002
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早々に部屋を後にし、皇城の回廊を歩くゼフィールの足取りは重い。決して年齢のせいではなく、気持ちの影響が大きい。
「これでよかったのだろうか」
と、彼は思わず呟いた。
帝国の危機を回避するためなら、砂粒ほどの可能性があることでも試すべきだと思考した上での発言だった。決して勢いで提案した訳ではなかった。
死刑囚を兵士として起用することに抵抗が無い訳ではない。死刑囚とは言え彼らも人間であるのだから。
ゼフィールが心配しているのはそれだけではない。死刑囚も人間であると同時に、人の道を外れた存在でもある。死刑囚の一部には伝説になるほどの悪逆や罪を犯した化物がいることを知っていた。
その者たちの力を目にしたことは無いが、人の域を超えた力を持ち、化物と評されているのは聞いている。
化物たちなら悪魔すら撃退してくれるのかもしれないと、期待する反面、不安でもある。
そんな彼らが素直に協力してくれるだろうか。
化物染みた死刑囚を制御するなど出来るのだろうか。
死刑囚(化物)の力を頼ってしまうことで、何か大切なものを失うような気がしてならない。
ゼフィールは己の選択が間違っていたのではないか、と思考を巡らせる。皇帝として帝国と民衆を導いてきた彼でも、死刑囚の力を頼る選択が正しいものだったのか分からない。
いや、そもそも誰にもこの選択が正しいかどうかなど分かるはずが無い。それこそ神のみぞ知る。
例え、その選択をしなかったとしても、帝国の背後には悪魔の軍勢が迫っており、何もしなければ帝国が滅びるのは間違いない。
ゼフィールは立ち止まることを許されていない。
選んだ道が正解か間違いか分からなくても、進むしかないのだ。
「私の選択は、間違ってなどいない」
と、彼は言い聞かせるように呟いた。
不安を押し殺し、顔を上げると陽光差し込む回廊を進む。




