ラスボス間近
「ハッ!」
目が覚めると前方の上空に不気味な黒い塊が見えた。何だアレは……。
私の顔にヴェールが掛けられているのか、前がとても見づらいが、ヤバイのが居るのだけは良く分かる。そして、空は真っ暗で夜の様に見えるのだが、太陽が出ているので昼間であると推測する。日食か?
辺りを見渡すと、その辺に鎖で繋がれた師匠とハイド、ギースが居た。そして普通に立って居る久遠、双子ズも居る
ギース! 何してるの? 捕まったの?
「もう儀式は最終段階だ」
王様の声が聞こえて来たので私は気づかれない様に、そっと王様を見る。王様の奥にはコルネリア様とメガ萌、ジィジの他に兄様やアキラ、純菜が居た。兄様とアキラ、純菜はコルネリア様を庇う様に立って居る事から味方の様である。いつの間に仲間になって居たの?
目の前の光景があの夢の続きとは考えられない為、私は無事に夢から醒める事が出来のだろう。最後のハイド事件がショック過ぎて目が醒めるとは……。相当だなぁ
恐らくだが、私が目覚めた事は誰も気付いて居ないだろう。ならば、暫くこのまま様子を見て、隙を伺う事にする。
「残念だったなコルネリア。今までのお前達の努力は水の泡。今、ここに邪神は復活する!」
王様は空に浮かぶ黒い物体を指差して、高らかに宣言する。どうやら空に浮かぶ黒い物体の正体は邪神らしい。
「まだ、完全に復活してない! 今なら間に合う!」
そんな兄にコルネリア様は負けじと言い返す。そのコルネリア様の隣には元第1王子の【フェルベルマイヤー=ベンジャミン=ショーバーレヒナー】と元第2王子で敵であった筈の【スタニスラス=ナルシッシス=ショーバレヒナー】が居た。どうやら集結したらしい。
「早く、止めないと……」
「無理だよコルネリア。君の大事な家臣達は私の手の中だ。ほら、ご覧。この子は既にお人形だしね」
王様は私の顎を掬い上げ、顔を寄せてくる。手を叩き落としたい所だが、私が目覚めた事がバレてしまうので我慢する。そうだ、今は我慢だ!
「お姉様だけでなく、佳月まで! 何と言う事を!!」
「ふふっ」
私の頬をヴェールの上から撫でる王様。擽ったいので辞めてください。
コルネリア様とその他は悔しげな表情を浮かべる。その様子を見た王様は御満悦の様だ。ドSかっ
「さぁ、始まりだ」
王の号令と共に邪神は降下を始めた。降りて来る! コルネリア様達は王様を阻止したい様だが、王の周りには六花が3人と花弦、城勤めの兵達が居り手出しは難しいだろう。頼みの師匠、ハイド、ギースは王の手中だし、私はお人形 (仮)だし、コルネリア様チームからすれば絶体絶命だ。
今更だが、いつの間に話が此処まで進んで居たのだろう。RPGとかならラスボス戦間近ではないか。私が幸せな夢 (笑)を観ている間に話進み過ぎ。置いてけぼりで付いて行けないではないか。
それにしても私はどれだけの時間、眠って居たのだろう? ギースまで捕まって居るという事は、相当経っているのでは?
「さぁ、邪神の可愛い子供達。世界を混沌に染めておいで」
王様が言った途端、地面から何時ぞやの神殿で見た黒くて歪な生き物が湧いて来た。
黒く巨大で恐ろしい生き物がワラワラと湧いてくれば流石に王の味方をして居た兵達も花弦も慌てだす。六花の面々は普段通りなので事情は知っている様だが、他の面々は何が起きて居るのか理解出来ていないらしい。
なので皆、その怪物を退治しようと各自武器を構える者、悲鳴を上げて逃げ出す者が現れる。
『ウフフ』
そう言えばこの生き物、喋るのだった。
その生き物は笑いながら構える兵達に向かって行く。そして
「うわぁあああああっ!!」
「助けてくれーー!!」
襲い始めた。恐ろしい牙で頭蓋を噛み砕いてみたり、爪の長い手で肉を引き裂いたり、中にはぐちゃぐちゃにして遊び出すモノも居た。流石に見てられない。地獄絵図だ
「コルネリア様! 撤退を!」
流石の数にパーティーは撤退を決意。だが、少し遅かったーー
「コルネリア様!!」
「あっ……」
撤退の為、退路を作ろうと純菜がコルネリア様から少し離れた瞬間……黒く歪な化け物はコルネリア様に迫った。大声でコルネリア様を呼ぶ純菜と恐怖で動けないコルネリア様、そして急いで守ろうと動いた兄様とアキラは間に合わない。私も咄嗟に動こうとしたが、此処からでは到底間に合わない。
「あっ……」
ザシュっと肉を裂く音が辺りに響いた……。




