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1ミリも野球知らないけどVR世界で野球をすることになりました

初投稿です。自分も皆さんも楽しめるよう丁寧に書いていければいいなと思います。

よろしくお願いします。

 あたしは頭を抱える。

 あたしがやりたかったのはこんなゲームじゃない。

 はじめてのフルダイブゲーム体験は剣と魔法のファンタジーが良かったのに。

 

 「ご、ごめん百花(ももか)。でも()()も見ようによっちゃ剣じゃない?」


 隣で棒切れをブンブン振り回す同級生の(つばさ)


 「全然違うよ!バットだよねそれ!切れ味ゼロの鈍器だよねそれ!」


 あたしは断固として抗議する。


 「は、ハンマーにも切れ味あるから!だからバットも刃物ってことで……だめ?」


 バットに顎を乗せて上目遣いをしている翼は置いといてあたしはどうしてこうなったのか考える。


 西暦2030年の日本。完全ダイブが可能なVRマシンであるPVRが開発されてから十年程が経つ。

 数年前に謎のウイルス性の病気が大流行した際に全世界で爆発的にヒットし、あたしもその際に親に買ってもらった。家にいながら音楽フェスに参加した時は感動したものだ。


 ただ病気が終息してからは外出することが増え、ここ数年は部屋のインテリアと化していた。

 当時一緒にやる友達がいなかったのもあり、フルダイブ技術を使ったゲームは未体験のままだ。


 「えー!百花PVR持ってるのにゲームしたことないの!?それはもったいないよ!」


 2年1組の教室に翼の声が響く。


 「うん。音楽フェスには何回か参加したんだけどね。一緒にゲームやる友達いなくて」


 あたしは弁当の唐揚げを口に放り込みながら頷く。


 「百花さん百花さん。気になるゲームがあってね?一緒にやる子探してるんだよねー。もうすぐGWじゃん?一緒にやらない?ううん、やるべき!あたしとの友情をもっともーっと深めるためにも!」


 翼があたしの手を握ってブンブン上下に振る。

 

 「どんなゲーム?あたしはじめてだからなるべく普通というかメジャーなやつがいいな」


 あたしの返答を聞いて翼が自信満々に胸を叩く。


 「任せて!()()()()なゲームだよ!ほんとにめちゃくちゃ()()()()だから!」


 そんなに熱く誘われたらやりたくなっちゃうよね。友情とか、普通に嬉しいし。

 新クラスになって友達できるか不安だったけど、翼みたいに明るくて楽しい子がいてよかったな。

 

 ……って思ってたのに!


 「これのどこがメジャーなゲームなの!ここグラウンドじゃん!どう見ても野球する場所じゃん!っていうかパッケージで完全に分かってたけど!くそう!騙された!」

 

 あたしは初期装備の野球帽を叩きつける。なんだ初期装備野球帽て。


 「あ、あははー。メジャーリーグ的な意味で?みたいな」


 パチッとウインクをする翼。かわいいけどかわいくない。


 「あたし野球1ミリも知らないんだけど……」


 バットでボールを遠くに飛ばしたら偉いぐらいの認識しかない。


 「大丈夫!それはあたしもだから!」


 性格とは反対に慎ましい胸を張る翼。実に頼りない。


 「な、ななな!なんでこのゲームにしたのー!?」


 しろうとはらっぱ01にあたしの絶叫が響き渡るのであった。


 

 

 

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