表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
55/169

第54話 口座凍結のお知らせ

「……まぁ。そりゃあ、そぅだとは。つぅかだよ? っはァあ゛あ゛?!」


 俺とおじさんと作業着で、翡翠さんは中に私服も着ていたようで。

 趣味の悪い柄シャツの半袖に、パーカーをだらしなく着込んでいる。

 そのまま、俺達は街に繰り出したまではよかったんだ。

 トトナは留守番にしたことには、悪いような気分にもなったけどしょうがない。


 それはそうと、翡翠さんが素っ頓狂な声を出したのは。

 ATMの前でだ。

 何回か、同じような操作を繰り返した。

 どうにも納得がいかないようで、また、目が見開いている。

 その様子に、おじさんが言う。


「父さんなら口座を凍結すると思ったー」


 どこか冷淡にため息交じりに、お腹を押さえた。

 きゅるる~~と音も聞こえる。


「だって。オレんときも躊躇なかったしー」


 おじさんの言葉に、俺も頷いてしまう。

 確かに、おじさんのお父さんの竜之助さんならやりかねないと思った。

「でもー正直、これは嫌がらせレベルってもんじゃねぇよ。洒落にもなんねぇな」

 おじさんが低い口調で言うのに、対して翡翠さんが、

「いいや。これは、多分……蓮さんだよぉううぅうう?!」

 発狂しながら、頭を抑え込んでATMの前に、しゃがみ込んでしまう。

「あぁーそれはありそう。あの人ー兄さんのこと本当に好きだもんねーオレのこと目の敵にしてて、怖いもんねー……さっきの会話からも滲み出してたもんねー嫉妬が」

 おじさんが腕を組んで宙を仰いでいる、と。


「でー兄さん。早乙女名義でのへそくりを出してもらってもいいかなー?」


 顔をしゃがみ込んでいる翡翠さんへ向けた。

 向けられた方はと言えば、

「――……はァ゛??」

 常にしかめている眉毛の間のしわを、さらに深くさせて聞き返した。

「兄さんさぁー全く家に帰んないじゃなーい? でも、兄さんなら用心深いからさー……あるんだろぉう? へそくりってのがさぁー」

 唇を突き出す翡翠さんに、


「はい! 出せー♪」


 両手の人差し指をおじさんが差した。

 満面の笑みを向けるおじさんに、

「……――しょうがないなァ、群青の末っ子には敵わねぇのなぁ」

 翡翠さんの観念したかのように失笑する。

 

「出世払いのツケだかんなぁ? 勿論、手前もだぞぉ。たくまくぅん


「!?」


 思いもしない俺へと言葉に。

 俺の身体が大きくビクついてしまう。

「っふぁ、ふぁい! っも、もちろんっす!」

「うん。いぃ、返事だねぇ」

 ゆっくりと立ち上がった翡翠さんは頭を掻いた。


「じゃあ、コンビニは無理だからぁ。もう少し歩くよぉ」


 身体を翻して、俺達はコンビニを後にした。

 



  

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ