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12 武器

教室に戻ると、

ちょうど情報共有の真っ最中だった。


俺の姿を見つけた瞬間、

何人かがほっとしたように息を吐く。


「無事だったか」

「よかった……」


鈴木が、腕を組んだまま言う。

「まあ、お前なら大丈夫だとは思ってたけどな」

そう言いながら、明らかに肩の力が抜けている。


藤原・光は、こちらを一瞥もしなかった。


黒板の前で、黙々とチョークを動かし続けている。

まるで、戻ってくるのを知っていたかのように。


黒板には、

クラス全員の名前と、職業、スキル。

そして、それぞれが「できること」が整理されて書き出されていた。


さらに、その横。


目標、と大きく書かれている。


1.異世界の可愛い女の子とイチャイチャする

2.皆んなで生き残る

3.元の世界に帰る


……ふざけているようで、

全員、いたって真面目だった。


情報共有は、かなり進んでいた。

まず、佐々木。


彼の能力は

職業:製造所。


一定の条件を満たせば、

武器や道具を作り出せるらしい。


問題は、魔力。


かなりの量を必要とする。


だが、そこは――


「魔力操作ができる山田と、

 魔力視の岡元がいれば、いける」


藤原が淡々と説明する。


魔力を個人で使うのではなく、

皆んなの魔力を“回す”形で利用する。


ただし、と


「魔力が切れると、

 頭痛、吐き気、脱力感が一気に来る」


そう補足したのは、和田だった。


「……立ってられなくなる」


検証済みらしい。

バカなことをしたに違いない。


ヒールをかけると、症状は少し和らいだらしい


武器の製造も、すでに始まっていた。


俺は、とにかく頑丈な剣を頼んだ。

渡されたのは、

軍刀みたいな無骨な一本。

少し重いかと思ったが、握ってみると、案外しっくりくる。

(……振れるな)

上がった身体能力のおかげで、すぐにそう感じた。

武器があるだけで、心の安定感がまるで違う。


鈴木は、でっかい斧を頼んだらしい。


「こういうの、

 振り回す方が性に合ってる」


弓や遠距離系の能力を持つ奴らも、

これでようやく前線に立てる。


――そして。


俺は、隣のクラスで起こったことを話した。


浅野のこと。一人で残っていたこと。

そして――結晶。


その話題が出た瞬間、

教室の空気が、静まる。


岡元が、

代表して結晶を覗き込む。


「……魔力視だと、

 さっき壊した“魔物を生み出す結晶”より、

 禍々しさは薄い」


少し間を置いて。


「でも……

 圧力が、桁違いだ」


何十倍。いや、それ以上。

とてつもない“重さ”を感じるらしい。


藤原が、

無言で結晶を受け取った。


「俺が預かる」


保存する。管理する。

そういう判断だった。


浅野についても、すぐに方針が決まった。

危険人物。

見つけた場合、こちらが一人なら、即逃げる。

交戦はしない。


今後の予定。


一旦、全員で行動する。


校舎を探索し、

他の魔物の強さを確認する。

他クラスの様子も、慎重に伺う。

無理に関わらない。


教室は、静かだった。


疲労は、確実に溜まっている。

だが、不思議と、昨日ほどの混乱はなかった。


――皆んな、もう現実を受け入れ始めている。


それが、少しだけ怖かった。


廊下の奥から、かすかな音が響く。

まだ、この学校のどこかで、戦いは続いている。

それでも今は、ここが、唯一の安全地帯だった。


俺は、

剣の重みを確かめながら、

次に自分がするべき事を考えていた。

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