プロローグ2 運命の矢~Wake UP!~
基本的にサブタイにデカがつかない回はナンブ以外の主観です。
ほぼ女性、その回のメインの方とかですね。
■自動記入議事録 作成者 ネロ・ウィンタース執政官補
「というわけで海賊軍によって要塞化されている宇宙監獄に入ってもらいたいのよ」
「執政官補、もう少しわかりやすい説明をしていただかないと理解が追い付かないのでは」
「……まず銀河連邦中世で建造された宇宙監獄の話からするの?」
「パ、パードゥン?中世?宇宙中世イズ何?」
「公的な記録が残る場で遊ばないでください。お呼びした二方をも付き合わせるつもりですか?」
この無限の広がりを見せる宇宙において、ほぼ唯一ともいえる宇宙監獄の設立経緯から説明することはふざけているわけではない。それはさておいて必要か必要ではないかギリギリのあたりを踏んで遊んでいるのは否定できない。あの年代は旧地球言葉で翻訳されると彼らの認識では中世と翻訳されるらしい。おもしろい、追記しておこう。
ともかくクラウディアが溜息をつくのと同時に、今回呼び立てた地球帝国宇宙海軍と海兵隊の提督両名からの視線が威嚇の色を出し始めたので本題に入ろう。
「宇宙海賊と言っても主に2種類あるのは聞いたわよね?」
「大なり小なりいる《《宇宙のならずもの》》が集まっている海賊ギルド、巨大犯罪シンジケートと、宇宙海兵隊出身者で構成される海賊軍……がいる、と」
「そう、そこまではいいみたいね。プリム、宙域図を出して」
「こちらが次にナンブ様に訪れていただきたい星域にある遺跡がある宙域です」
この閉め切られた会議室の中心に浮かぶ小型立方体……巨大遺跡構造体の管理者であり、宇宙超常存在の使徒プリム。彼女が中心部から投影させたホログラフィックな宇宙空間の地図、星図。
そしてさらにフォーカスされるエリア……宙域にでんと佇む球形に近いものの武装された歪な要塞構造体。それの断面図もまた表示され、プリムにこれら情報について解説するよう促す。
「この巨大遺跡構造体は我々が認知する中でもかなり古い部類のものです。宇宙超常存在様達が行っていた人類型生命体の強化と武装、それに伴う兵器技術の補完がされていました」
「そこに目を付けたかなり古い時代の……先ほどでました中世期ですね。その時代の銀河連邦人類が解析に乗り出そうと踏み入りましたが、継承権のない人は阻まれ解析は困難を極めました。それらを繰り返す度に周囲に構築された研究施設らが出来上がっていくのですが」
「なんだかずいぶん物騒な話が続くんですね……」
「物騒も物騒、時代が進んだら遺跡の迎撃機構を利用して逃げられない重犯罪者用監の獄にしたのよ。そこからはフランソワーズ提督からね」
「はい。それでは現宇宙海兵隊提督であるフランソワーズ・バロウズからご説明をさせていただきます」
説明と言ってもここまで終わってるものだ。要するにその監獄が海兵隊出身の退役軍人が先々代ぐらいの時期に乗っ取ったのだ。こうした事態……コトの始まりは数世代前にも上るが、現地球帝国の制度では兵隊の現役期間は短い。そのため退役後に無政府の武装集団と化すのが常態化していたわけだが、このフランソワーズの先々代ぐらいから海兵隊上がりが乗り込んで……囚人らを始末した上で居座った。彼女らは本拠地を手に入れると外に呼びかけ、集まった連中と徒党を組んで今は海賊軍をやっているだけの話。
その性質上軍隊の色が強く、海賊ギルドとはある程度の距離を取っているところが面倒だ。干渉されないにもそれなりの政治交渉の能力が必要とされるのはわかりきったことで、今の首魁アメリアが頭目としての能力に優れているのも海兵隊時代の功績からして明らかだ。どうせなら一緒になってもらっていたほうが銀河連邦法上で拘束するにあたり法的根拠が重なり理由をつけての排除はしやすかったのだが。
そんな事情を知らずフランソワーズから語られる説明をへぇであったりおぉであったりなるほど……などと感嘆しながら聞いてるのだからこの男は不安にさせるものがある。この会議室に集まった面々は皆一様に男より大きいものだから、教室で大人が子供に時事情報を教えているように見えるからかもしれない。
教えているフランソワーズが《《身内の恥》》というのにその堅牢さと兵力を得意げに話しているバカらしさも……それに拍車をかけている。受けているナンブも一々彼女の話に応えているのもだ。横を見ればクラウディアですら目じりが吊り上がりかけているのだから、相当なこと。
「だけど1つだけ欠点がある。それは宇宙超常存在の遺跡を利用しているというところ。今までは誰も資格がなくて野放し状態だったけど……有資格者が現れた」
どんなに堅牢な要塞の作りをしようと、そもそも主たるシステムや解析の最中で利用された構造に対してそもそもフリーパスみたいな人間が現れたというのなら話が変わってくる。内側から解放すればよいのだ。
「地球帝国の穏健派……あなたを受け入れてもいい、と思っている派閥から出されたお願いみたいなものよ。要塞に潜入してシステムを掌握し、海賊軍の実態を報告して。海賊軍解体のためにね」
ナンブにはこう伝えればいいだけだ。内部に潜入して監視、実態を報告。すると帝国海軍……エレナ・ウィンタース提督の艦隊が駆けつけて逮捕にあたるだけだけなのだ。無血開城を目的としたものであると。
「トロイの木馬、はちょっと違うか。とにかく中に入って探って鍵を空ければいいだけなんだね」
「えぇ。殲滅する必要はないわ。それにあなたも今この銀河連邦や地球帝国の状況を知る必要があるのではなくて?ちょっと潜り込んで自分の目で情報を確認してくること、威力偵察でもないわ。そうねエレナ」
「こちらとしてもアメリア提督達を攻撃するのは本意ではありません。かの英雄らを拘束するのですら本来は我々の意志とは外れたものです。しかしそれでも現状が問題となっている、地球帝国の外的状況に対して内部にある大きな障害となっている。情けないお話ではありますが、何卒お力を」
ないないない、そんな話ではない。うまくいけば一網打尽という話ではないし、そんなことを考えているのはお行儀のいいローデンシア家のエレナ提督一派だけではないだろうか。大多数は私と同じくアメリア海賊軍の解体、本部壊滅を狙っているのだから。
だからこそ、あの場所のすべてのアクセス権を確保できる……遺跡機構の生体マスターキーであるこの男を中に入れてされしまえば。内側から開いてバラバラにするだけの簡単な……お手軽武装解除を提案したのだ。議会と教導院の承認も取り付けているのだから皆この方法が一番スマートだと理解しているからこそ。
「わかった……一人で出来るかは不安だけどやってみるよ」
「もちろん私たちが全力でサポートするわ。潜入中も遺跡機構の一部を使って通信も繋がる。安心して」
これも目的と同じく隠されたもの、虚偽だ。実際は私たちも隠れて同行する。一人で送り出すなんてそれこそ議会らが黙っていない。現状表に出すわけにはいかずお披露目がまだの存在ではあるが、だからと言って知らない間にどっかいってるというようなバカな状況にはしたくない。私とプリム……あと帝国からもとクラウディアが後ろから同行するのだ。
「それではまず作戦を。まず我々の艦であるアークⅠから出しました小型艇で、要塞近辺に到達予定の艦船残骸に乗り移っていただきます」
その後ろを、私たちがついていくんだけどね。さぁ楽しい宇宙海賊軍撃滅作戦のスタートだ。
●補足 追記 反省 雑感
まぁ、計画の通りに全てが全て、うまく、いかなかった、けど!
なんで!もう!信じられない!!!
あぁ仕事が増える!仕事が減るはずだったのに!!!どうして!?なんで私が!?




