第67話 ミツル、死す!?
「くそ、死なへん!」
「致死量には、達しているのに!」
どれだけダメージを与えても、バールはそのたびに復活した。
『バールの生命力を削るには、誰かの犠牲が必要です』
冒険者ギルドから、報告が来る。
誰かが命がけで、バールの生命維持装置を破壊する必要があるらしい。破壊したものは、必ず死ぬ。
やはり、攻略には法則があるんだな。
「犠牲ってことは、誰かが死なないといけないってこと?」
「ああ。オーゼやロニは論外だ」
どっちも、家族がいる。なにより異世界の住人に、こんな大役を任せるわけにはいかない。
『ワタシが犠牲になればいいだけです』
「キナ子!」
『ワタシに心が生まれたのには、なにか理由があると考えておりました。このためだったんですね』
「勝手に決めつけてんじゃねえ!」
オレは、進もうとするキナ子の肩を掴む。
『離してください、ミツル。ワタシの生命には、意味があるのです』
「お前は、仲間だ。死なせるわけにはいかない」
キナ子を座らせて、オレが代わりに立つ。
「オレが行く」
「ミツル!?」
「大丈夫だ。オレ一人の命で、どうにかなるのなら」
それに、オレが死んでも「代わりはある」んだ。
「ヒガン」が、オレの中で生きているのがわかる。
オレの命は、天に預けた。ヒガンがオレの代わりに、生きてくれたらいい。
「さあ、喰らうがいい!」
オレは両手を広げて、バールに飛び込んでいった。
「いいのかい、ミツル。キミは一生、ヒガンの力が使えなくなるぞ!」
「それは、とんでもないことだな」
……ん?
オレは、「しゃべってない」ぞ。
「まさか、ヒガン!?」
『ヒガンなんて、ただのゲームデータだ。死ぬのは、経験済みだよ』
「待てヒガン!」
『お前は生きろ。ミツル』
オレの体から、ヒガンが飛び出していった。
「なに、ヒガンだと!?」
『オレは、このために蘇ったんだ』
ヒガンがバールの至近距離に接近し、心臓を貫く。
『今だ、ミツル!』
「……アラマサ」
オレは逃げられないほどの速度と範囲で、バールを切り裂いた。
バールはヒガンを巻き添えにして、大爆発を起こす。
『ありがとうございます。これで、ダンジョンショック最大の障害が、取り除かれました』
「礼は、ヒガンに言ってくれ」
オレたちは、黙祷をした。
『そろそろ、本題に入りたいのですが』
「続けてくれ」
『実は、少し問題が発生しまして。みなさんに、関わることなのですが』
「どうした?」
『一部のダンジョンが縮小しています。もしかすると』
異世界と地球が、切り離されるのではないか、という。
「私たち、離れ離れになるってこと?」
「かもしれんな」




