断絶
{次のゲームを開始します}
{学校の教室に集まってください}
僕たちは、教室に行くことにした。
「31人」一人を除く全員が学校に来た。
{ゲームを開始します}
と表示された瞬間、教室の電気が全てなくなり、完全な闇と化した。
「え…?」
「なんで?」
「停電?」
色々な声が飛び交う教室の中で、テレビがついた。
{第2ゲーム}
{メモリー}
直人は息を呑んだ。
「ゲーム…?」
其の瞬間教室内の全てのスマホが鳴った。
みんなが画面を見る。
{記憶保持者:7名}
{記憶消失者:25名}
{参加者:32名}
直人は7人…
伊藤美月
山口大和
水野凛
田中悠真
山本結衣
渡辺翔
そして、僕。桐谷直人
7人。全員が蓮のことを覚えている。
直人は画面を見つめた。
すると、画面が変わり、文字が表示される。
{MISSION}
{この中に存在しない人物が一人います。}
教室が騒めく。
「存在しない人物?」
「どういうこと?」
直人は嫌な予感がした。
其の直後新しい文字が追加された。
{其の人物の名前を答えてください。}
直人の心臓が跳ねる。
いや、そんな筈はない。
とは画面を見つめた。
{制限時間10分}
そう表示された瞬間、教室のテレビにも同じ時間が映った。
カウントダウン。時間が減っていく。
「おい。」
不意に後ろから声をかけられ少し驚いたが、振り返る。
そこには、25人の中のリーダー的存在、そして、クラスの中で一番冷静な黒崎恒一が立っていた。
「これはどういう意味なんだ?」
直人は答えない。
だが黒崎はまだ続ける。
「存在しない人物って言ったよな?」
「ああ。」
答える気もなかったのに、答えてしまった。
「じゃあ。」
黒崎は僕たち7人の顔を見る。
「お前たちが言っていた蓮というやつなんじゃないのか?」
教室が静かになる。直人の手が止まる。
「……」
「違うのか?」
直人は黒崎のことを睨みつける。
「蓮は存在した。」
「証拠はあるのかい?」
直人は言葉を失った。
「何?」
「だから証拠って言ってんだよ。」
黒崎が一歩こっちに近づく。
「昨日からお前たち7人はずっと同じ話をしている。」
「『蓮はいた。』『蓮を覚えてる』」
「でもさ、」
黒崎は教室を見渡した。正確には、25人の方に向いた。
「俺たち25人は誰も覚えていない。」
「写真はあるのか?」
「…ある。」
そう言ってスマホを取り出し、写真フォルダを見せる。
蓮と撮った写真。
蓮が消える日に撮った。
確かにあった。
直人は其の写真を開く。
「これだ。」
8人での写真だった筈だった。
でも、今は7人しか映っていなかった。
蓮がいない。
別の写真や動画にも勿論蓮はいなかった。
「名簿は?」
黒崎が言った。
直人は走って名簿を取りに行く。
ページをめくるとクラスメイトの名前が書かれている。
でも、神谷蓮。其の名前がない。
直人の顔から血の気が引いた。
黒崎が冷静に言う。
「な?最初からそんな奴いなかったんだよ。」
「違う…絶対にいた。」
「俺たち7人は覚えている。」
「7人で口を合わせているだけじゃないのか?」
其の瞬間大和が大声を出した。
「ふざけんな!」
25人の目が一斉に大和のほうに向けられる。
「俺たちが嘘をついてなんになるんだよ!」
黒崎は其の怒りにも応えず、冷静に
「知らねぇよ。俺たちには関係ない。存在しない奴のことを語られても困るんだよ。」
と言った。
「関係ない?」
少し怒りが湧いた。
「お前らが忘れただけだろう?」
「忘れたんじゃない。最初からそんな人物はいなかった。」
「……」
直人の拳が震える。
「俺は見たし、会話したし、笑い合った。」
少し間を置き、
「そして、ここに確かに存在していた。」
美月がいった。
「私も覚えている。」
それに続くように残りの5人が覚えていると言った。
25人は何も言わない。
黒崎のみが7人を見ていた。
其の瞬間テレビから音がする。
{残り5分28秒}
時間がない。
そして黒崎が
「早く決めろ。存在しない人物を」
直人はスマホの画面を見る。
そして、名前を入力する。
『神谷蓮』
他の6人も同じ回答。
一方、25人の方も入力する。
其の瞬間、テレビの画面が変わる。
{回答が全て出ました。}
{7人:神谷蓮}
{25人:神谷蓮}
全員同じ答え…?
「全員同じだな…」
「当たり前だろ。俺は其の名前しか知らないんだよ。」
何かがおかしい。
其の瞬間テレビの画面が変わる。
{正解判定中…}
全員が同じ答え。でも、もしこの答えが蓮だった場合…
其の瞬間テレビの画面が変わる。直人の鼓動はものすごい速さだった。
{正解}
テレビから音が鳴る。
『全員の正解を認めました。次のステージへ移行します。』
其の字を見ながら直人は薄々感じていた。
このゲームは蓮を消すゲームではない。
蓮を思い出させるためのゲームなんじゃないかと。
其の瞬間教室のドアが開く。
そこには、
ーー誰もいない学校があった。
直人のスマホが鳴った。




