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255.オータムイベント開始

 ログインした俺は医学の国メディティアを横断しながら、司書ギルドで受けたクエストを熟していく。

 ただし、司書ギルド経由で受注したクエストというだけで依頼主は他のギルドが発注したものが多い。

 錬金ギルド、医学ギルド、薬師ギルドなどの医学の国と聞いて思い浮かべるものから、総合ギルド、テイマーギルドなどからの物もある。


 クエストは似たりよったりの内容で、立ち寄った町にあるギルドが所持している技術書、図鑑の確認作業だ。

 置いてある資料が司書ギルドの記録にあるものより更新されているか、もしくは旧版のものを使用し続けていないか確認である。


 あの支部長にもらったリストを元に各ギルドを訪問し、所有している資料を確認して問題のあったものにチェックを入れていく。

 医学の国だけあって医学、薬学関係の書物は最新のものばかりだった。

 司書ギルドに登録してあるものより新しいものもあり、リストに記入する。


 逆に古い資料が多かったのはテイマーギルドだった。

 プレイヤーの登場から様々な変化があった中で、一番翻弄されているのはテイマーギルドだと思う。

 その関係で対応が遅れているのか、プレイヤー関係で新発見が多く更新が追い付いていないのか。

 単純に医学の国なので後回しの可能性もある。

 俺もテイマーの端くれなので、リストに早めの対応が必要かもしれない旨を注記しておくことにした。


 ……………………。


「確認が取れました。お疲れ様です。こちら、報酬になります」


 医学の国から出国する直前、医学の国メディティア司書ギルド支部の出張所にてクエスト達成の報告を行う。

 この国は国土の大きさに比べて書物の量が多いためか、東西南北それぞれに出張所が存在している。

 基本的には新しい書物の発見やクエスト達成の報告、異常事態の連絡などができる場所だ。

 図書館の管理やクエストの依頼などはしていないらしい。


 手続きを終えた後、そのまま関所へと向かう。

 衛兵に声をかけ医学の国を出ようとしたその時、連絡が来た。

 ウインドウを開いて確認すると、運営からオータムイベント開催の知らせが来たようだ。

 ウィンターイベントの時はログインした時点でイベントが開始されていたし、1周年イベントの時は参加すらできなかったので長期イベントの開始に立ち会うのは初めてになるだろう。


 イベントの詳細を確認すると、事前に発表のあったように地域ごとにイベントの種類が分かれることが書かれている。

 ただし最初の一覧にはなかった種類のイベントが追加されていた。


 読書の秋、食欲の秋、実りの秋、スポーツの秋は事前に情報が出ていた。

 ちなみにスポーツの秋関係のイベントは身体能力関係に関わるクエストが発生するらしい。

 HP、筋力、俊敏力がものをいう内容のようだ。


 そして、今回新たに発表されたのが芸術の秋、行楽の秋である。

 この二つに関しては地域的な縛りがなく、キーになるイベントに遭遇できればクエストを受ける事ができるらしい。

 

 またウィンターイベントと同じように珍しいモンスターが各地に出現する。

 ただし、前回あったジェイミー親子のようなイベント遭遇ではなく、全てのモンスターが大移動や大繁殖して登場するようだ。

 もし遭遇するようなことがあれば、テイムする事もあるかもしれない。

 

 ウインドウを閉じた後、改めて関所から出国する。

 出た先は雑木林だった。

 先ほどオータムイベントの開催の知らせを見た為か、ポツポツと生えている樹木の合間にある赤や黄色の葉が目に付く。


 医学の国に入るまでの道がトンデモ植物の群生地だったためか、突然紅葉したように感じる。

 もしかしたら、俺がここに来るまでに少しずつ変わっていたのかもしれない。


 ……そういえば、ログイン中にイベントが開始した訳だが、どのタイミングでモンスターの種類が変わるのだろうか?

 大移動はともかく大量発生はどのように起こるのか興味はある。

 遭遇したら逃げる一択になりそうではあるが。

 念のため、ヌエに上空から偵察してもらいながら整備された道を進み始める。



 ≪従魔ヌエの練度が一定に達したため、スキル「遠見」がレベルアップしました。≫

≪従魔カレルがレベルアップしました。≫

≪従魔ジェイミーがレベルアップしました。≫

≪従魔ジェイミーの練度が一定に達したため、スキル「光魔法」がレベルアップしました。≫

≪従魔マリアがレベルアップしました。≫

≪従魔フローラがレベルアップしました。≫

≪従魔グリモがレベルアップしました。≫

≪従魔ハーメルの練度が一定に達したため、スキル「泥沼術」がレベルアップしました。≫




 医学の国メディティアを出て数日。

 駆け抜けている雑木林が緑から茶色に変わってきている。

 植生が変化している様子は無いので、おそらくオータムイベントの影響だと思う。


 出てくるモンスターはバッタ、蝶などの昆虫系やイタチ、狸のような小動物系が多い。

 以前調べた情報と変わりがない事からモンスターの種類については、オータムイベントの影響は出ていないようだ。

 この周辺は変化しないのか、これから変化していくのだろう。

 もしかしたらバッタ辺りは色が変わるかもしれない。

 その場合、種族ごと変化するのか色だけ変わるのかは気になるところだ。


 この道中で消化できる司書ギルドからのクエストはない。

 許されるなら転移の扉でショートカットしたいところだが、転職クエストの条件的に行きの旅路を省略する事はできないそうだ。

 特にほしい素材が出る訳でもなく、オータムイベントっぽい事象もないので、早く次の目的地に着きたいところである。


 ……………………。


 道中にある集落で消耗品の買い出しをする。

 とは言っても道中の戦闘で苦戦するようなこともなかったので、もっぱら食料品の買い出しが主だ。


「キュー!」

「……ん? どうしたジェイミー」


 買い出しを終え、出発の準備をしているとジェイミーが何かに反応する。

 ジェイミーの指し示す方へ視線を向けると、リヤカーを引いている恰幅のよい女性が目に入った。

 そのリヤカーから湯気が立ち上っており、仄かに甘い匂いが漂ってくる。

 

「今年もこの季節! 焼きチャスナー、焼きコーアンはいらんかね~!」


 女性は少し開けたところにリヤカーを止めると、大きな声を張り上げた。

 声と匂いにつられるまま、女性のいるスペースへ向かう。

 何を売っているか確認すると、皮を剝いた栗と焼きトウモロコシのようなものが見えた。

 どちらからも湯気が立っており、出来立てほやほやなのが分かる。


「おっ! 見ない顔だね! お兄さんもどうだい?」

「キュー!」


 俺が何か返事をする前にジェイミーがバッグから飛び出しそうな勢いで声を上げた。

 俺は苦笑しながら、俺と従魔全員分の栗とトウモロコシもどきを購入する。

 女性の邪魔にならないように離れたところで従魔達と秋の味覚に舌鼓を打つ。


 味は栗もトウモロコシも見た目通りの味だった。

 どちらも出来立てで香ばしくおいしい。

 従魔達も気に入ったようで、あっという間に食べ終わっていた。


 そして、俺に期待の眼差しを向けるジェイミーとヌエ。

 どうやら、この2匹は特に気に入ったようである。

 ……このタイミングで出てくる秋の味覚。

 俺たちがいるエリアのオータムイベントは「味覚の秋」関係だったはずなので、十中八九オータムイベント関係だろう。


 クエストを探すかはともかく期間限定アイテムの可能性は高い。

 せっかくなので、もう少し買いたそう。

 俺は2匹の従魔に催促されながら、再びリヤカーのあるスペースへと足を向けた。


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― 新着の感想 ―
リヤカーで焼き栗とかめちゃくちゃ大変そう…… いや、栗は剥いてあるし焼いた状態のトウモロコシってことは下準備は済ませてるか魔道具的なもので軽量化してる可能性のほうが高いのかな?
、  \|/    人   /:::::::ヽ /::::(,,゜Д゜)ヽ 栗 i;;;;(ノ;;;;;;;;;;;つ; ゛:、..,,___,,ノ    ∪∪     o8o    o888o …
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