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十二環界と天塔の魔王  作者: ぷやっさん
第三章 三番島《豊穣デメトリア》

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第30話「断滅の司、降誕」

神殿地下の最奥。

鎖で拘束された光紋隊の男が、

その身体を痙攣させながら白銀の光を漏らし続けていた。

ミナは胸を押さえ、息を荒くする。

「せ、先生……!

この光……怖い……!

あの人じゃなくて……“光そのもの”が……!」

「ああ……この光、普通の魔法じゃねぇ。

王の光——“断滅”の本質だ」

(第二島で感じたのと同じ……

祝福の皮をかぶった破壊。

あの時より濃い……!)

その時、神殿上層から

重く冷たい声が響き渡った。

「——《断滅のつかさ

目覚めの刻、来たれり」

白銀の光が男の身体から爆ぜた。

ドンッ!!!

床が揺れ、鎖が粉々に砕け散る。

「っ……! ミナ、下がれ!!」

「は、はい!!」


白銀の光は細い筋となって男の全身を覆い——

その身体はゆっくりと立ち上がった。

痩せた身体が光で“塗り直される”ように膨張し、

皮膚は白金色の紋様に染まる。

瞳は完全に“空っぽ”。

そこにあるのは意思ではなく、命令だけ。

『……断滅任務……再開……』

声は人のものではなく、

空間そのものが震えているようだった。

「……完全に……人じゃない……!」

「ああ……“断滅の器”にされたんだ。

王の光に飲まれ、飢餓と断滅を撒き散らすだけの存在に」

ミナの体が震える。

「先生……あの人……

もう、自分の声がひとつも残ってない……!

全部……全部消えてる……!」

(心も魂も削られて……

残ったのは“命令に従う機構”だけ……)

断滅の司は歩みを進め、

地下室全体を白銀の光で満たしていく。

ギ……ギギ……

石壁が光の触れた部分から

“音もなく消えていく”。

(やっぱり……これは“破壊の光”……!

存在そのものを切り取ってる……!)


「ミナ! 影に隠れろ!」

「は、はい!!」

断滅の司は手を掲げ、

白銀の矢のような光線をリオめがけて撃ち込んだ。

ズガァァァン!!!

床の石が白く染まり、

次の瞬間、何もなかったように“消える”。

「くそ……!

当たったら、肉体ごと存在が消える……!」

リオは床を蹴り、柱の影へ飛び込む。

(速さはそこまでじゃない……

でも、この光は避けミスできない……!)

「先生!

あの光……避ける方向間違うと、

“光が広がる方向”に自分で飛び込むことになります……!」

(ミナ……お前は光の向きを“感じられる”のか!)

「次、来ます!!

左斜め下から……!!」

「助かる!」

リオはミナの声と同時に跳び、

次の光線を紙一重でかわした。


——ゴウン。

塔の脈動が、心臓を鷲掴みにした。

「っ……!」

「せ、先生……!?

影が……また……!」

リオの足元の影が、

断滅光に反応するように“黒く膨張”した。

まるで、

“断滅を喰らおう”

としているかのように。

(まずい……!

影が勝手に動こうとしてる……!

ミナが見てる前で……こんなの見せられるか……!!)

「影……黙ってろッ!!」

リオが叫ぶと同時に、

黒い影は縮み、足元へ戻った。

ミナが涙目で言う。

「せ、先生……影……

断滅の光を……吸おうとしてました……

怖いのに……先生を守ろうとして……」

(守ろうとして……?

影が……?

何なんだ……本当に……)

その時——

影の奥から、

“声にならない声”が一瞬だけ響いた。

低く、かすれ、

しかし確かに“誰か”の意志を感じる声。

——……やめろ。

リオは振り返ったが、誰もいない。

(今の……俺の声じゃない……

誰だ……?)

影は静かに揺れ、沈黙した。


「……司よ、浄化せよ」

上層から光紋隊の声が響く。

断滅の司は炉心へ手を伸ばし、

赤い光を白銀に染めて吸い上げ始めた。

ゴォォォ……ッ!

炉心の光が白銀に上書きされていく。

「先生!!

だめ!!

炉心全部“断滅”されたら……この島……死にます!!

食べ物が作れなくなる……!」

(それは絶対に阻止だ!!

この島を支えてる根幹が……消される!)

リオは駆け出した。

断滅の司が予備動作なしで手を振る。

断滅波デス・ウェイブ

「くっ……!」

風でも光でもない。

ただ存在を削る“無音の衝撃”。

リオは全身で受け止めたが、

肺が凹むほどの力がのしかかる。

「せん、せい!!

まだ来ます!!」

「行くぞ……ミナ!!

次は……お前の目に頼る!」


「その人の胸!

そこに……

“断滅の核”があります!!

そこ以外は全部“偽物”です!!」

(やっぱりミナ……お前は核を見抜ける……!

塔と同じ“感知能力”……!)

「よし、わかった!!」

リオは床を蹴り、

断滅の司へ一直線に飛び込む。

白銀の光線をくぐり抜け、

光が触れた壁が消えていく中、

ミナの声が響く。

「先生!

次、右!!

そのあと低く!!

光が追ってきます!!」

「任せろ!!」

リオはミナの声だけを頼りに、

断滅光の網をくぐり抜けた。

(ここだ……!

ミナが見抜いた“核”……!!)

「一撃で終わらせる!!」

リオは拳を引き絞り——

核へ叩き込んだ。

——ドガァァァァンッ!!!

「っ……!!?」

「先生……!?」

確かな手応え。

しかし——崩れない。

核は僅かに軋んだだけ。

『……貴様……何者……

光に……干渉……できる……?』

(しまった……!

核、硬すぎる……!)

ミナが震え声で叫ぶ。

「先生……!

あれ……まだ“本体じゃない”!!

核の奥に……もっと濃い……“白銀の穴”があります!!

これ……王様の……!」

(王の光の中核……!

カイン王の断滅の力……ここにも流れてる……!)

断滅の司が腕を掲げる。

炉心全体が白銀へと染まり始めた。

「逃げられるか、人間よ」

(クソ……!

こいつ……まだ上がある……!!)


「せん……せい……!」

ミナが必死にリオの腕を掴む。

「聞こえますか……先生……?

あの光の奥に……

“消えた供物の声”が……います……!」

「供物の……声?」

「……泣いてます……

みんな……ずっと、消されたくなかったって……

まだ、戦ってる……!」

(断滅光に呑まれたものが……残ってる……!?)

「先生!!

“核の奥の穴”は……断滅じゃありません!!

誰かを“食わせるための口”です!!

これ……王様の光に似てるけど……本物じゃない……!!

“偽物の神”がいます……!!」

(偽物の神……?

断滅の司の背後に、何かいる……!?)

断滅の司が光を集める。

【断滅光:全域消滅】

(まずい……!

この一撃で地下区画丸ごと消える……!!)

「先生!!

核の奥を“正面から殴らないで”!!

“横からえぐる”感じで……!」

(横から……?

核の側面……!

そこに断滅光が溜まりきってない……!?)

リオは息を吸い、

影を抑え込み、拳を握った。

「ミナ……

絶対に離れるなよ」

「もちろんです!!」


断滅光が放たれる瞬間、

リオは横滑りのように床を蹴り、

核の“横”へ拳を叩き込んだ。

——ゴバァァァァッッ!!!

白銀の光が弾け、

断滅の司の身体が痙攣する。

『……ガ……ア……

断……滅……が……

乱……された……!!』

巨体が後ろへ崩れ、

炉心の光が揺らぐ。

「先生……!

いまので……核が……弱まりました!!

あと一撃……!!」

「よし……畳みかける!!」

リオは再度構え、

断滅の司へ向き直った——

その時。

神殿上層から、別の声が落ちてきた。

「——やめろ。

“断滅の司”は王の道標だ」

白銀の男影が階段の上に立っていた。

光紋隊の“司令官”——

王国直属の“断滅異能者”。

ミナが震える。

「先生……

あの人……“王様の光の濃度”が……

今までで一番強い……!!」

(第三島……

まだ中ボス倒す前に“大ボス”が動いてきやがった……!)

リオの足元の影が、

司令官を見た瞬間だけ“鋭く尖った”。

まるで——

敵を見つけた人格が、息を吸ったように。

(……影……

お前……今、笑ったか……?)

影は沈黙したまま、揺れ続けた。

少しでも面白いと思っていただけたら、ブックマーク・評価宜しくお願いします!!


※本作の執筆にあたっては、

一部のアイデア整理や設定構築にAIを活用しています。

物語の最終的な構成・文章表現・キャラクター描写は、

すべて作者自身の手で仕上げています。

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