僕らのクラスは、32人
僕らのクラスは32人。多いのか少ないのか。そんなことは考えたこともなかった。
朝の教室はいつも騒がしい。男子は窓際でくだらない会話をして盛り上がっているし、女子はスマホを囲み笑い合っている。黒板には昨日の6時間目の授業の文字がうっすらと残っている。窓から入り込む光が教室を照らしている中、僕は人数を数えてみたくなったため、数えてみた。
1人、2人、3人。
僕らのクラスは32人。何度数えても32人だった。
自分はなんで数を数えているんだろうと思っていると、背後から
「おはよ〜」
考えている途中。不意に後ろからかけた声に少し動揺しながらも後ろを向き、
「おはよ〜」
と返した。そこには僕の親友…神谷蓮が立っていた。
「今日の数学勉強した?」
「え?今日なんかあったっけ?」
「今日数学小テストあるじゃん。お前もしかして忘れてたか?」
「忘れてる筈ないじゃん。」
「お前、嘘つくなってw」
「いや嘘ついてねぇし」
僕と蓮は笑った。
くだらないことで喧嘩をし、一緒に帰らなかった日もあった。殴り合いをし、顔が血だらけになったこともあった。でも、次の日になるとまた普段通りに会話している。
それが普通だった。でも、其の時の僕は知らなかった。
そんな日常が崩れる日が来るなんて
*[6:00]
放課後。
なんか僕は家に帰る気にはなれなかった。
だんだん太陽が沈んでいき、暗くなっていく。
周りを見渡すとあんなに騒がしかった教室の中には誰もいなくなっていた。
「まだ帰らないのか?」
部活終わりの蓮が教室に入ってきた。
「いや、帰るけどな…なんだか帰る気になれなくて」
「じゃあ一緒に帰ろうぜ。最近帰れてなかったし」
僕たちは2人で帰ることにした。
教室を出ると、ピコンという通知音が僕と蓮のスマホから鳴った。
確認してみると、みたことがないアプリだった。
開くと、
『0:00』
とかいてあるだけだった。
気になったのでタップしてみると、
『ゲームに参加しますか? YES/YES』
「YESかYESかよ。お前は?」
「俺もYESかYESだわ。じゃあ俺左側のYESにしようかな。」
「じゃあ俺も!」
YESを押すと
『参加を確認しました。』
『午前0時まで残り6時間』
*[6:30]『午前0時まで残り5時間30分』
家に帰る。
いつも通り、勉強をし、風呂に入り、ご飯を食べる。
其のあと、ゲームをする。
*[23:42]『午前0時まで残り18分』
「はぁ〜残り18分か。一体何が起きるんだよ。」
ポツリと呟きスマホのアプリを確認すると、下校時に見た画面とは全く違うものが表示されていた。
『参加者を確認しています。』
参加者?そう思った時、また画面が変わった。
『参加者:32人』
32人?僕は其の数字に少し引っかかった。
僕らのクラスの人数じゃないか。
まさかね。そんなことありえない。
一旦僕は蓮に連絡を取ることにした。
{其の変なアプリさ、今なんて表示されてる?}
{参加者:32人って表示されてる。これ、僕たちのクラスの人数なのかな。}
{いや、無いっしょw}
其の時、グループラインではものすごいたくさんメッセージが行き交っていた。
{このアプリ何?}
{しらね}
{参加者:32人だってさ。これ俺らのクラスの人数じゃね?}
{誰か消せた人いる?}
{消せねぇwこれなんのアプリだよw}
*[23:50]『午前0時まで残り10分』
23時50分。其の時、アプリが勝手に開かれ、さっきとは全く違う画面が表示されていた。
『ゲーム開始まで残り10分』
そう表示されたあと、アプリが閉じた。
知らないアカウントからグループラインにメッセージが届いている。
{1年3組の皆様へ}
{貴方達は32人です。}
{午前0時になったらゲームを開始します。}
{残り9分です。}
たったそれだけの文章なのに妙に心臓の鼓動が速くなる。
何度もまた開かれたアプリを閉じようとした。
だが閉じられなかった。
このアプリ、そしてゲームがなんなのか分からず、考えていると、ピコンという通知音と共にメッセージが送られてきた。
蓮からだった。
{なあ}
{これ本当に32人全員参加しているのか?}
{どういうこと?}
すぐに既読がついた。だが、返信は来なかった。
僕はもう一度グループチャットを開く。
32人。そこには見慣れたメンバーがいた。
*[23:52]『午前0時まで残り8分』
0時まで残り8分。
数字は確実に一つずつ減っていく。
其の瞬間、ピコンという音と共に通知が届いた。
{準備はできましたか?}
{午前0時に}
メッセージがここで途切れる。
数秒後、
{貴方達のゲームが始まります。}
僕はスマホを握りしめた。
午前0時まで残り8分。




