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星を食らう悪役令嬢

 ブラックホール――超新星爆発による星の終焉後に誕生するという超重力体を、誕生過程を飛ばし黒い魔力の塊を生み出すことで同様の効果を作り出した。


「『一時停止解除』」


 『光体化』によって最速の回避能力を持つ王子も、光も捕らえる引力には逆らえなかった。

 停止した時間が動き出したその瞬間、星のすべてが呆気なく飲み込まれた。

 シナリオで想定されてなかったエネルギーは、ゲーム上出せる最高攻撃力を凌駕し、ルーカスの絶対防御の守りを力技で突破した。

 もう繰り返されないように木っ端微塵に壊れてしまえというセーラの思いが反映されたにブラックホールは、原形が分からないほどに砕き圧縮し、かつて惑星に合ったすべての物が小指の爪にも及ばない大きさになった。


「さて、次は……『セーブ』」

 

 ブラックホールの魔法を保存する。

 意思のない神の操り人形達に対する慈悲はなく、星を吸収したことでさらに力を増したことを喜んだ。

 

「『テレポート』」


 転移の魔法が発動し、空間を跳躍するためのワームホールが出現する。

 通った先にあるのは、灼熱の星だった。

 惑星に暖かな光を与え続けていた恒星に住むのは、セーラの国の宗教が教える創造神が住まう場所だった。


「設定上では一番強い存在も、王子たちの活躍させるために動けないことにされてしまっては、星々が消えるのを前にしても何もできないわよね」


 創造神と呼ばれる存在も本当の神には及ばない。だが、惑星たちを悠久の時を照らし続けた偽物の神に宿る力は、とても強大なものだった。


「『ロード』」


 そして、セーラは保存していたブラックホールを呼び出した。

 再び猛威を振るう黒い超重力の魔力弾が、太陽を食らう。

 人の住む惑星の数十万倍の重さを持つ恒星でさえも、ブラックホールの重力の源である質量と比べれば、とても軽く、飲み込まれる様は水の惑星と大差なかった。

 

「さて、ここまで力を得ても、特に体が変化することはなかったわね。一部のモンスターがパワーアップすると進化することがあるというけど、私自身が神に進化して何でもできるようになるみたいなことはないようね」


 その予想は当たっていて欲しくもあったが、敵と同種になるという意味では外れていて欲しくもあった。


「さて『ロード No 101 to 199』」


 保存していた防御魔法を百個近くを同時使用し、セーラの全身を無数の守りで固める。

 そして、物語を完膚なきまでに壊したセーラは、声を大きくする魔法を使いながら宇宙空間で叫ぶ。


「ねえ、せっかく骨を折って作った壊されて、どういう気持ちかしら!? 憎いのなら私の前に姿を現しなさい! そうじゃなきゃ、また別の世界を作ったとしても何度だって壊してやるんだから!!」


 反応はすぐにはなかった。


「さて、どうでるか……」


 すると、唐突にセーラの前の空間が歪み白い穴ができる。


「へえ。こんなにされても重い腰を上げるんじゃなくて、呼ぶという選択をしたのね」


 先は光り輝いて見えず、気配も感じないが、そこに神がいると確信したセーラは、迷わず進んだ。

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