表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

46/143

46.犯人

翌日。登校すると、教室の前でルティアさんが私を待ち構えていた。

「こちらへ」

教室とは違う方に誘導される。

周囲に少し人がいなくなったところで、ルティアさんは一度止まった。

「キャラ・パール様に呪いをしかけようとしていた犯人を捕まえましたわ!」

「え、本当ですか!?」

「はい」

コクリ、とルティアさんが頷く。


だ、誰。

見つかって、良かったというより、動揺する。なんだか急に怖くなる。


「私どもで捕らえ、今は学院長室に。確保中ですが、自白はまだです」

「だ、誰だったんですか?」

「教師です」

え。

だ、だれ。

「美術を教えている若い男性教師。アレン・オルトパス。キャラ・パール様もこの教師の美術の授業を受けておられます」


ものすごく、ショックを受けた。

え。

私、先生から、呪われるほど嫌われていたんだ。


ふと左手が握られて、見ると、心配そうに私を見つめ、ルティアさんが私の手を握ってくれていた。

「今から学院長室にお連れいたします。今は学院長が呼び出され、犯人の教師に質問などしている頃です」

「はい・・・」

「私、ずっと傍についておりますわ。味方ですわ」

「ありがとうございます」

とお礼を言った途端、急に怖くて涙が出てきた。慌てて空いている手で拭う。


ルティアさんが眉を下げる。

ルティアさんが一度抱きしめてくれて、驚いた。

離れた後のルティアさんをじっと見る。

「泣かないで。怖いですわよね。ちゃんとお守りしますからね。さぁ、参りましょう」

「はい」

また出てしまった涙をまた右手で払う。

左手は、ルティアさんが握ってくれている。


***


学院長室。

遠くで一度しか見たことが無い学院長先生と、他の先生たちが3人いる。

そして、腕と身体を縛られて、床に座らされているのは、確かに美術の先生だ。


私はミルキィ・ホワイト様の事を思い出した。

この先生、ミルキィ・ホワイト様を絵のモデルに連れてきた人だ。ミルキィ・ホワイト様の事を好きなのかなと思う態度だった。


ミルキィ・ホワイト様が関わっている?

それとも、単純に、先生が私が嫌い?


「キャラ・パール嬢が来たぞ。何か言う事は無いのか、アレン・オルトパス」

「・・・ありません」

「現場を押さえられていてなおその態度は感心しないな」

「・・・」

美術の先生は黙ってしまった。


「キャラ・パール嬢。こちらへ」

「は、はい」

学院長に呼ばれて、そちらに向かう。すぐ後ろをルティアさんがついて来てくれた。

さすがに左手はもう繋いでいない。


学院長は、私を労わるような目で見た。

「毎日呪いを仕掛けられていたそうだな」

「はい。途切れた時もありましたが・・・」


「そうか。ネーコ家の方々が現場を押さえて、犯人を捕まえた。他家の使用人も確認しており、間違いはないという状況でな」

「・・・」


「心当たりなどあるかね?」

「・・・ありません」


「そうだろうな。・・・なぁアレン。彼女を呪った理由は? どのような呪いだった」


学院長が話を振ったが、犯人で間違いないらしい美術の先生は黙っている。

私が正面から先生を見つめていると、私に視線を合わせて、馬鹿にしたように挑発するように睨んできた。

ギョッとして、一歩後ずさった。

ギラギラしている目だ。気持ち悪い。


ルティアさんが私の腕をひっぱって自分に引き寄せ、前に出て視線を防いでくれた。


ハ、

と馬鹿にした笑いが聞こえた。美術の先生だ。


辛くなってとっさにルティアさんの手を握った。俯いた。


「お前は心が痛まないのか! 教え子に負担をかけるなど言語道断だ!」

学院長が怒鳴った。

私も驚いた。

見たくないので見ていないが、美術の先生からの答えは聞こえない。


「理由を言うまで監視する! アレン・オルトパス、お前の教師の任を解く! 生徒を呪うなど何事だ!」

「自白剤を提案します」

知らない声がした。先生たちでは無い、部屋に控えている男の人だ。使用人の人? 犯人を捕まえてくれた人たちだろうか。


「そうだな。様子を見てそれもやむを得ない。だがまずは我々が聞き出す努力をしよう。責任者であるのでな」

「承知しました」


肩をポン、と叩かれた。見ると学院長だった。

「不始末を誠に申し訳ない。落ち着いたら、きみは授業に戻りなさい。その方が良い」

「・・・はい」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ