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世界にダンジョンができたせいでセミリタイアに失敗した男、冒険者になって無双  作者: 椎名 富比路
第五章 FIRE失敗民、最後の戦い!?

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第65話 ダンジョン・ショックの主犯

 闇の神 バールを名乗るその魔王は、すべてのベリトの皮を剥ぐ。魔王の息子というだけ合って、まんまバールそっくりだ。


 ゲームに出てきたラスボスと、同じ姿である。

 ラスボスとしての威圧感も、そのままだ。


「バールとして目覚めるまで、大変だったよ。一度は覚醒したんだけどさ、その衝撃でダンジョン・ショックが起きたんだ。力が暴走しちゃって、地球がダンジョンまみれになっちゃって。期せずして、侵略の第一段階として活用させてもらったけどね」


 ベリトは地球にダンジョンを形成し、自分たちが地上を支配するつもりだった。


 ダンジョン・ショックによって自身もダメージを受けて、ベリトは人間体のまま活動することを余儀なくされた。


「なんで、ひきこもっとってん? 魔王やったら、世界征服なんて、あっちゅう間ちゃうんけ?」


「魔王だからだよ。自分の魔力を地球に放出する行為ってのは、熱い鉄板に直接触れるようなもんに近いんだよ」


 魔力がまったくない地球に、魔力の塊が手を伸ばそうとしたのだ。大火傷では済まないだろう。魔王並みの力を持っていればいるほど、地球に踏み入ることは難しい。魔力が高い魔物は、魔力のない地球に焼かれてしまう。


「パワーをセーブするために、ボクは地球人の冒険者を殺して肉体を奪ったんだ。おかげで、うまいこと計画は進んだよ」


 人間の皮を被って、バールの力をその手にするまで、ベリトはずっと暗躍していたそうだ。

 そのために犠牲になった冒険者は、数しれない。


「なのに、キミたちが邪魔をした。特にヒガン、今は、ミツルと名乗っているんだっけ? キミのせいだよ。苦しませて殺すから、覚悟しておいてね」


「ククク……」


「ん?」


「フハハハハハハハハハアーハハハァ!」


 オレは、高笑いが止まらない。


「どうしたんだい、ヒガンもどき? 気でも触れたかい?」 


「まさか、ラスボスの瘴気を浴びて、おかしくなっちゃったんじゃ?」


 ロニまで、オレを心配する。


 お気遣い、無用っ。オレは正気だし、五体満足である。やる気が暴走しているだけだ。

 

「なるほどね! お前だったのか! お前が原因だったんだな!」


 まだオレは、腹を抱えている。


 そうか。コイツは、オレにも因縁がある相手だったんだ。


「ロニ、オーゼ、キナ子!」


「どうしたの?」


「全員で叩き潰すぞ。ようやくオレにも、コイツを殺さなければならない理由ができた!」


 コイツのせいで、オレは全財産が灰になったのか! コイツがダンジョン・ショックなんぞを起こして、世界経済を壊さなかったら、今頃オレはゲーム三昧だったんだ!


 絶対に許さん。

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