第64話 たくまvs紫陽花 状況打破
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たくまと紫陽花が激闘している様子は。
ゲームセンター内に設置された、モニターの全てに。
映し出されていた。
舞台にいる二人と。
司会実況者でもある井之頭。
(これは……誰か……気づいているのか?)
額には汗が滲んでいる。
舞台上の熱気でなんかではない。
目もどこか真っ赤に充血させながら、
(っこ、この――牛男たくまって選手ってのは――)
彼を横から魅入っていた。
たくまの身体には三ツ星の光りをまとっており。
その光りがモニターへと放出されていっている。
超常現象ともいえる状況が。
井之頭の視線に起こっている訳だ。
ごきゅっ!
(《死星のたくま》じゃないのか?? 本当かよ! こんなことってあんのかよっ!)
声に出すのを押し留めた井之頭の表情は。
険しいものに変わっていく。
だが。
(この会場では俺だけが、彼の正体を知っているってことになるのかっ!)
不敵な笑みを浮かべると井之頭は。
モニターへと視線を向き直した。
(これから始まる伝説を、とくと見せてもらおうじゃないかっ!)
◆
「『《邪魔者なんかいない》』」
◆
たくまが唱えた瞬間。
前モニターに真っ青になってしまう。
異常な状況と、興奮していた観客達も。
店へと、司会実況の井之頭にも。
罵倒と説明と復旧に声を荒げる。
だが。
(しょうがないでしょう。これはもう――彼の舞台。彼が支配をしたんだから)
井之頭の口端も吊り上がっていた。
自身だけが知っているってという。
恍惚感に浸っていて、そんな観客達の声など。
右から左へと受け流している。
「皆さん。当店も復旧に全力を尽くしますので。今しばらくは音声のみでお楽しみください。申し訳ありません」
能読みで、何かのマニュアルのように。
観客に伝える井之頭。
井之頭は彼の肩に手を当てていたからなのか。
自身の眼には。
二人の戦闘が視えていたのだ。
(ぉ、おおっ!)
◆
「『っな、なんだってんだよ! 俺はあんたの前にいたじゃねぇかよ‼』」
そう言う紫陽花の混乱した声。
視界の先には、たくまの背中があった。
「『どぅして! どぅいうトリックを使いやがったぁああ‼』」
← ↗ → ↖ ↗ ↓ +P 強K
――《サンダーブリザード》炸裂!
↓ ↗ ↖ → ← ↘ 強P 強K
――《グローブバリケード》発動!
「『っな゛!?』」
紫陽花《変態》は――雪女で、自然現象が得意だった。
アイテムもそこそこに高いものを購入し。
実力もあってこその《隊長資格》の所持。
例え、万年4位であっても。
彼には実績があるというのに。
突如現れた。
右も左も、規律も知らなかった。
新人でもある彼の。
背中を後ろから見送っている。
「『待てよ! 待てって! んなのおかしいじゃねぇかァあああッッッッッ‼』」




