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第66話 勝者への報酬

 会場に戻った翡翠の眼には。


「あちゃ~~……こぅ、なっちゃうのかぁ」


 真っ暗な中で、パラパラと何かが落ちている天井箇所。

 ところ処で、携帯の灯りがあり。

 慣れていく目にも、観客も残ってるのが分かる。


 とても熱心な様子に。


「すっごぃのねぇ。コアなファンってのわぁ」


 翡翠は苦笑を漏らしていると。

「ここーどこー」

「ん? 君の大好きなたくまくぅんの戦場だった場所よぉ」

「せんじょーってーなにー」


「……ぅっぜぇなぁ。寝てろよっ」


 応えるのが面倒になったのか。

 翡翠が竜二に吐き捨てるかのように言う。

「ん」

 言葉の威圧に竜二も目を閉じた。


 ぎゅるるるるる~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っっっっ!


「ぅ、っせぇなぁ。ったくっよぉ」


 苛立ったまま翡翠も会場へと視線を戻すとだ。


「は?? はぁ~~~?!」

 

 素っ頓狂な無花果紫陽花の声が聞えた。

 その前に何を言ったのか。

 翡翠が聞き逃してしまい。


「ぁんのぉ? 今ぁ、挑戦者の野郎はなんったのかなぁ?」

 

 近くにいた人物に聞いた。


「聞いてないとか。耳、悪いんじゃないの? 今、あの【オジサン】が言ったのは――」


 ◇


『取得している【Δ硬貨コイン】と【P通貨ポイント】を下さい』


 ◆


「えげつないことを平気で言うなんて。あれが初心者なんてあり得ないでしょ。嘘を吐いて、相手の無花果を騙したのよ。最低だわ!」


 そう息巻くのは女だ。

 面倒くさいと思ったのか、

「そうですかぁ。ありがとうございましたぁ」

 すすすぅ、と翡翠も横にずれた。

「あんただってそう思うでしょう!?」

 なのに、女は口を止めずに翡翠に聞く。

「それにおかしいじゃない! 突然画面も真っ青になって天井の灯りも木っ端微塵になったと思ったら、もうゲームオーバーで、無花果の馬鹿が負けるなんて! 一応、あいつも万年4位でも実力者なのよ?!」

 歯痒さ、納得のいかずに喚くような女に。


「おかしぃこと言うねぇ。お嬢ちゃん? 運がなかったからじゃなぁいのぉ? ――……一生懸命に戦った野郎共を侮辱すんじゃねぇよ! ドブズの雌がっ‼」


 翡翠も一喝し、女から離れて会場へと足を向かわせた。

 その背中越しに、

「あんた! 名前を教えなさいよぉおお‼」

 喚く女を翡翠も振り返ることはなかった。


本当ほぉんとぅうに女ってぇ。めんどくせぇっ」


 ◆


「んな、こと……井之頭、さん……」


 紫陽花が俺の要求に、井之頭さんへと視線を向けた。

 腕を組む井之頭さんは、

「『ま。勝者はなんでも要求は出来るから……ね? それが【規則ルール】なのは、万年4位の君も承知で対戦しているよね?』」

 淡々と、勝者になるはずだった紫陽花に言う。


 ガタガタ。


 ガタガタガタガタガタ――……


「――~~~っわ、分かった。全部やるよ! っくしょうぅうう~~‼」


 完敗宣言に俺は。


「やったぁ~~‼」


 腕を大きく宙に伸ばした。

 その腕を井之頭さんが掴むと、全館アナウンスで言う。


「『勝者! オジサンンンンンッッッッッ‼』」


 パチ……パチパチ。


 まばらに起こる拍手に。


 ぎゅるるるるるぅ~~……


 俺の腹が鳴った。

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