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アルランティアの日記   作者: 倉門 輝光
人間界
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顛末2 ブラックモア邸

367日ぶりの更新です。すごく短いですが、まずは更新という事で。

一年が早くてびっくりです。今年こそ完結させたいのでがんばります。

 


 俺はブラックモア邸の中庭に転移すると共に屋根の上を連続攻撃する。

 突然起こった破壊に、今まさに正面突入をすべくブラックモア邸に駆け込もうとしていた、姉夫婦率いるサコヴィネ家の騎士団と、イヴォール王国第二騎士団は一瞬動きを止める。押し殺した声でイヴォール王国の騎士団長が言う。


 『まさか、気付かれていた…!?』

 

 突入直前にブラックモア邸の屋根で複数の爆発音がしたのだ。自分達の行動を察知し、先んじて攻撃を仕掛けて来たのかと緊張が走る。臨戦態勢に入り構えながら周囲を伺う姉夫婦と両騎士団。


 と、そこで史朗から俺に音声通信が入る。


 「おい、俺を置いて行くな!」


 「あ、ごめ…」


 しまった。慌てていたからつい自分だけで転移してしまった。置いてきぼりをくらった史朗の抗議の声は、姉テレーシアと、義兄から貸し出しを受けて保持していたイヴォール王国第二騎士団団長のケータイからも聞こえたようだ。姉テレーシアが『天界語の会話…』とつぶやいた。


 そして、気配を辿るように鋭い視線で周囲を探る姉。俺だとバレているのは間違いない。なんかすごく怒っている気がする。抑えているのかもしれないが殺気が漂って…あ、こっち見た。やばい。


 『そこか!』


 声と同時に短剣が飛んで来た。本気で狙って来た!俺だとバレてると思ったが違ったのか!?


 隠れていた太い木の幹にカン!と短剣が刺さる。と、ほぼ同時に俺の目の前に風のように現れた姉テレーシア。あれ?おねえちゃんも転移出来るんですか?なんて惚けたことを思う間もなく、レディーにあるまじきデスボイスで『何故ここにいる?』と言われた。


 至近距離で睨む姉の迫力に震え上がってしまった俺は反射的に謝った。


 『ご、ごめんなさい!』


 『…何故ここにいるのかと聞いているのです!』


 姿隠しの指輪を外していた事が悔やまれる。気配だけで見えていなければ咄嗟に転移してしまえば助かったのに。

 

 『あの、持ち場が完了したので皆はどうかなと思って、状況をチェックしていたら、あそこの屋敷の屋根に魔道砲みたいなのがあって、あの、魔力を貯めて狙ってたから…、誰も気付いてないみたいだったから危ないと思って、慌てて飛んで来て破壊しました』 


 助けに来たはずなのに、何となく悪戯が見つかった子供の様な言い訳…じゃなくて、説明をする俺に姉の目が少し優しくなった。が、すぐにキリッとした顔になり、近くに来ていた義兄チャリエス・サコヴィネ伯とイヴォール王国第二騎士団団長に聞こえる程度の小声で言う。


 『援護を感謝致します。お陰で不意打ちを受けずに済みました。こちらはもう大丈夫です。どうかこのまま他の部隊の援護に向かってください。それでは、我々は引き続き作戦を遂行致します!』


 そして返事を待たずに踵を返し、義兄に頷いてからイヴォール王国第二騎士団団長に『シャノトワ家の援護です。屋根から狙われていた事に気付いていなかった所を助けられました。我々の知らない魔道具の武器があるようです。より警戒をして進みましょう』と言い、そのまま足を止めず騎士達を引き連れて、屋根の上の魔道具を破壊されて騒然としているブラックモア邸に向かって、今度こそ突入して行った。義兄は一度振り返り俺の方に礼をして皆と共に駆けて行く。


 俺のお姉ちゃん、かっこいい。戦場に赴く後ろ姿を見送りながら急いでスマホでパシャっと撮る。爺ちゃんに見せたい。史朗にも見せたい。うん、ここはもう大丈夫だな。

 姉の言う「他の部隊」とは、王宮騎士団同士のぶつかり合いになるであろう父上の所だろう。そこに向かうために、まずは史朗の元に転移で戻る。



 

 「置いてきぼり禁止!」と、元の木の下で待っていた史朗に叱られ謝りながら、ブラックモア邸で起こった事を話す。そして写真を見せた。


 「なんか、俺達のチームと違って気迫っつの?プロフェッショナル感がすごいな」


 「うん。俺達だって緊張もしたし気合いも入ってたけどさ、でもなんか本物って感じですごかったよ。お姉ちゃん、怖いけどかっこいい。他の皆さんも、あのちょっと情けなさそうな義兄ですらかっこよかった」 


 「で、俺達はどうするんだ?テレーシア様が閣下の所に行けって言ったんだろ?」 


 「ああ、はっきりは言わなかったけどそういう事だろう。このまますぐに行こう。今度は一緒にちゃんと転移するから」


 「おう。ちゃんとな!」


 「うん、ちゃんとね。じゃ、行くぞ」


 そう言って俺たちは父上の元へ転移した。



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