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第64話 たくまvs紫陽花 状況打破

 【00:01:29】


 たくまと紫陽花が激闘している様子は。

 ゲームセンター内に設置された、モニターの全てに。

 映し出されていた。


 舞台ステージにいる二人と。

 司会実況者でもある井之頭。


(これは……誰か……気づいているのか?)


 額には汗が滲んでいる。

 舞台上の熱気でなんかではない。

 目もどこか真っ赤に充血させながら、


(っこ、この――牛男たくまって選手ってのは――)


 彼を横から魅入っていた。

 

 たくまの身体には三ツ星の光りをまとっており。

 その光りがモニターへと放出されていっている。


 超常現象ともいえる状況が。

 井之頭の視線に起こっている訳だ。


 ごきゅっ!


(《死星のたくま》じゃないのか?? 本当マジかよ! こんなことってあんのかよっ!)


 声に出すのを押し留めた井之頭の表情は。

 険しいものに変わっていく。


 だが。

 

(この会場では俺だけが、彼の正体を知っているってことになるのかっ!)


 不敵な笑みを浮かべると井之頭は。

 モニターへと視線を向き直した。


(これから始まる伝説を、とくと見せてもらおうじゃないかっ!)


 ◆


「『《邪魔者なんかいない》』」


 ◆


 たくまが唱えた瞬間。

 前モニターに真っ青になってしまう。


 異常な状況と、興奮していた観客達も。

 店へと、司会実況の井之頭にも。

 罵倒と説明と復旧に声を荒げる。


 だが。


(しょうがないでしょう。これはもう――彼の舞台。彼が支配をしたんだから)


 井之頭の口端も吊り上がっていた。

 自身だけが知っているってという。

 恍惚感に浸っていて、そんな観客達の声など。


 右から左へと受け流している。


「皆さん。当店も復旧に全力を尽くしますので。今しばらくは音声のみでお楽しみください。申し訳ありません」


 能読みで、何かのマニュアルのように。

 観客に伝える井之頭。


 井之頭は彼の肩に手を当てていたからなのか。

 自身の眼には。


 二人の戦闘が視えていたのだ。


(ぉ、おおっ!)


 ◆



「『っな、なんだってんだよ! 俺はあんたの前にいたじゃねぇかよ‼』」


 そう言う紫陽花の混乱した声。

 視界の先には、たくまの背中があった。


「『どぅして! どぅいうトリックを使いやがったぁああ‼』」


 ← ↗ → ↖ ↗ ↓  +P 強K


 ――《サンダーブリザード》炸裂!


 ↓ ↗ ↖ → ← ↘ 強P 強K


 ――《グローブバリケード》発動!


「『っな゛!?』」


 紫陽花《変態アバ》は――雪女で、自然現象が得意だった。


 アイテムもそこそこに高いものを購入し。

 実力もあってこその《隊長資格》の所持。


 例え、万年4位であっても。


 彼には実績があるというのに。


 突如現れた。

 右も左も、規律ルールも知らなかった。

 新人ペーペーでもある彼の。


 背中を後ろから見送っている。


「『待てよ! 待てって! んなのおかしいじゃねぇかァあああッッッッッ‼』」 

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