第68話 最終話 さらば異世界!?
ダンジョン・ショックを起こしたバールが死んだことで、地球と異世界との間で「揺り戻し」現象が発生しているという。
地球が、もとに戻りつつあるのだ。
ダンジョンから戻っても、ロニはまだ駄々をこねていた。
「嫌だ! せっかく仲良くなったのに、ミツルたちとお別れなんて!」
オレにしがみついてくるなんて、今までのロニにはなかったことだ。
かなりショックだったんだな。
マリエがなだめているが、効果は薄い。
「友達なら、シュリがいるだろ。オーゼだって、あっちの出身だ。ガマンしろ」
「せやで。そこまで拒絶されたら、ワイらも悲しいで」
ロニを説得してみる。
「そうだけど。ミツルは色々教えてくれた!」
「ええ。こんな美人の奥さんがいるのに、自分から死のうとするようなやつだけど」
マリエが、オレに嫌味を言う。
「悪かったって! あれが最善だと思ったんだ。オレに思い残すことなんて、なかったんだって! 身重のマリエを、異世界に連れて行くわけには行かないし」
「身重?」
「そうなの。どうも、そうらしくて」
お腹をさすりながら、マリエが告げた。
「おめでとう! だけど……」
マリエが出産する頃、ロニはいないかもしれない。
「お姉さん、なんとかならないの!?」
ギルド受付のお姉さんに、ロニは詰め寄った。
「こればかりは、どうしようもありません。確実に、ゲートは閉じつつあります。異世界へのルートも限られるでしょう」
「どうしても、異世界と地球は、行き来できなくなるの?」
「はい。あと三〇〇年後には」
「……三〇〇年後?」
ロニが、指を三本立てる。
「はい。三〇〇年経てば、もうあなたがたの世界と地球は、交流がなくなるでしょう」
そういえばバールのヤツ、「あと三〇〇年は世界ダンジョン化が遅れる」と言っていた。
世界にダンジョンを発生させたバールの力が逆流しているため、世界が元に戻っていくのは確からしい。
だが、それは三〇〇年ほどかかるだろうとのこと。
つまり、オレたちが生きている間に、異世界へのゲートが閉じることはない。
「なあんだあ。驚かさないでよね」
ロニが、腹を抱えて笑い出す。
「早とちりが過ぎたな。今夜は、オレの家でちょっとパーティするか?」
「ええな。嫁にも断りを入れとくわ。今日くらいは付き合うで」
「酒を飲むか? うちは誰も飲まないんだが」
「用意してくれるんか? ありがたいで!」
まず、酒屋によるのは確定と。
「なにを食いたい?」
「お鍋!」
みんなで箸をつつき合える鍋を、ロニがリクエストした。
「よし。帰りに、鍋の具材を買おう」
マリエに代わって、オレが運転しよう。
サイドミラーに、ヒガンが。
「ありがとうよ、ヒガン」
ヒガンがオレに、手を振った気がした。
(完)




