悪霊でも力のない悪霊なら簡単に祓えます
「店長さん、電話の前に行ってみてください」
「は、はえ?はえぇっ〜〜!?なんで僕が!?」
何で僕がお前みたいな小娘に指図されにゃならんのだ!と言いたそうな顔をするが、悪霊によって部屋に閉じ込められた状況だ。何かあったらきさらに助けてもらわねばならないから怒りたくても怒るわけにはいかない。
「しょ、しょうがないな〜!ここで良いのかい〜〜!?」
きさらに言われた通りに電話の前に行くと何だかヒンヤリした空気を感じる。このヒンヤリした空気に店長は少し気持ち良く感じていた。
「そこに悪霊がいます。そこだけ空気がヒンヤリしていませんか?」
その言葉を聞くと店長はダッシュでその場から離れようとする。
「んなぁっーー!!そんなところに僕を行かせるなんて何考えてんだ糞ガキ!!呪い殺されるだろうが!!」
「大丈夫。この程度の悪霊にそれは出来ないから。ただ、店長さんには幽霊がいる場所の感覚を教えておきたかったのです。霊がいる場所は雰囲気というか空気が違います。賑やかな人通りの多い場所でも、ここだけ空気が違うって場所ありますよね?そこは大抵幽霊がいます。特に空気がヒンヤリする場所は丁度、幽霊がいる場所ですので知っておいてください」
きさらは怒り狂った店長と悪霊の前でも冷静で店長の為に説明もしてあげた。
しかし、きさらの丁寧な説明なんてどうでも良いと思っている店長はイライラしている。
「良いからさっさと祓ってくれ!こ、こここの空間に居たら何だか嫌な感じがする」
頭を抱えて店長は身動きを取らなくなった。これは全く霊感がなかった人が幽霊に触れて、体調を崩したような物である。
「はいはい。じゃあすぐに終わりますので・・・」
きさらはカバンの中から大麻と塩を取り出す。
「ではこれからお祓いを始めます」
手にした塩を大麻にかけて野球選手の様にバッターボックスで構える様な姿勢を取る。
店長も頭を抱えながらその行動を見ていた。
そして、右の強打者並みの威圧感を見せて綺麗なフォームで振り抜いた。
その瞬間を見た店長は「う、美しい・・・!」と開いた口が塞がらない。
そして徐々に綺麗な澄んだ空気が部屋中に広がってくる。
「はい。これにてお祓いは完了です。まだ嫌な空気は残ってますが1日経てば徐々に消えていきます。一週間も経てば完全に消えるでしょう。もしそれでも消えてなかったら連絡をください。完全に消えるまで私が祓いますから!」
きさらの堂々たる雰囲気に店長は驚いた。
そして確かに部屋の空気が少し良くなった感じがした。
「あ、ああ・・・」
「あ、もう扉は開きますよ。悪霊を祓いましたからね」
きさらはそう言って扉を開けてカラオケボックスから出ると店長に笑顔を見せる。
「では、もし何か心霊現象が起きたら呼んでください。私が責任持って祓いますから♪」
きさらはそう言ってカラオケ店を出ていった。心なしか、きさらの後ろ姿が美しく感じた。




