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「西野さんは、お子さんとかいるんですか?」
休憩時間は一時間。五時間働いて、一時間休憩して、また五時間の、計十時間。時給はそこそこ。
その休憩時間、コンビニの弁当をつつきながら、何でもない風を装っていきなり核心を突いてみる。
「なんで……そう思うんですか」
「いや、その、なんとなく、ですけど。教えるの上手いなあ、って」
西野芳樹。年は三四。西野美弥は二三歳の時の子供だ。
どこか頼りない印象を受けるが、それが余計に「優しいおじさん」像を強めていた。
しばらく、お互い無言でコンビニ弁当をつついた。根競べなら負けませんよ、と。
「…………娘、が、一人」
「はあ、娘さんですか! こんな優しいお父さんがいたら幸せ者ですねえ」
顔色を窺う。変化なし。なるほど。ちら、と視線を流し、箸を握る右手に。
箸が割れそうなくらいに力が入っている……
それに気づかないふりをしつつ、更に言葉を繋げていく。
「まあこの通り、真夜中の仕事ですから……なかなか会えないのが残念ですね。平日の昼間は学校でしょ? 娘さん、何歳ですか?」
「……確か、あ、えっと、いや」
確か、ね。
「今年小学五年生になりました」
「五年生ですか。反抗期とかもまだですよね?」
「……ええ。まだ、です」
それからも、いくつか質問をして……休憩時間は終わる。この仕事では、それ以上の収穫は望めそうに無かった。明日からはもう、この仕事をやるつもりはない。
まあもし来るとしたら……その時は、こいつを――西野芳樹を、「どうこう」する時だ。




