表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
21/21

1ミリも野球知らないけど強そうな人たちから挑戦状をもらいました

 それから。


 あたし達キューティガールズは勝ち続けた。


 ◇


 相手は守備が売りのチームだった。


 打球が抜けない。


 翼の内野安打以外ほとんど出塁できない。


 でも。


 翼が出る。


 盗塁する。


 また盗塁する。


 そして真夏さんが返す。


 たったそれだけで一点入る。


 野球って不思議だ。


 試合は1-0。


 ひかりちゃんとのぞみちゃんが最後まで守り切った。


 あたしは4打数4三振。


 ちょっと泣いた。


 ◇


 今度は打撃型チーム。


 四回終了時点で3-5。


 負けていた。


 「やばいぞー!」


 翼が叫ぶ。


 やばい。


 あたしもそう思う。


 でも。


 五回裏。


 二死一、二塁。


 真夏さんがバットを構える。


 「筋肉で解決だぁぁぁぁ!!」


 ドゴォォォン!!


 レフトスタンド。


 逆転スリーラン。


 「うおおおおおおお!!」


 ベンチが大騒ぎになる。


 結局そのまま流れを渡さず。


 8-5で勝った。


 あたしは4打数1安打1ホームラン。


 最近なんとか打数何安打って言うのにハマっている。


 栞に教えてもらったのだ。


 なんかプロっぽい。


 ◇


 この日はひかりちゃんの日だった。


 ズバァン!!


 「ストライク!」


 ズバァン!!


 「ストライク!」


 ズバァン!!


 「ストライクバッターアウト!」


 九回。


 最後の打者を見逃し三振。


 被安打3。


 四球0。


 完封勝利。


 「ひかりちゃんすごい……」


 「えへへ……」


 照れている。


 かわいい。


 あたしは4打数1安打1ホームラン。


 なんか最近バットに当たると逆にびっくりされるようになってきた。


 失礼な!


 ◇


 この日は花音さんの日だった。


 第二打席。


 ソロホームラン。


 第四打席。


 スリーランホームラン。


 第五打席。


 タイムリーツーベース。


 「花音さんなんでそんな打てるの?」


 試合後に聞く。


 「ん~?」


 花音さんは首を傾げた。


 「運がいい?」


 絶対運じゃないでしょ!


 試合は7-0。


 五回コールド。


 あたしは4打数4三振。


 第一打席、相手の人が警戒したのか全然ストライクが来なかったからフォアボールで出塁できた。


 けど、その後涼香さんがヒットを打ったのにあたしの足が遅すぎて二塁でアウトになってしまった。


 なんかあたし足引っ張ってない!?


 走るの嫌いだけど練習しなきゃだなあ......。


 ◇


 そして。


 レート1150。


 ここまで来ると相手も強かった。


 初級上位の強豪チーム。


 九回表終了。


 4-3。


 一点リード。


 でも。


 まだ終わらない。


 実は野球は九回裏まであるのだ。


 九回裏。


 一死一塁。


 センター前ヒット。


 一死一、二塁。


 緊張する。


 ベンチで祈るようにひかりちゃんを応援する。


 二死一、二塁。


 打者は四番。


 フルスイング。


 ひかりちゃんが投げた球が。


 バッターの手前で急に失速した。


 「あれ?」


 思わず首を傾げる。


 さっきまでの速球じゃない。


 タイミングを外されたバッターのスイングが泳ぐ。


 打球はショートへ。


 涼香さんが捕る。


 花音さんへ送る。


 アウト。


 ゲームセット。


 「勝ったぁぁぁぁ!!」


 思わず飛び跳ねた。


 真夏さんも飛び跳ねた。


 ひかりちゃんとのぞみちゃんは抱き合っていた。


 てぇてぇ。


 センターから翼があたしに向かって爆走してくる。


 う、うわわわわわ!


 「百花~~~! 勝った~~~~!」


 とんでもない勢いで抱きつかれて、あたしと翼はベンチの壁に激突した。


 「いった~~い! けど嬉しい~~~~!」


 「「あははははは!」」


 野球って楽しい!


 ちなみにあたしは4打数4三振だった。


 野球って難しい......。


 ◇


 試合終了。


 頭上に通知が表示される。


 【チーム:キューティガールズ】


 【現在レート:1180】


 【初級クラス現在2位】


 【1位:ブラックドッグス(1190)】


 「おおー!」


 翼が歓声を上げる。


 「あと少しじゃん!」


 「中級まであと少しだな!」


 真夏さんも嬉しそうだった。


 六連勝。


 ここまで負けなし。


 あたし達、結構強いのかもしれない。


 そんな事を思っていた時だった。


 ピコン。


 通知音。


 新しいウィンドウが開く。


 あれ?


 ランクマッチじゃない。


 見たことのないマークが付いている。


 「なんだろ?」


 あたしが首を傾げる。


 栞が画面を開いた。


 そして。


 固まった。


 「え?」


 珍しい。


 栞が本当に固まっている。


 「どうしたの?」


 翼が覗き込む。


 次の瞬間。


 チームルームが静かになった。


 画面に表示されていた名前は。


 【ブラックドッグス】


 だった。


 「あ」


 思わず声が出た。


 ホームランダービー。


 あの優勝チーム。


 あの四番。


 初心者帯最強と呼ばれているチーム。


 ブラックドッグス。


 画面には続きが表示される。


 【対戦申請】


 【送信元:ブラックドッグス】


 【申請理由:公式ランクマッチ】


 さらに。


 メッセージが一行。


 【ホームランダービーでの借りを返させてもらう】


 差出人。


 ブラックドッグスリーダーにして四番バッター。


 黒崎牙。


 「うおおおおおお!!」


 真夏さんが立ち上がった。


 「来たじゃねえか!!」


 「いやいやいやいや!」


 栞が即座にツッコむ。


 「初級最強チームだよ!?」


 「受けるに決まってるだろ!」


 翼も元気いっぱいだった。


 リノさんは画面を見ながら小さく笑う。


 「面白そう」


 涼香さんも頷いた。


 「逃げる理由はない」


 花音さんはふわっと微笑む。


 「楽しみだねぇ~」


 ふわりさんは。


 「ふにゃ……」


 寝ていた。


 自由だなぁ。


 そして。


 画面の下に表示されていた一文を見て。


 みんなの表情が少しだけ引き締まった。


 【勝利チームは中級ランク昇格となります】


 初級最強。


 ブラックドッグス。


 中級昇格を懸けた大一番。


 キューティガールズ結成以来。


 最大の試合が始まろうとしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ