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47.ショックを受けて

退出し、そのまま授業に向かおうとしたが、ルティアさんに止められて、一杯だけお茶を飲んでいくことに。

使用人の人が使う休憩室と言うのがあるらしくて、そこに連れていってもらった。

一緒にお茶を飲んで、その部屋に置いてあって好きに食べて良いというクッキーを1枚貰う。


なんだか動きたくない。


「一限目はお休みされたら良いと思いますわ」

と、俯いてばかりの私に、ルティアさんは優しい声をかけた。

頷く私。


・・・犯人が見つかって、こんなに落ち込むなんて思っていなかった。

悪役令嬢の誰かだと思っていた。

先生だったから、心の準備も何も無くて、ものすごくショックを受けている。


私、思いがけない人からも、嫌われてるんだ・・・。


***


ベルの音が聞こえた。1つめの授業が終わったらしい。


「行きましょう。ここも出入りが増えますもの」

「はい」

促されて使用人の人の休憩室を出た。


ルティアさんと私を見て他の人が驚いている。

「何かあったのですか?」

と聞いてきた人もいる。

「えぇ。生徒のキャラ・パール嬢を呪おうとしていた犯人がつかまりました。美術講師ですわ」

ルティアさんは情報を提供した。


「なんだって」

「美術講師が犯人だと。キャラ・パールを呪おうとしていた」

「スミレ・ヴァイオレット様もそいつか?」

「そこまでは」


使用人の人たちが情報を共有していく。すごいスピード。


「このように、それぞれ仕えている主に広まるのです。私たちは協力関係を築きつつ、主のために動いているのですわ」

「なるほど・・・」

ちょっと感心してしまって、それで少し気分が切り替わった。


***


2つ目の授業、3つ目の授業は普通に出た。

昼休み、ルティアさんに「まだ口を割りません」と教えてもらう。

嫌だな。早く理由を言って欲しい。でも言われたら言われたでショックかもしれない。怖い。


そして、トラン様にもポニー様にも会えない今、私の昼休みの過ごし方は、やっぱり変わらない。

図書館だ。


いつもの席をまず確保。

今日は、何を勉強しよう・・・。

いつも、先に勉強してから、お守りを作るのだ。ちなみに、一人で過ごすことが増えたのでお守りは完成に大分近づいていると思う。


椅子に座らず、立ちっぱなしでどこか途方に暮れるように、今日勉強するものを考えていた私は、

「ケセラン」

と呼びかけられた。


「はい」

メーメ・ヤギィ様だ。

少し離れた位置で立って私を見ておられる。いつからおられたんだろう。


「頼みがある」

「え。なんでしょうか」

急に言われて驚いた。こんな切り出し方をされるのは珍しい。


メーメ様は数歩の距離まで近づいてきた。

小さな声で私に聞いた。

「毎日呪われてたね? 正確には呪われる前」

「え、はい」


「そうか。捕まえた美術教師は白状した?」

「まだみたいです」


「そう」

メーメ様はそこで首を傾げて、顎に手を添えた。少し張りつめていたような雰囲気が緩む。

「その教師の名は? ひょっとして、アレン・オルトパス先生」

「はい」

「なるほど、そうか・・・」


メーメ様は少し目を伏せてから、ルティアさんに目を遣った。

「私も会いたい。予想していることがある」

「え? しかし・・・」

「じゃケセランに頼もう。犯人のアレン・オルトパス先生のところに今から行こう。話をしたい」

「・・・」

「意味が分からない?」

とメーメ様は私に笑った。

「はい」


「私には、分からせる必要がある」

メーメ様は目を細めた。私では無い誰かを考えて。

何かちょっと怖いと思った。


***


「ミルキィ。おいでよ」

メーメ様は私とルティアさんを連れ、年上の人たちのいる棟に寄った。

ちなみにメーメ様は2つ上。ミルキィと呼ばれたミルキィ・ホワイト様はメーメ様の婚約者。メーメ様と同い年。つまり私の2つ上。


ミルキィ・ホワイト様は、貴族ご令息ばかりのグループの中心でランチを取っておられるところだった。

いや、ランチ後の談笑?

とはいえ、本人は微笑んでおられて、周りがワイワイ話している感じ。


少しのんびりした様子でそんなところに近づかれたメーメ・ヤギィ様。

話しかけられたミルキィ・ホワイト様は驚いて、大きな目でパチパチと瞬かれている。


メーメ様が無言で右手を差し出される。

ミルキィ様が、周囲に少し会釈をして、すっと立ち上がり、そっとメーメ様の手をとられた。

少し頬が赤く染まって、嬉しそうだ。


そんな様子に、今までミルキィ様を取り囲んでいたご令息たちは、見とれたり、少し悔しそうだったり、憧れたりなんて表情に見える。


ここ学院ですよね? それともどこかのパーティでしょうか? 見たこと無いけど。

と思うぐらい、そして、これが多分『エスコート』というもの? と平民の私が思ったぐらいの絵になる様子で、メーメ様はミルキィ様を連れて廊下を進む。

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