悪役令嬢VS神 その①
昨日、投稿できず申し訳ありませんでした。神が強すぎて、うまく描写することができませんでした。
毎日投稿と書いておいて2回も投稿できなかった日があったんので、毎日投稿の部分をほぼ毎日投稿に変えました。
戦う前に言葉を交わすようなことはなかった。
セーラは仇敵と談笑するなど御免だし、神は物語のバグを消すことだけしか考えてなかった。
「行きなさい。護衛人形達」
神の指先から、白く光る糸が伸び、人間を成功に形どった人形――フィギュアのうち、2体に繋がり、人間のように動き出す。
いずれにも美しい装飾が施された剣を持っており、それが攻撃手段だと簡単に推測できた。
片手に乗せることができるサイズで、とても強いように見えないが、
(でも、あれはブラックホールに取り込まれなかったものであり、つまり、私には壊す手立てがない)
宇宙を数百支配できる神が扱っても壊れないような頑丈さを誇り、セーラには破壊不能な防御力を持っていた。そして、その攻撃力は、
「たかだが、銀河を一撃で消せない奴にはこれで十分よね」
数千億個という途方もない数字で構成される銀河。だがそれを多いと感じるのはあくまで小さな惑星に住む人間の感性であり、神にとって、銀河とは宇宙に数千億から数兆存在するもので、大きな括りではなかった。
そして、人形たちは外宇宙からの侵略者から身を守る近衛兵の役目を担っており、銀河を構成する全ての星を人間大に凝縮した物体を軽く破壊できるのが最低ランクの条件だった。
人形が神に操られ、県による攻撃を仕掛ける。
「「『スキップ―― Maximum times』」
セーラはできる最大の加速を使い、光速の領域に踏み入れ、回避しようとする。
(しかし相手は複数の世界を支配する神。これくらいでは……)
舐められているからか、人形たちの攻撃は回避できた。その行動に対して神の次なる手は――、
「き、消えた!」
神は反応できなかった。悠々と距離を取ることできた。
(え!)
縦横無尽に部屋を駆け抜けながら、驚愕する。
多元世界を掌握する力を持つ相手に通用するとは思っていなかった。
「いや、それは当然かしら」
本来、スキップとは恋愛ゲームなどを始めとする文章を読むゲームに搭載されている機能で、その役目は、既読の文章や自分に合わないと思った部分を高速で移動することで飛ばすことにある。そして最も速いスキップは、利用者ですら望む地点を超えてしまうことを注意することが必要な速度だった。
「『スキップ・アイスランス』
射出速度が幾倍にも高められた氷の槍を人形と神に向け放つ。
星を貫通する威力を持つランスはしかし、フィギュアに一片の損傷を与えることはできず、神に対しは体に当たる前に霧散した。
(私の『ファイアウォール』みたいに体を守っているのかしら)
「きゃっ、もうなんなのよ!」
眼前に放たれたアイスランスの攻撃に対して思わず、目を覆う神。
(何こいつ。全然戦い慣れていない)
その姿はとても隙だらけだった。
(敵を倒して強くなったようには、とても見えない。それではどうやって、これ程の力を手に入れたの? 生まれつきそうだったの? それとも、誰かから与えられた強さなのかしら?)
「もう、さっさと死ね! 死になさい!」
見当違いの所へ向け人形を動かす神。セーラは、繋がっている糸にも気を付けながら距離を取る。
「提案シマス。私ニ人形型防衛装置ノ委譲シテ頂ケレバ、直チニ外敵ヲ排除デキマス」
「うるさい! 私がやるのよ」
ノートパソコンから流れる発言に対して、むきになって答える。
(不味い。早く何とかしないと)
機械の実力は分からないが、それでも神のようにお粗末ではないだろう。操作する者が変わる前に、打開策を考えないといけない。
いや、そもそも勝負が成り立っていることすら、奇跡だった。
(多分、神が体を防御で覆ってなかったら、吐息で死んでいたわ)
幼児よりも大人の方が肺活量が多い。つまり、強くなればなるほど肺活量が大きくなるということあり、世界を超える存在である神が息をすれば、宇宙の星々を吹き飛ばす神の風になり、セーラは壁に叩きつけられるか、あまりの圧に壁にたたきつけられる前に消滅するかのどちらかだった。
セーラが今、生きてるのは、自身の修行の成果よりも、自らの防御で呼吸を遮っていた神の落ち度によるおかげだった。
「どうにか力の差を埋めないと勝負にならない……!」
床に落ちている本に向け、相手の力を吸い取る闇魔法『ドレイン』効果を付与した氷のレイピアで突く。
1つの作品が広大な世界ならどうにか吸収して自分の物にすれば、飛躍的に強くなれると思ったが、世界はとても頑丈で、吸収することができなかった。
「ああああ! ムカつく! ムカつく! 早く倒して、インストールし直して、皆にちやほやされたい。抱きしめられたい。キスされたい!」
(あと考えるとしたら火が苦手という弱点を突くことだけど、火だけはダメージを与えられるなんて都合のいいことあるはずがない。たとえ神の火に対する耐性が他の属性より百分の一くらいだとしても、傷を負わないだろうし。くっ……せっかく目の前に長年追い求めてきた相手がいるのに!)
シナリオで何度も殺される痛みを味わわされた。その恨みを晴らせず逃げまどっていた自分に腹が立つ。
(これならいっそ、手あたり次第に……いや、それでは何の効果も……あ!)
成功する可能性は低いが、策を思いついた。これならもしかすれば神の力の一部を奪い取れるかもしれない。




