二人の世界。俺とオレ
「俺最近、料理してんの。今までしたことなかったけど、自分で作ったら
パスタとか激ウマで。ミシュランとれんじゃね?とか思う」
「ミシュラン、なめすぎだろ」
「いや、でもガチでうまいんだわ。だから食い過ぎて太ってきた」
「ヒロが料理とか意外」
リエが甘そうなピンク色の酎ハイのはいったグラスを置いて言った。
「彼女が教えてくれた、料理のユーチューブ。あれ見ながらやるの楽しいんだよな」
「えー私もそれ観たい。送っといて」
「おう。グループラインに送っといた。シュンもやってみろって」
「おっおう。やってみるわ」
「あーなんかもうそろそろ出かけてー!」
「なぁーっ」
ふぁーっとリエが大きなあくびをした。
「そろそろ寝ますか」
ユウスケがグラスに入ったビールを飲み干した。
「おう。おやすみー」
「おやすみー」
「すみー」
「うぃー」
「おやすみー」
俺はそう言って退出ボタンをクリックした。
***
ヒカリのことは誰にも話していない。
なんとなく、オレだけの、ささやかな楽しい秘密にしておいた方が良い気がした。
「ねぇ、シュン君・・」
「うん?」
「私のこと、好き?」
「えっ?」
いきなりヒカリにそんなこと言われるなんて思っていなかったから、
オレはびっくりしつつ、こう答えた。
「もちろん。好きだよ。外見も好きだけど、こんなに話しが合う子なんて
なかなかいねーし」
「良かった。私も。ふふっ。早く会いたいね」
「うん。会いたすぎる」
俺はその瞬間、とてつもなくヒカリに触れたくなった。
ヒカリを抱きしめたい。
「なぁ、ヒカリ。キス、しよ?」
「えっ?」
「画面に口、近ずけて」
「うん」
色白の肌と黒目がちの目。
大きすぎず、小さすぎない、綺麗な形の整ったヒカリのその唇が画面に近ずいた。
「するよ?」
俺は画面に口を合わせた。
俺とヒカリは毎日会うようになった。
最近、長くヒカリと会いすぎて、気がついたら朝になっていたりする。
だからなんか時間の感覚もあんまり無くて、日中、頭がぼうっとしている。
眠気のせいか、意識が朦朧としてしまう時がある。
なんだろう。寝不足のせいか、体調悪いのかな俺?
そういや、野菜ジュースもストック切れて飲んでねーな。
最近、ユウスケやヒロ・サエやリエとのリモート飲みもヒカリと会うために参加できていない。
ずっとヒカリと一緒にいたい。




