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すぽっとライトが光る  作者: karina
27/40

時間

「あーやけどした」

俺はそのまま皿を急いで洗い、濡れたままの皿は拭かずに自然乾燥とするべく、

シンクの横にそのまま放置し、パソコンの前で会議の準備をする。

一応、白いシャツを着ていて、下は昔ハワイで買ったネイビーのスエットを履いている。

「よし、始めますか」

俺は気合いを入れ直し、画面に表示する会議に【参加する】をクリック

した。

***

「はー。終わったー」

今日は大学時代の同級生とリモート飲みをする。

開始時間は四十分後だ。

ウーバーイーツのアプリを開き、近くの居酒屋のタコワサと、鳥のおまかせ串焼き十本セットと、出しまきのセットを注文する。

明日は休みだから、今日は結構飲める。

着ていたシャツを脱ぎ、ネイビーのスエットパーカーを羽織った。

スマホを手に取り、付き合って三年になるマイにラインの音声通話をかける。

二コール目でマイがでた。

「お疲れ様―」

変わらない、いつものマイの声。

「お疲れー。今日も会議詰め込まれて、何回会議すんだって感じだったわ。マイ、今家?」

「うん。さっき仕事終わったとこー。やっと週末だー」

軽くはしゃぐマイの声に癒される。

マイと二週間会っていないが、土曜の夜はネットフリックスで映画やドラマを同時に観るというルーテーィンが自然とできた。

実際、マイが隣にいなくてもパソコンやipad、スマホの画面を通してマイと過ごす。

そんな時間がいつになく貴重な時間のように感じられる。

マイとの電話を終え、ウーバーイーツ配達員の位置情報をスマホで確認する。

俺より十歳ほど上に見える彫りの深い顔立ちの、配達員の顔写真が表示され、十分程で到着をするのを確認する。

その間に俺は、先週大掃除をした時本棚の隅で見つけた、本を手に取った。

『砂の女 安部公房』

五年前に会社の先輩に勧められて買ったけど、忙しくて読めず、大掃除をするまで

買ったことすら忘れていた。

クッションソファーに寝そべりながら、小説をめくる。

ビジネス書はダウンロードして、電子書籍で読んだりするが、紙媒体の小説はかなり久しぶりで、大学生以来かもしれない。

本を手に取り、数ページ読み進めていると、インターホンが鳴り、俺は立ち上がって、モニターを確認する。

モニター越しに黒いマスクをした、ウーバーイーツのアプリで表示されていた顔写真と同一の彫りの深い目が映っている。

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