第65話 ダンジョン・ショックの主犯
闇の神 バールを名乗るその魔王は、すべてのベリトの皮を剥ぐ。魔王の息子というだけ合って、まんまバールそっくりだ。
ゲームに出てきたラスボスと、同じ姿である。
ラスボスとしての威圧感も、そのままだ。
「バールとして目覚めるまで、大変だったよ。一度は覚醒したんだけどさ、その衝撃でダンジョン・ショックが起きたんだ。力が暴走しちゃって、地球がダンジョンまみれになっちゃって。期せずして、侵略の第一段階として活用させてもらったけどね」
ベリトは地球にダンジョンを形成し、自分たちが地上を支配するつもりだった。
ダンジョン・ショックによって自身もダメージを受けて、ベリトは人間体のまま活動することを余儀なくされた。
「なんで、ひきこもっとってん? 魔王やったら、世界征服なんて、あっちゅう間ちゃうんけ?」
「魔王だからだよ。自分の魔力を地球に放出する行為ってのは、熱い鉄板に直接触れるようなもんに近いんだよ」
魔力がまったくない地球に、魔力の塊が手を伸ばそうとしたのだ。大火傷では済まないだろう。魔王並みの力を持っていればいるほど、地球に踏み入ることは難しい。魔力が高い魔物は、魔力のない地球に焼かれてしまう。
「パワーをセーブするために、ボクは地球人の冒険者を殺して肉体を奪ったんだ。おかげで、うまいこと計画は進んだよ」
人間の皮を被って、バールの力をその手にするまで、ベリトはずっと暗躍していたそうだ。
そのために犠牲になった冒険者は、数しれない。
「なのに、キミたちが邪魔をした。特にヒガン、今は、ミツルと名乗っているんだっけ? キミのせいだよ。苦しませて殺すから、覚悟しておいてね」
「ククク……」
「ん?」
「フハハハハハハハハハアーハハハァ!」
オレは、高笑いが止まらない。
「どうしたんだい、ヒガンもどき? 気でも触れたかい?」
「まさか、ラスボスの瘴気を浴びて、おかしくなっちゃったんじゃ?」
ロニまで、オレを心配する。
お気遣い、無用っ。オレは正気だし、五体満足である。やる気が暴走しているだけだ。
「なるほどね! お前だったのか! お前が原因だったんだな!」
まだオレは、腹を抱えている。
そうか。コイツは、オレにも因縁がある相手だったんだ。
「ロニ、オーゼ、キナ子!」
「どうしたの?」
「全員で叩き潰すぞ。ようやくオレにも、コイツを殺さなければならない理由ができた!」
コイツのせいで、オレは全財産が灰になったのか! コイツがダンジョン・ショックなんぞを起こして、世界経済を壊さなかったら、今頃オレはゲーム三昧だったんだ!
絶対に許さん。




