かわりました。
微妙に気まずいながら、しかし、今はまだ昼過ぎ。
そういえば、お昼ご飯を食べ損ねた。
どちらともなく、顔を見合わせて。
「お昼食べようか」
わたしの提案に微妙な顔をされてしまった。それでもヤカンを手に外に汲みに行ってくれる。
どうにかいつものように、やり過ごせるようになったのは夕暮れも近づいてだった。
ただ、事件が起こったのも夕方ごろだった。
「一体どうしたの?」
外に出た彼が慌てたように呼びに来たのだ。
何が起こったかと思えば、庭が一変していた。
季節を無視したように花が咲き乱れ、木々に実がなる。同じ木で花と実がなるのはどう考えてもおかしい。
良き隣人がなにか、やらかした。一体どうしてそうなっているのかわからないが、支払いができるのだろうか。
いや、ここは素直に礼を言おう。
少なくとも、私たちになにかしようと思ったからだから。
「ありがとう、嬉しい」
どういたしまして。
さざめく風に小さな声が、響く。いくつもいくつも。
「いたっ」
ついでとばかりに髪を抜いていった妖精がいる。彼も痛そうな顔をしていた。
顔を見合わせて笑う。
「好きなものばかり」
こちらの好みはすっかり把握されていたらしい。
「覚えておくよ」
妙に生真面目な声に、視線を向ける。
「まだまだ、ここにいたいと思うんだ」
「うん」
「行く場所がないから、じゃなくて、君がここにいるから」
言ってから恥ずかしくなってきたのか耳まで真っ赤だった。
聞かされた方も恥ずかしい。
ああ、なんというか。
「降参」
もう、とっくの昔から、精霊が好きだったのだ。見えずとも、ずっと。
見えるようになって重ねた年月が、幸せだった。
急にいなくなって、ヒトになって戻ってきて。
もっと好きにならないわけがない。
「ここにいて」
背後で歓声が聞こえた気がしたけど、無視することにする。
今はぎゅっと抱きしめてくれることの幸せをかみしめていたいから。
暫定的完結です。




