奮闘する公爵様!(挿絵あり)
誤字報告ありがとうございます!
2020/2/22
【日別】転生恋愛ランキング1位!?
【週別】転移恋愛ランキング6位!
【総合】ランキング24位!
遂に……………感無量!
シオンが去ってからレッド・ハート公爵家では慌ただしい日々が始まった。
ギルバード公爵の妻、レイラの病が治り、さらに視力まで回復し、公爵と一緒に登城した事で、ちょっとした騒ぎになった。
「えっ!あのレッド・ハート公爵様にエスコートされている女性って?」
「間違いないわ。レイラ公爵夫人よ!ご令嬢の出産時に身体を壊されて、何年も表に出て来なかったのに」
「あの美貌、全然やつれていないわね」
城にいたメイドや貴族達がざわざわと囁いていた。
「レッド・ハート公爵様がお越しになられました!」
謁見の間の前にいた騎士が大声で伝えた。
扉が開き、国王と謁見した。
「久しいなギルバードよ。そしてレイラ夫人、体調が回復して良かった」
「勿体ない御言葉でございます」
「それでは余り時間もありませんので、此方の重要案件に付いて説明させて頂きます」
「先触れで言っていた重要案件とはなんだ?」
ギルバード公爵がシルクード領の事を説明すると、国王はあの日の公爵と同じく驚いたのだった。
「なに!?それは本当か!」
「こんな事、冗談でも言えませんよ。そして、最愛の妻を治してくれたのもシオン嬢なのです。私は恩を返す為に全力を尽くすと約束しました」
腕を組み、考える国王にギルバード公爵は言った。
「『兄上』、現状の中央貴族達の腐敗に頭を痛めているはず、これは不正を正して腐敗を抑制する事にも繋がります!」
「ああ、分かっている。私が不甲斐ないばかりにな。本当はお前が国王になれば、ここまで悪化しなかったのに」
国王はギルバード公爵の『兄』であった。順当に、長兄だった兄が国王となり、弟であるギルバードが公爵を賜ったのだ。
「そんな事はありません。兄上は、民の痛みをわかる方だ。だからこそ私も全力で力を貸そうと思えるのです」
「ギル…………すまん、弱気になっていたようだ。丁度、10日後に王家主催の夜会がある。その時にこの帳簿を使い、腐った貴族を粛清しよう!」
「ええ、私も他の貴族の不正の証拠集めを手伝います。ここいらで王家の威光を示しましょうぞ!」
こうして国王の協力を取り付けたギルバード公爵は、レイラに呪術を掛けた者の悪事の証拠を集め、後に見事に逆襲する事にも成功するのであった。
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一週間後─
「シオン!いらっしゃーい!」
シオンは約束通りに公爵家に転移でやって来たのだ。そして公爵の娘であるフレイヤが出迎えた。
「シオンちゃん、お久しぶりね。改めて、母の病と視力を治してくれてありがとう」
「いえいえ、困っているときはお互い様ですから」
そういうシオンの手をフレイヤが掴んで言った。
「この前は余り屋敷を案内出来なかったから、一緒に周りましょう♪」
「えっ、ちょっと待ってね。レイラさん、公爵様は?」
レイラは申し訳なさそうに頭を下げた。
「ごめんなさい。あの人はお城へ行ったきり戻ってなくて。もう少しすれば戻って来ると思うのだけれど…………」
あちゃー!そうだよね。時間まで決めて無かったしなー?今度、携帯電話みたいなの作れないか考えようっと。
「フレイちゃん、公爵様が来るまで案内してもらっていいかな?」
「任せて~♪」
フレイヤは嬉しそうにシオンを案内したのだった。
「ここが食卓の間なの!」
「机、ながっ!!!?」
「ここが書斎なの!」
「図書館か!?」
「ここが音楽室なの!」
「グランドピアノすげぇ!!!?」
「ここが裏庭の薔薇園なの!」
「うわぁ!綺麗だよ!?」
「そしてここが入口の庭なの!」
「ひろっ!?門から屋敷までとおっ!?」
流石は公爵家であった。入口の門を通ると綺麗に整えられていた前庭があり、屋敷まで100メートルは続いていた。フレイヤが案内する場所に、シオンがとても良いリアクションをするので、レイラ夫人を始め、執事長など微笑ましく見守っていた。
『四大精霊と契約を結んでも五歳なのよね。フレイヤと同様に可愛いわ♪』
ついつい、母性本能をくすぐるシオンに笑顔が溢れる。そして丁度、門から馬車がやって来た。
「あら?丁度良かったわ。うちの馬車だわ。シオンちゃん、ギルバードが帰ってきたわよ」
中庭から屋敷の入口で待っていると、馬車が止まった。
「もう来ていたんだね。待たせてしまって申し訳ない」
「いいえ、私が早く来ただけですのでお気になさらず」
ギルバード公爵が馬車から降りると、もう一人降りてきた。
「この歳でしっかりしておるな。我が息子にも見習わせたいものだ」
公爵と良く似た人物であった。
「もしかして、ご兄弟ですか?」
「はっははは!やっぱりそう見えるか?私はギルバードの兄、ランバードという。よろしくな」
「はい!よろしくお願いします」
元気に挨拶をするシオンは、この時ランバードさんが国王陛下だと知らず、後から真っ青になるのだった。
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