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リュッ君と僕と  作者: 時波彷徨
三日目
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24/88

ダムカード

「なんだろう、これ?」


 ユウキはワゴンのほうに近づくと、その中に置いてあるカードを手に取った。


 かごにもカードにもホコリがひどく積もっていた。そのカードのホコリに、フッ!と息を吹きかけて飛ばしたあと、残りを手で叩いてホコリを落とす。


 その青いカードの表面にはダムの写真がプリントされていた。その写真はどうやら、ユウキ達が今いる、まさにこのダムであるらしかった。ユウキがまじまじと写真をみているとリュッ君が、

「おい、ユウキ、俺にも見える様に下ろしてくれ」

と声を掛けてきた。ユウキがカードを少し下に下げて、一緒に見てみる。


「…ダムカードか!」

「ダムカード?」

「ああ、全国のダムには、そのダムを紹介するためのカードが置いてあるときいたことがある。こいつがあれば、ここがなんて言う名前のダムか分かるはず…はずなんだが…」


リュッ君がそのダムカードを見ると、写真の左上にある表記が黒くマジックで塗りつぶされていた。まるで、小説か何かで、丁度、名前がぼかされる時のように「■■■■■■ダム」と上塗りされていて、このダムの名前を判別することが出来なくなっている。その横にはアルファベットでFNPの表記が並んでいた。


「おい、ユウキ、カードの裏を向けてみろ」


カードをひっくり返してリュッ君に見せるユウキ。裏にはダムの説明書きらしき文字が並んでいた。説明書きは難しい漢字やアルファベットがびっしりならんでいて、ユウキには何が書いてあるのかわからなかった。


 リュッ君は、カードに書いてある情報を、上から順番に読み込んでいく。


----------------------------------------

DAMーDATA

所在地;■■■■■■■■■■■■

河川名;■■■■■■■■川

形式;重力式コンクリートダム

ゲート;高圧ラジアルゲート2門

ジェットフローゲート 1門

堤体.堤頂長 ;90m.180m

総貯水容量;52,210,000㎥

管理者;■■■■■■■■■■■■■■■■

施工年/完成年;■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

ランダム情報;■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

こだわり情報;■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

----------------------------------------


 こちらも、肝心の住所と名称、特徴的な部分がマジックで塗りつぶされている。悔しそうな顔でブルブル震えるリュッ君。


「ねえ、何かわかった?」


 そんなリュッ君にユウキが期待を込めてリュッ君に問いかける。そんなユウキに対して、リュッ君が深くため息を吐いて残念そうに言った。


「いや…、肝心のところが隠されていて、何も分かりゃしねえ」


 忌々しそうに舌打ちをするリュッ君。


 しかし、リュッ君には、今感じるものがある。こういうときは…。

「ユウキ、ゲットしたカードを俺の中に入れてみろ」


 毎度のパターンだ。何故だかわからないが、何か出そうなものをユウキが手に入れたときは、リュッ君の頭の中で何かの予感がはじける。


「わかった。アイテムゲットだね」


 うれしそうな表情を浮かべて、ユウキが、さっそくカードをリュッ君の口に入れようとする。


「ああ、ちょっと待て、もう少しホコリを綺麗に拭いてからにしてくれ」


 まだホコリで汚れているカードを無理やり押し付けられたリュッ君が、カードから顔を背けた。


 ユウキは、一旦カードを引っ込め、自分の服でカードの表面をみがきあげて綺麗にすると、改めて、リュッ君の顔のふたを開けてカードを中に入れた。


 すると、ぷくーっと、リュッ君の体がゆっくり膨れ上がり、中から光が漏れ始めた。それを見つめるユウキが光に照らされ、薄暗い正面玄関で浮かび上がる。ややあって、光が収まっていくと、リュッ君の体がゆっくりとしぼんでいった。そして、いつもの大きさに戻ると、リュッ君は

「んあ!」

と口を大きく開けて、ユウキに中を見せた。


 中身を覗き込むユウキ。すると、そこには丸まった紙が一つ入っていた。


 リュッ君の中から紙を取り上げ、ユウキはしばらくそれをしげしげと見つめると、

「これって?また、地図かな?」

と言った後、紙を広げてその内容を見た。口を閉じたリュッ君が、ユウキが広げた紙のほうに向き直る。ユウキの頭の上でくるくる回りながら浮かんでいる二つの☆が、赤と青の光で、広げたその紙を浮かび上がらせる。


 まじまじとその紙を二人で見つめた後、ユウキに対してリュッ君が言った。


「いや、ちょっと違うな」


 広げた紙には子供が殴り描いたようなダムの絵と、そしてその上に文字でこう書かれていた。



“さくせんしれいしょ”




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