬ!散々馬鹿にしおってからに!倒した後はまきついて。

 締め上げて、触手でヒイヒイ言わせたるわ!



 なんて、戦闘に関係の無い邪な感情を抱いている時点で負けは決していた。



 『魔法弾』の威力自体では勝利していたのだ。

 しかしその爆風に隠れ再度肉弾戦を挑んできた魔女っ子に対応する技術が自分には存在しなかった。


 格闘ゲームで例えるのであれば。

 傍から見れば接近戦が得意で素早いキャラvs強力な飛び道具を使う鈍重なキャラ。

 自分は何でも出来るボスキャラみたいな存在であると思っていたが、結果はごらんの通り。


 一度接近を許してしまえば、あとはタコ殴り。

 その怒涛の格闘コンボは逃げる間もなく、抜けられる暇もなく。

 コンボカウンターが回っているのであれば30ヒットは超えていたであろう。


 苦し紛れにまきつくべく、体を無理に密着させた所で勝敗は決した。

 超必殺技的なゲージを3つぐらい消費してそうな、

 ど派手な投げ技をその身に受けてほぼ瀕死の状態となった自分が横たわる。


 目の前では魔女っ子の高らかな笑い声が聞こえた。

 こんな状況でもなければ可愛いのう可愛いのうと撫で回してやったというのに。


 悔しい…とにかく悔しい!

 いよいよもって、接近戦をどうにかしなくてはな。

 という意思を強く持ち『蛇王の呪い』が発動する前に大人しく

 『セーブ&ロード』にて進化前にまで時間を遡る事としたのだ。



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「だれもいなくなった」

「ワレダケガノコッタ」

「もうだれもいない」

「ワレハイナクナラナイ」

「シネナイ」「キエナイ」「シネナイ」「キエナイ」「シネナイ」「キエナイ」

「ナニモデキナイ」「ナニモデキナイ」「ナニモナニモナニモナニモナニモ」


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―――ユニークスキル『ロード』失敗 再度実行



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   *  *  *

メモリーカード時代は良くロードに失敗したものです。

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