邪神復活!!
肉を裂く音が辺りに響いた。
しかし、コルネリア様は無事だった。
「コル……ネリ……っア……」
「何故、貴女が……」
私は目を見張る。何故ならば絶体絶命のピンチであったコルネリア様を救ったのは
「お姉様……」
お人形と化したソフィア様であったからだ。自分の意思など既に無くなっている筈のソフィア様がコルネリア様を庇ったのだ。
ソフィア様はコルネリア様を抱きしめる様に庇った為、背中を大きく抉られた。そして長く美しい髪は無残にも散り、辺りに散ったソフィア様自身の血に染まる。
ソフィア様はコルネリア様を抱えたまま倒れる。そして彼女は
「あぁ……。私の可愛い妹っ……。もう一度、この手に抱けて嬉しい」
涙ながらに言った。そして、何も言わなくなってしまった
「お姉様っ! おねえさまっ!」
それを確認したコルネリア様はソフィア様を何度も読んだが返事は返って来ない。
「コルネリア、悲しむのは後だ! ここから引かないと!」
「どどど、どうする⁉︎ わわ、私は死にたくないぞ!」
そんなコルネリア様を兄である元第1王子は叱咤し、この場を離れる様に促す。元第1王子の言う通り、第1は身の安全。辺りには夥しい数の黒く歪な化け物が居る。それを純菜と兄様、アキラで何とか抑えこんでいるのだ。
「……はい」
コルネリア様は涙で濡れる目元を拭い、立ち上がる。それを見た元第1王子はソフィア様を抱える。そしてパーティーはここからの離脱を図った。
今、思う事ではないが、兄様達がかなり成長している。あの3人、まともな戦い方が出来る様になっている。元々、アキラは花弦の上位なので強いが、純菜と兄様はそこまでであった筈。なのにアキラと同じくらい強くなっていた。
一体、私は何日寝て居たんだ? なんだか大事なシーンを見逃した気分である
その内、花弦達や兵達も撤退。この場には私達【黒】を持つ者と黒く歪な化け物だけが残った。
「まさかソフィアが庇うとはね」
肩を竦めて首を左右に振る王様。彼には妹が死に悲しいと思う気持ちは無いのだろうか?
「さて、仕上げだ。悪いけど付き合って貰うよ?」
儀式は終盤に差し掛かる。とうとう地上に降りて来た邪神は形を形成しようと、体をグネグネと歪めている。
アレが出来上がったら終わりだ。脳がそう判断する。その前に王を止めて儀式を終わらせねば!
王が私から離れて前に出る。そして空に向けて手を伸ばし、何やら呪文みたいなモノを唱えている。アレもお願いだろうか?
アレを止めようと思い、私は動く。先に王を止めればいいのだが、私はチキンなので先に師匠を解放しよう。そしてついでに他も解放しよう。そうすれば1人で王様側の六花を相手にしなくて済む。万事オッケーだ
私は闇から剣を3本取り出す。そして、1本ずつ師匠、ハイド、ギースの方に飛ばした。
「……⁉︎」
「なっ⁉︎」
それは師匠達を繋いでいた鎖に命中! 見事、師匠達を解放される事に成功した。
「……な、何故だ? 何故、動ける?」
王が私を見て動揺してる。王だけではない。他の皆んなもだ。きゃー! ヤダ! そんなに見つめられると照れちゃうわ!
「さぁ、何故でしょう? 私も聞きたいです」
ホント何でだろうね。普通に夢から覚めたよ? しかも悪夢見たよ? 幸せな夢見るんじゃなかったの?
「佳月」
師匠に呼ばれ振り向けば自由を手にした師匠が側で立っていた。なので思いきり抱きついてみる。良い臭いがする。師匠の匂いだ! あ、誤解が無い様に言っておくが変態じゃないよ?
無言で頭を撫でてくれる師匠。その近くにギースとハイドも寄って来た。
向こうは王の周りに皆、集結し王様を囲う。
これで4対4。しかし戦うならば、六花最強を撃ち破ったギースと2番手の師匠、3番手のハイドの居るチームに軍配が上がるだろう。
「こちらが少々不利かな? まぁ、次のステージに行けば、その差も埋まるし」
王はそう言うと空に手を掲げる。すると形を形成しつつあった邪神がこちらに寄って来て私達を見下ろして来る。何故こっち来た⁉︎
驚愕し口を開いて上を見上げる私。師匠達も同様に上を見上げて居るが、驚いている素ぶりは無い。いつも通りの無表情だ。
その邪神には頭が無かった。有るのは胴体と手足。そんな姿の邪神【ウィケット】さんは私達を見下ろす様に立って居る。そして、
「首がコッチに伸びて来たんですけど……。これヤバくないですか? 逃げた方が良いのでは?」
ウィケットさんの首が伸びて来て上から覆いかぶさって来そうになって居る。首に口が有るとは思えないので喰われる恐れは無さそうだが……何だが嫌な予感しかしないので逃げた方が良いのでは?
「な、何する気でしょう⁉︎ ちょ、マジで近い! 落ちて来る!」
1人騒ぐ私。その他は無言で上を見上げウィケットさんを見ているだけだ。いや、師匠は逃げようとする私をここに留める為、腕を掴んで居る。何故⁉︎
「師匠! 無理ですって! うわ⁉︎ なんか垂れて来た⁉︎ 首から液体が! ギャー!!」
悲鳴を上げて騒がしい私だが、周りは無視だ。誰一人として視線さえコチラに寄こさない。何だか虚しい……。
そうこうしている内に首は私達立って居る場所に落ちて来た。
そして、私達は邪神【ウィケット】に飲み込まれたのだった……。




