#1 ツイッター
「物が喋ったら良いなぁ」
誰しも、幼い時にそう思っただろう。だがもしも、深夜の部屋の中でこんなやり取りがあったら...
*
「先輩! 聞いてくださいよ!」
深緑色のスマホは、そう言うとテーブルの上に乗っかった。
「ツイッターで面白い投稿がありまして。ぜひ先輩にも、見て欲しいんです!」
「...まあ、俺は別に構わんが」
分厚い朝刊は、そう呟くとスマホの隣に落ち着いた。
「どんな投稿なんだ?」
「これです、これ!」
「...意味が分からんが」
スマホの画面には、「このお菓子マジで美味い」と云う投稿と共に、マンホールの写真が添付されていた。朝刊は頭をひねる。
「こいつ、添付画像を間違えてるだろ」
「ですよね! でもそのズレが楽しいんです!」
「...そんなに楽しいとは思わんがなあ」
「いえいえ。これこそ、ツイッターの醍醐味です!」
「...まあSNSなんて、そんなもんかもな」
「他にも色々ありますよ〜。ツイッターには腐るほど利用者が居ますから」
「まあな」
「先輩もやりましょうよ〜」
「俺は紙媒体だからな。SNSは使えないんだ」
「でも、ツイッター楽しいですよ」
「...一つ良いか?」
「はいっ」
朝刊は咳払いをする。
「...お前、さっきからXのことを『ツイッター』って言ってるが、それはわざとか?」
「わざとじゃないです。ツイッターは昔からツイッターなんで」
「結構前に、『X』に変わっただろ」
「私の中では、いつまでもツイッターですんで」
「...強硬派だ」
「それに、Xだとアルファベットの24番目と間違えますし」
「その用例は少数派だろ」
「いえいえ! それに私、あのマーク好きだったんですよ。鳥が可愛くて」
「...確かに今のマークは寂しいかもしれんが、そろそろ現実を受け入れろよ」
「あとはリツイートとかも、良いですよね」
「リポストな」
「先輩」
「何だ」
「夢くらい、見させてくださいよ」
「...そうか」
「あとはマルハニチロの缶詰めも、美味しいですよね」
「ウミオスな」
「どっちでも良いでしょう」
「...デジタル機器が言う台詞か」
「まだ名前が変わったばかりなんで、つい」
「まあな」
「で、am/pmが〜」
「...おいそれは15年前に無くなったコンビニだろ」




